要件・審査|二人の収入と家計を資料でつなぐ
配偶者の収入を世帯収入として示す場合
配偶者の収入で生活を支えている場合は、本人と配偶者の職業・収入を分け、世帯として生活を続けられることを資料で説明します。夫婦の年収を足した金額だけで、永住申請の許可が決まるわけではありません。
この記事は、夫婦共働きの方、本人の収入が少なく配偶者が主に家計を負担する方、配偶者のパート収入等を含めて生計を説明したい方のための整理ガイドです。誰の、いつの、どの種類の収入なのかを明確にし、必要資料と生活費の分担を対応させます。

01|合計額に加えて、生活の継続を説明する
本人だけでなく、世帯の生計を見る場合があります
入管庁のQ&A(Q54)は、独立生計要件について、本人だけではなく、配偶者等と構成する世帯で安定した生活を続けられると認められる場合も、要件を満たすと説明しています。配偶者の職業や収入は、その生活を説明する資料になり得ます。
ただし、同居している人の収入をすべて機械的に加える取扱いや、「合計がこの金額なら必ず許可」とする基準を示したものではありません。本人と配偶者が実際にどの費用を負担し、その収入が今後もどう続くのかを整理する必要があります。家族が増えた場合や、国内外の親族へ継続的な援助がある場合も、支える人数と支出を合わせて確認します。
現行ガイドラインは、資産や技能等も踏まえた将来の安定した生計と、公的義務の適正な履行を求めています。収入の説明と、税・年金・健康保険等の確認は別々に行います。基本は年収・独立生計要件、家族の負担関係は扶養家族と生計の確認を参照してください。
日本人・永住者等の配偶者は、要件の例外と資料を分けます
日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子は、法律上、独立生計要件への適合を要しない場合に当たります。一方、公式の区分別案内では職業・所得・納税等の資料が求められます。「配偶者だから収入資料は不要」とせず、申請区分に合う資料を確認してください。
制作時点は2026年9月10日です。制度改定案と現行基準は区別し、実際に申請する時点の公式案内を確認します。
02|個人の資料と、家計の説明をつなぐ
本人・配偶者・家計の3つに分ける
最初から一つの「世帯年収」だけを書こうとすると、誰の給与か、どの年の実績か、家族間の送金を重ねて数えていないかが分かりにくくなります。二人の収入をそれぞれ確認した後、家計との関係を整理します。

本人の欄
申請人の職業と収入
現在の在留資格、職業、勤務先、給与・所得、雇用の期間を記載します。無収入や休業中の場合も、状態と期間を省略せずに整理します。
配偶者の欄
生活を支える収入の根拠
配偶者の国籍・在留資格、職業、給与・所得、勤務の実績と今後の予定を記載します。本人と配偶者の書類を取り違えないようにします。
家計の欄
生活費の分担と支出
二人の住居費・食費等を誰が負担し、ほかに何人を支えているかを記載します。家族間の振替と外部から得た収入を分けます。
整理メモの項目例
本人・配偶者の別/職業・在留資格/収入の種類/収入の対象年・月/資料名と名義/生活費の分担/扶養する人/現在の実績・今後の予定/未確認事項
これは説明準備のための例で、入管庁の指定様式ではありません。二人の証明書を一つに加工したり、必要な原資料をこのメモだけに置き換えたりするものではありません。
同居・口座名義だけでは、負担関係は分かりません
夫婦で別々の口座を使っていても、家賃は配偶者、食費は本人というように分担していることがあります。生活費用の口座へ毎月移す場合は、誰の収入を移したかを確認します。反対に、同じ住所で暮らしているというだけで、すべての費用を一緒に負担しているとは限りません。
単身赴任などで住まいが分かれる場合は、住居費が二重にかかることや、生活費の送金等も整理します。住民票の記載、実際の居住、生活費の負担が異なる場合は、その経緯を説明できるようにしてください。
03|「誰の書類か」を最初に決める
職業の「又は」と、所得の「及び」を確認する
配偶者等の申請案内と就労資格・家族滞在の申請案内では、職業資料は申請人又は申請人を扶養する方、所得・納税資料は申請人及び申請人を扶養する方について求められています。配偶者という関係と、実際に申請人を扶養する立場が同じとは限らないため、案内の対象者を確認します。
「配偶者の在職証明があるので、本人の税証明も不要」といった読み替えはしません。夫婦とも収入がある場合や一方に収入がない場合は、それぞれの状況を明らかにし、区分別のチェックシートと個別の追加資料通知に沿って準備します。詳しい一覧は永住申請の必要書類で確認してください。

| 在職証明・職業資料 | 名義:申請区分の案内で対象となる本人又は扶養する方の職業を確認します。配偶者の給与を家計の説明に使う場合は、配偶者の勤務先・在職状況を対応させます。 補う点:在職証明だけでは給与額や将来の契約更新までは分かりません。必要に応じて労働条件通知書・契約書等で条件を確認します。 |
|---|---|
| 課税・非課税証明書、納税証明書 | 名義:誰の証明書が必要かを確認し、本人分・配偶者分を別々に整理します。証明年度と、記載された所得の対象年を対応させます。 補う点:非課税だから資料不要とは限りません。世帯を説明する場合でも、二人の証明書を一方の名義へまとめるものではありません。 |
| 源泉徴収票・確定申告書控え等 | 名義:給与を受けた人、申告した人の資料です。給与の場合と事業の場合で見る項目を分け、各年の所得資料とつなぎます。 補う点:前職分を含む源泉徴収票と、別途保管している前職の源泉徴収票を重ねて加算しないよう確認します。 |
| 給与明細・入金記録 | 名義:給与を受ける人と振込先を確認します。直近の勤務・給与や、配偶者が生活費を負担する流れを説明する補足に使います。 補う点:振込額は控除後の金額です。明細の額面や、税証明の所得額と同じ項目として比べません。 |
| 家族・家計の資料 | 対象:申請人を含む世帯、婚姻関係、扶養される人、生活費の分担を整理します。住民票や身分関係の資料は、自分の区分の公式案内に沿って確認します。 補う点:家賃・生活費等の記録は個別事情に応じた補足例です。全員にすべての家計資料の提出を求める一覧ではありません。 |
二人の資料を、同じ対象年で並べる
例えば課税証明書の年度と所得の関係では、「令和8年度」は令和7年中の所得を基にしています。本人の直近の給与見込みと配偶者の過去年分の所得を足して、一つの年の実績としないでください。証明書にある年度・所得対象年・発行日を読み分けます。
必要な対象期間は申請区分によって異なります。配偶者が就職したばかりでも、最近の給与明細だけで過去の必要資料が一律に不要になるわけではありません。転居・入国時期等で取得できない年度があるときは、課税・納税証明書を取得できない場合の整理に沿って、発行状況と公式案内を確認します。
表の資料例をすべて一律の必須資料とするものではありません。日本で発行される証明書の発行時期、番号の省略・マスキング等も、提出時点の区分別案内に従ってください。
04|合算する前に、金額の種類をそろえる
給与収入・所得・家族間の入金を分ける
給与収入と所得は同じではない
給与収入は勤務先からの給与等の額、給与所得はそこから給与所得控除等を反映した額です。給与明細の手取り額も別の数字です。二人を比較する場合は、同じ種類の金額・同じ対象期間を使います。
各人の資料で違いが出たら、源泉徴収票・課税証明書・給与明細を同じ欄で比べる方法を使い、金額の種類をそろえてから家計全体を整理します。
自営業の配偶者については、売上額をそのまま給与年収と同じ意味で足しません。収入・経費・所得を資料で確認し、生活費に充てている状況と分けて説明します。
口座間の移動で収入を増やさない
配偶者の給与を本人名義の生活費口座へ移した場合、その振替は新たにもう一度得た給与ではありません。配偶者の収入と、本人の口座への入金を二重に数えないようにします。
預貯金の取崩し、一時的な援助、保険制度の給付も、それぞれ性質が異なります。通帳に入った金額をすべて継続的な給与として扱わず、支払元と目的を確認します。
パート・休業・転職後の収入は、実績と予定を分ける
配偶者のパート収入を説明する場合は、勤務時間、雇用期間、給与の変動、複数の勤務先の有無を整理します。雇用形態の名称だけで一律に除外したり、常に同じ年収が続くと想定したりしません。賞与、残業代、未確定の契約更新等も、実績と見込みを分けます。
育休等で給与が減り給付を受けている場合は、給与・非課税の給付・課税所得を分けます。具体的な説明は産休・育休・休職期間の生計説明へ。退職・転職や雇用形態変更は職歴と収入の変化の整理で補足しています。
05|同じ「扶養」でも確認する制度が異なる
税・社会保険・在留資格を混同しない
「扶養に入っている」「扶養から外れた」という言葉だけでは、どの制度の状態かが分かりません。世帯の生活を説明するときは、実際の費用負担と、各制度の手続・認定を分けて記録します。
| 税の配偶者控除等 | 所得税の所得控除に関する制度です。配偶者の所得や生計関係等を確認しますが、その適用の有無だけで、永住申請の生計要件を満たしたことにはなりません。 配偶者控除等の対象でなくても、二人が実際に生活費を分担している状況は別に整理します。 |
|---|---|
| 健康保険の被扶養者 | 主に被保険者に生計を維持されていることや、収入等の条件による認定です。収入の対象に税で非課税となる給付が含まれるなど、所得税とは取扱いが異なります。 健康保険の被扶養者であることと、国民年金の第3号被保険者であることも、対象要件をそれぞれ確認します。 |
| 永住申請での世帯生計 | 配偶者等と構成する世帯で安定した生活を続けられるかを説明します。本人・配偶者の職業と収入、生活費の分担、扶養人数、今後の継続を資料でつなぎます。 税や健康保険の認定結果を、そのまま永住許可の判断に置き換えません。 |
配偶者が外国籍なら、働ける範囲も確認する
「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」と、就労資格を持つ外国人の家族としての「家族滞在」は異なる在留資格です。「配偶者だから自由に働ける」と一括りにせず、現在の資格と許可の内容を確認します。
「家族滞在」は扶養を受ける配偶者又は子としての活動を前提とします。収入を伴う仕事をする場合は、資格外活動許可と、その範囲に沿った勤務が必要です。収入資料だけでなく、勤務時間・仕事内容・扶養関係も確認してください。世帯収入の説明を理由に、許可範囲を超える働き方を前提にはできません。
家族滞在からの申請は家族滞在の方の永住申請、日本人の配偶者としての申請は日本人の配偶者等から永住する場合で、申請ルートと合わせて確認してください。
06|自分に近い状況から、資料をそろえる
よくある3つの状況と確認の順番
以下は説明のための仮の状況です。許可事例や一律の判断基準ではありません。

例1|夫婦共働き
二人の給与で生活する
二人の職業と年ごとの収入を分け、家賃・生活費・家族の負担と対応させます。税証明の対象年と直近給与の実績を混ぜません。
合計額を示す場合も、元の名義と資料が分かる形にします。
例2|本人が無収入
配偶者が主に負担する
本人が無収入の期間と理由、配偶者の職業・所得、世帯の生活費を確認します。本人の非課税証明等が必要かも申請区分に沿って確認します。
配偶者の資料だけで本人の状態説明を省略しません。
例3|配偶者の収入が変化
就職・休業・勤務時間変更
変化した日と前後の条件を確認します。働き始めたばかりなら、契約上の見込みと実際の勤務・給与を分け、過去の家計も説明します。
将来の予定を、すでに得た年収として記載しません。
相談前に確認したい5項目
- 本人と配偶者の申請区分・職業・現在の在留資格を整理した
- 誰の職業・所得・納税資料が必要かを公式案内で確認した
- 証明書の名義と対象年をそろえ、収入・所得・手取りを区別した
- 生活費の分担と扶養する人数、収入が変わった期間を説明できる
- 税・社会保険・資格外活動の取扱いと、未確認事項を整理した
本人の収入がなく配偶者の雇用も不安定、資料の年度・名義が食い違う、別居や家計分離がある、働ける範囲や扶養関係が不明といった場合は、申請時期を決める前に確認事項を整理します。
扶養する人数が多い場合は扶養人数と年収の整理へ。家族が一緒に永住申請するかどうかは、世帯生計の説明とは別の検討です。家族で同時申請する場合の注意点で、それぞれの申請要件と資料を確認してください。
FAQ
配偶者収入と永住申請のよくある質問
本人に収入がなくても、配偶者の収入で説明できますか?
入管庁は、配偶者等との世帯で安定した生活を継続できる場合の考え方を示しています。本人が無収入の期間と状態、配偶者の職業・収入、生活費の負担を資料で整理します。申請区分により要件の扱いは異なり、配偶者に収入があるだけで許可や本人資料の省略が保証されるものではありません。
配偶者のパート収入も、世帯収入の説明に使えますか?
実際の収入と家計の分担を示す資料として整理します。名称だけで一律に扱わず、勤務時間、契約、給与実績、今後の見込みを確認します。配偶者が外国籍なら、在留資格や資格外活動許可の範囲も別に確認してください。二人の収入の単純合算で許否を判断するものではありません。
配偶者控除や健康保険の扶養に入っていれば十分ですか?
税の所得控除、健康保険の被扶養者認定、永住申請の世帯生計は、目的も確認事項も異なります。認定の有無だけで判断せず、職業・収入・生活費の分担を説明します。扶養から外れた場合も、何の制度で、いつ変更したかを整理してください。
配偶者の課税証明書があれば、本人の分は不要ですか?
一律に不要とはいえません。公式案内では、職業資料と所得・納税資料で対象者の書き方が異なります。本人分も必要か、収入がない場合に非課税証明等をどう用意するかを、自分の申請区分のチェックシートで確認します。発行できない事情がある場合は、資料を省略する前に公式案内に沿って確認してください。
CONSULTATION
二人の収入と家計を、
資料と一緒に整理します
エールZEAL国際行政書士事務所では、本人と配偶者の職業・収入、生活費の分担、扶養関係、書類の名義と対象年を確認し、永住申請に向けて補う資料と進め方を整理します。支援範囲や費用は相談・見積りで確認します。
初回は、二人の在留資格・職業、収入の概要、家族人数、生活費の分担をお知らせください。税証明・給与明細・在留カード等の画像や個人番号は、最初の問い合わせフォームでは送らず、資料の受渡方法の案内後に必要範囲を確認します。
PRIMARY SOURCES & EDITORIAL NOTE
一次情報・更新情報
最終公式情報確認日:2026年9月10日。以下の公的情報を基に、配偶者の収入と生活費の負担を説明するための整理方法を編集しています。各制度の確認事項は異なります。提出資料や制度の運用は、申請・手続時点の公式案内も確認してください。