維持・管理 / 情報確認日 2026-10-04

この記事でわかること
  • 青色・白色の税務資料から様式18・19へ書くための準備
  • 事業主貸・借を含む純資産600万円の架空計算と貸借の確認
  • 赤字や青色控除後の所得を、許可の財産的基礎と混同しない見方

青色・白色のどちらでも、建設業用の2つの様式を作る

個人事業主は様式第18号の貸借対照表と第19号の損益計算書を作成します。第19号には材料費・労務費・外注費・経費の欄があり、法人の第16号に付く完成工事原価報告書を別に作る扱いとは異なります。商号又は名称、対象期間、決算日を最初にそろえます。

青色申告なら確定申告書・青色申告決算書・残高試算表、白色申告なら確定申告書・収支内訳書・収入経費の帳簿を出発点にします。さらに工事台帳、未収・未払一覧、預金残高、借入返済表、材料棚卸、固定資産の記録、前期控えを用意します。白色の収支内訳書だけでは年末の資産・負債が一覧になっていないため、第18号を書く資料が不足しがちです。青色でも簡易な記帳なら、同じように残高を補います。売上と経費が分かること、年末残高が分かることを別々に点検してください。

確認元:埼玉県:様式第18号・個人の貸借対照表 埼玉県:様式第19号・個人の損益計算書 埼玉県:申請書類一覧(令和8年4月) 国税庁:令和7年分青色申告決算書の書き方 国税庁:令和7年分収支内訳書の書き方

売上は、建設工事・兼業・その他の収入へ分けて読む

税務資料の売上や雑収入を、そのまま完成工事高へまとめません。工事の売上、施工を伴わない商品の販売などの兼業、利息等を取引ごとに確認します。第19号の記載要領は、兼業の売上が総売上の10分の1を超えるとき、兼業の売上と原価を建設業から分けて表示するよう定めています。欄が足りないときは県の案内に従い、余白や使用しない科目等を活用します。

架空の個人事業Bは工事売上12,000、兼業売上3,000千円、合計15,000千円です。兼業割合20%なので区分表示し、第3号の工事施工金額との照合には12,000千円を使います。年末に工事代金2,000千円が未入金でも、売上として認識した分は完成工事高と未収残高を対応させます。入金額だけで集計した帳簿や、税務で現金主義の特例を使う場合は、計上基準の違いを確認して組み替えます。以下の例は引渡し時に工事収益を計上する前提です。

確認元:埼玉県:様式第19号の記載要領 埼玉県:決算報告提出の手引き(令和8年4月) 国税庁:令和7年分収支内訳書の書き方

材料・給料・外注を、完成工事の原価へ組み替える

税務資料の仕入金額、給料賃金、外注工賃等から、第19号の原価4区分を検討します。材料は当期購入分だけで決めず、期首・期末の在庫と工事への使用を確認します。直接作業員の賃金、本社事務員の給与、外注契約の支払いを、仕事の内容から分けます。

個人事業Bの完成工事原価は材料3,000、労務2,000、外注2,000、経費1,000千円、計8,000千円とします。「うち労務外注費」を記載しても、労務費に含まれる内数として扱い、原価へもう一度足しません。期末の未成工事に残す原価1,000千円、まだ使っていない材料500千円は、この完成工事原価と区別します。現場と本社で共用する車両等の費用も、記録した使用状況と整合する配分を行い、利益を合わせるため毎年都合よく振り分けないことが大切です。

青色・白色の帳簿から個人の建設業様式へ整理する対応例
税務資料・帳簿建設業用の欄確認する資料・区分
売上・雑収入第19号:完成工事高、兼業売上、営業外収益等工事契約、物販、利息等の実態を分ける
仕入・給料・外注工賃第19号:完成工事原価4区分完成/未成、在庫、現場/本社の仕事
売掛・買掛・棚卸第18号:完成工事未収入金、工事未払金、未成工事支出金等年末残高と工事番号で確認
元入金・前年残高第18号:期首資本金前期末の資本合計との対応
私費の事業投入・生活費引出し第18号:事業主借/事業主貸通帳・家事費の集計・帳簿
青色控除・白色専従者控除税務との組替・差額の確認メモ実際の取引や給与と区別し、利益へ一括転記しない

確認元:埼玉県:様式第19号・個人の損益計算書 国土交通省:勘定科目の基礎分類(旧掲載)

家事費と専従者の項目は、給与や経費へ一括転記しない

自宅兼事務所の電気や、仕事と私用で使う車は、事業分を明らかに区分できる資料を残します。架空の電気代120千円で使用実態から事業分50%と説明できる場合なら、事業費60、家事分60千円に分けます。50%は共通の法定割合ではありません。事業口座から家事分を払ったときは、家事費を経費に残さず事業主貸との関係を確認します。この例は按分の説明用で、下表の費用にさらに加算する数字ではありません。

専従者関係も青色と白色で異なります。青色事業専従者給与は届出・従事状況・支払等の税務要件を確認し、実際の業務から原価又は管理費への分類を検討します。白色の事業専従者控除は、青色の給与と同じ支払明細ではありません。控除額を機械的に従業員給料手当へ入れず、帳簿の取引、税務上の控除、建設業様式への組替を分けたメモを作り、個別の計上方法を確認します。本人の生活費や所得税・住民税も事業経費へ入れないでください。

確認元:国税庁:必要経費の知識(令和8年4月1日現在) 国税庁:青色事業専従者給与と事業専従者控除

事業主利益と、青色控除後の所得を区別する

第19号は完成工事総利益から販売費及び一般管理費を引き、営業外収益・費用を加減して事業主利益を求めます。兼業を区分する場合も、事業全体の損益を落とさず集計します。法人用の当期純利益の欄を流用したり、生活費を役員報酬として差し引いたりしません。

下表は工事と兼業の粗利益5,500、管理費2,500、支払利息200千円なので、事業主利益は2,800千円です。税務との調整項目が青色申告特別控除だけという架空の条件で650千円の控除が適用されると、控除後の所得は2,150千円になります。第19号に書く利益を、その控除後の数字へ減らす例ではありません。控除額を経費として再度差し引くと、第18号の資本にも誤りが広がります。実際には税務と会計の差や兼業の所得区分も確認し、必ず同じ数字になると決めつけず、差額の理由を説明できる形にします。

個人事業Bの損益と青色控除の比較(架空例、単位:千円)
科目・計算段階金額記載・計算の確認
完成工事高/兼業売上12,000/3,000総売上15,000。兼業割合20%
材料費/労務費/外注費/経費3,000/2,000/2,000/1,000完成工事原価合計8,000
完成工事総利益4,00012,000−8,000
兼業売上原価/兼業総利益1,500/1,5003,000−1,500
粗利益合計/販売費及び一般管理費5,500/2,500営業利益3,000
営業外収益/支払利息0/200第19号の事業主利益2,800
青色控除前の所得(例の仮定)2,800税務との他の調整項目がない場合
青色申告特別控除(適用されると仮定)650事業経費として重ねて引かない
青色控除後の所得2,150この控除後額を事業主利益へ写さない

確認元:埼玉県:様式第19号・個人の損益計算書 国税庁:令和7年分青色申告決算書の書き方

第18号は、通帳だけでなく未収・未払と在庫も集める

現金預金は、事業で扱う年末残高を通帳等と照合します。事業用と生活用が混在した口座では、口座全額を説明なく転記せず、帳簿の扱いと事業主貸・借の動きを確認します。完成工事未収入金は請求一覧と入金履歴、工事未払金は材料・外注の未払一覧、借入金は返済予定表から確認します。

下表の資産は現金3,000、完成工事未収入金2,000、未成工事支出金1,000、材料500、固定資産の帳簿価額2,500千円、合計9,000千円です。工事未払1,000、短期借入500、未成工事受入500、長期借入1,000千円で負債は3,000千円です。未成工事の原価と受入代金は、差額だけを一つの科目にしません。工具・車両は購入額のままではなく、償却後の残高とのつながりを確認します。以下は帳簿残高を集約した説明例で、記載していない資産・負債はないものとしています。

確認元:埼玉県:様式第18号・個人の貸借対照表 埼玉県:決算報告提出の手引き(令和8年4月)

期首資本金・事業主借・事業主貸を4項目で照合する

第18号の期首資本金は法人の登記上の資本金とは異なり、前期末の資本合計を引き継ぎます。事業主借は事業外の資金を事業へ入れたもの、事業主貸は営業資金を家事費等へ回したものを確認します。金融機関の事業借入を、名前が似ているから事業主借へ振り替えないようにします。

個人事業Bは期首資本金4,000、事業主借1,000、事業主貸1,800、事業主利益2,800千円です。4,000+1,000−1,800+2,800=6,000千円が純資産となり、負債3,000と合わせて資産9,000千円に一致します。事業主貸は減算する表示なので、△の読み方を統一します。翌期の期首資本金は、本例なら前期末純資産6,000千円とのつながりを確認します。青色控除後の2,150千円を利益として使うと650千円の不一致が生じるため、利益の転記元まで戻って直します。

個人事業Bの年末貸借と資本の架空例(単位:千円、科目は説明用に集約)
区分科目・集計金額
資産現金預金3,000
資産完成工事未収入金2,000
資産未成工事支出金1,000
資産材料貯蔵品500
資産固定資産(償却後の帳簿価額)2,500
資産資産合計9,000
負債工事未払金1,000
負債短期借入金500
負債未成工事受入金500
負債長期借入金1,000
負債負債合計3,000
純資産期首資本金4,000
純資産事業主借勘定1,000
純資産事業主貸勘定(減算)△1,800
純資産事業主利益2,800
純資産純資産合計6,000
照合負債純資産合計=資産合計9,000

確認元:埼玉県:様式第18号の記載要領 埼玉県:決算報告提出の手引き(令和8年4月)

赤字と「自己資本500万円」を一つの数字で判断しない

事業主損失がある場合は損失を0に置き換えず、純資産を減らす形で反映します。別の架空計算で、期首4,000、借1,000、貸1,800千円に事業主損失500千円があるなら、純資産は2,700千円です。黒字か赤字かという単年度の結果と、年末にいくら資本が残るかは別の確認事項です。

一般建設業の財産的基礎には、自己資本500万円以上、500万円以上の資金調達能力などの確認経路があります。個人の自己資本は期首資本・事業主借・利益から貸を引くだけでなく、負債に計上された利益留保性の引当金・準備金を加える定義が県手引きにあります。これらがない本例は純資産6,000千円と同額ですが、預金残高や年間売上だけを自己資本と呼びません。500万円を超えただけで他の許可要件を満たしたともいえません。開始貸借対照表を使う個人は預金残高証明書等も確認し、特定建設業の要件と混同しないようにします。

確認元:埼玉県:許可の要件(令和8年4月) 国土交通省:許可の要件

年度・千円・消費税をそろえ、決算報告と申請へつなぐ

円単位の集計を保存してから千円表示へ換算し、内訳、資産と負債純資産、第19号と第18号の利益、前期末と期首資本金を順に照合します。差が出た場合は端数か、家事費や在庫の漏れか、青色控除の転記誤りかを調べ、事業主貸を理由なく増減して合わせません。

消費税方式は貸借対照表の注に明示します。県の経審用の案内は課税事業者は税抜、免税事業者は税込で、工事資料との前提もそろえます。税込帳簿を全科目一律に割り戻さず、税区分と債権債務の処理を確認してください。県の新規申請は個人の確定申告期限到来前なら1期前でも可、到来後は直近分を添付する案内です。許可後の決算報告は年度終了後4か月以内で、工事経歴・施工金額・納税関係資料等も必要です。国交省のJCIP案内は2026年10月4日確認時点で操作マニュアル2.8版を掲載しています。用紙や入力欄を最新の案内と照合し、年度ごとの控えを保存します。

確認元:埼玉県:様式第18号の記載要領 埼玉県:様式第19号の記載要領 埼玉県:申請書類一覧(令和8年4月) 埼玉県:決算報告提出の手引き(令和8年4月) 国土交通省:JCIPの案内・現行操作マニュアル

確認するときの整理ポイント

  • 青色決算書又は白色の収支内訳書に、年末残高と工事別資料を添えて準備する
  • 第19号の事業主利益と、第18号の事業主利益・純資産の計算を一致させる
  • 青色控除、専従者関係、家事費、消費税方式の差を組替メモで説明できるようにする