新規申請 / 情報確認日 2026-10-04

この記事でわかること
  • 500万円の自己資本と資本金・預金の違い
  • 残高証明の時点、個人の資本、特定建設業の確認ポイント

最初に一般建設業か特定建設業かを分ける

財産的基礎の確認は、一般建設業と特定建設業で異なります。一般建設業では、自己資本500万円以上、500万円以上の資金調達能力、直前過去5年間の許可を受けた継続営業の実績のいずれかを確認する考え方です。初めて許可を申請する事業者は、許可を受けた5年間の実績を使うことはできません。

「創業が5年以上だから残高証明はいらない」「資本金を500万円にしたから他の確認は不要」といった理解を先にほどきます。新規、更新、業種追加等の申請区分と、現在の許可の状態を整理してから、どの経路で財産的基礎を確認するかを決めてください。人員や経験の要件と同様に、実際の資料に基づく確認が必要です。

確認元:国土交通省:許可の要件

法人の自己資本は、貸借対照表の純資産から確認する

法人の場合、自己資本は貸借対照表の純資産合計を確認します。資本金の欄と同じ数字になるとは限りません。利益や損失、他の純資産項目によって純資産合計は変わります。資本金500万円の会社でも、決算で損失が出て純資産がそれを下回ることがあります。逆に、資本金が500万円未満でも、利益等により純資産合計が500万円以上という場合もあります。

下表は他の純資産項目がない前提の架空例です。実際には、提出する直前の財務諸表、決算が終わっているか、作成する建設業用様式との整合性も確認します。通帳の残高があるから純資産も同じ額と考えたり、売上が大きいから自己資本要件も満たすと判断したりしないでください。

資本金と純資産の違い(架空例。他の純資産項目はない前提)
例資本金利益・損失の累計純資産合計
A社500万円累計損失40万円460万円。資本金だけでは判断できない
B社300万円累計利益250万円550万円。純資産合計を確認
C社500万円0円500万円。対象決算と他の項目も確認

確認元:埼玉県:許可の要件(令和8年4月手引き・14~33頁)

借入金で預金が増えても、純資産が同じだけ増えるとは限らない

借入によって預金が増えると、資産と負債がともに増えるため、預金の額だけを見て純資産が増えたと扱うことはできません。財産的基礎を自己資本で確認するのか、資金調達能力で確認するのかを混ぜないことが大切です。どちらの経路を使うかで、確認する資料とその時点が変わります。

作成用の財務メモに、決算期、資本金、純資産合計、預金、借入、未成工事関係の科目を並べます。残高がある口座についても、誰の名義でどの事業者の資金なのかを確認します。数字を基準へ合わせるための書き換えではなく、会計資料の実態と制度上の確認経路を一致させることが、正しい準備になります。

確認元:埼玉県:許可の要件(令和8年4月手引き・14~33頁)

埼玉県の残高証明は、発行日だけでなく証明日を見る

一般建設業の資金調達能力を預金残高証明書等で確認する場合、埼玉県の手引きは、申請受付日を基準として1か月以内の証明日における金額を証明したものとしています。銀行が証明書を発行した日と、残高を証明する基準日は別の場合があるため、発行日だけを見て有効だと判断しないでください。

架空の例で、9月3日現在の残高を9月9日に発行した証明書は、9月9日の残高を証明した書類ではありません。申請予定日を先に置き、その日に対して証明日が条件を満たすか確認します。書類の補正や提出予定の変更で時間が経った場合は、古い証明書をそのまま提出できると決めず、受付時点の条件を確認してください。

確認元:埼玉県:許可の要件(令和8年4月手引き・14~33頁)

個人事業の自己資本は、個人用の科目から計算する

個人の場合は、期首資本、事業主借、事業主利益から事業主貸を控除するなど、個人用貸借対照表の科目に基づいて自己資本を確認します。負債に計上された利益留保性の引当金・準備金の扱いもあるため、事業用預金の合計だけを資本額として書かないでください。開始貸借対照表を用いる場合には、県の案内する残高証明等の追加資料も確認します。

本人の家計から事業へ入れた資金や、事業から生活費へ回した資金があると、事業主借・事業主貸の整理が必要です。税務申告書、個人用貸借対照表、損益計算書の金額がどうつながるかを、元帳から追える状態にします。科目名だけを法人用へ置き換えると、個人事業の資本計算を誤る原因になります。

確認元:埼玉県:許可の要件(令和8年4月手引き・14~33頁) 埼玉県:様式第18号・個人用貸借対照表の記載要領

特定建設業は、500万円だけを満たしても足りない

特定建設業では、欠損比率、流動比率、資本金、自己資本について複数の基準をすべて満たす必要があります。現行手引きの基準は、欠損が資本金の20%を超えないこと、流動比率75%以上、資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上です。一般建設業の500万円の確認と同じ資料の見方で済ませないでください。

流動比率は、流動資産と流動負債から確認します。たとえば架空の例で流動資産900万円、流動負債1,200万円なら75%ですが、この一つの計算が合っても、資本金や自己資本等の条件まで満たしたことにはなりません。最初の決算期が未到来の法人等には別の取扱いもあるため、設立時期と決算の状況を含めて確認します。

確認元:埼玉県:許可の要件(令和8年4月手引き・14~33頁)

申請前は、資料の時点と単位をそろえる

提出用の財務諸表、税務決算資料、残高証明、会社の登記情報を横並びにし、対象の事業者、決算期、証明日、金額の単位を点検します。円と千円を混ぜたり、前期の純資産と今期の資本金を一つの計算に使ったりすると、数字が正しく見えても説明が成立しません。資料ごとに対象時点を表紙へ記載すると取り違えを減らせます。

残高証明を先に取ってから人員資料を数週間集めると、提出時に証明日が古くなることがあります。証明書の取得は全体の申請予定と合わせて調整してください。基準を満たしていない可能性があれば、資料の欠落なのか、計算の誤りなのか、現在の財務状況の問題なのかを分けて確認します。現状をそのまま示す資料から、必要な準備と申請時期を考えることが大切です。

確認元:埼玉県:申請書類・確認資料(令和8年4月手引き・37~62頁)

確認するときの整理ポイント

  • 申請区分と一般/特定を分け、どの確認経路を使うか決める
  • 資本金・純資産・預金を混同せず、対象決算と金額単位を確認する
  • 残高証明の発行日ではなく証明日と、実際の申請受付予定日を照合する