許可区分・工事業種 / 情報確認日 2026-10-04
- 許可を支える営業所技術者等と、現場の主任技術者・監理技術者の役割の違い
- 2025年2月からの5,000万・8,000万と4,500万・9,000万を使い分ける方法
- 直接雇用・出向の特例と、現場同士・営業所と現場の兼務を確認する手順
許可申請の技術者と、工事現場の技術者を別に整理する
建設業許可の要件として営業所に置く営業所技術者等は、契約を結ぶ際の工法の検討、見積りや注文者への技術説明等を支える役割です。一般建設業では営業所技術者、特定建設業では特定営業所技術者と呼びます。一方、主任技術者・監理技術者は、請け負った工事の施工計画、工程、品質、技術上の指導を担当する現場の技術者です。
許可を取るときに第8号へ一人を記載したから、全ての受注現場の配置を確認しなくてよくなるわけではありません。まず「営業所の許可を維持できる人員」と「今回の工事を管理する人員」を分けて書き出します。同じ人が担当する場合も、後述の兼務条件を確認します。
現場代理人も別の役割です。契約の履行や現場の取締り等を行う代理人と、建設業法上の施工の技術上の管理をする者は区別されます。同一人物が兼ねることはありますが、現場代理人の兼務が認められたことだけで、主任技術者等の専任・兼務条件まで満たしたと判断しないでください。
| 役割 | 主な確認対象 | 同じ人が担当する場合 |
|---|---|---|
| 営業所技術者等 | 許可業種の資格・経験、営業所での職務と常勤性 | 現場を兼ねるための個別条件を確認 |
| 主任技術者・監理技術者 | 当該工事の資格・雇用、施工管理、専任の要否 | 営業所の登録だけで配置判断を済ませない |
| 現場代理人 | 契約で定める権限、常駐・兼務等の条件 | 現場代理人と技術者の各条件を別々に確認 |
確認元:国土交通省:営業所技術者等の設置と許可の要件 国土交通省:監理技術者制度運用マニュアル(2025年2月1日適用)
主任技術者か監理技術者かは、受注関係と下請総額で判断する
建設業許可を受けた建設業者は、工事を施工する際、原則として工事ごとに主任技術者を置きます。少額工事だから誰も配置しなくてよいと決めつけないことが出発点です。法令の条件を満たす特定専門工事等には例外がありますが、通常の受注計画で例外を前提にしないようにします。
発注者から直接請け負った工事で、施工のために結ぶ下請契約の総額が5,000万円以上、建築一式工事では8,000万円以上になる場合は、特定建設業許可と監理技術者の配置が必要です。下請契約は一社の金額ではなく合計で見ます。特定許可を持っている会社でも、この金額未満なら主任技術者を置く形になります。
監理技術者はその工事業種に必要な資格等を満たす人を選びます。指定建設業7業種では、一定の1級国家資格等又は国土交通大臣認定による要件が必要です。土木の資格があるから管工事にも配置できる、といった横断的な判断をせず、資格の種類・種別と実際の工事業種を照合します。
確認元:国土交通省:監理技術者制度運用マニュアル(2025年2月1日適用)
2025年2月の改正:監理技術者の基準と専任の基準は別
2025年2月1日施行の見直しで、特定許可・監理技術者の配置に関係する下請総額は、従前の4,500万円・建築一式7,000万円から、5,000万円・建築一式8,000万円へ変わりました。一方、主任技術者又は監理技術者を現場ごとに専任で置く請負額の基準は、4,000万円・建築一式8,000万円から、4,500万円・建築一式9,000万円へ変わっています。
専任は、公共性のある施設・工作物や多数の人が利用する施設等の重要な工事に適用されます。公共発注だけでなく、民間の事務所、工場、共同住宅等も対象です。戸建住宅などの扱いは施設の種類により異なるため、金額だけで判定しません。元請・下請の双方に関係します。
金額は税込で整理し、注文者が材料を提供する場合、専任の判定ではその市場価格又は市場価格と運送費を請負額に加えます。これに対し、特定許可を要する下請総額では、元請が下請へ支給する材料の価格を含めません。同じ「支給材料」でも判断対象が違うので、見積り表の一つの合計を使い回さないことが必要です。
| 判断 | 建築一式以外 | 建築一式 | 比べる金額 |
|---|---|---|---|
| 特定許可・監理技術者が必要 | 5,000万円以上 | 8,000万円以上 | 発注者から直接受注した工事の下請契約総額 |
| 重要な工事で原則専任が必要 | 4,500万円以上 | 9,000万円以上 | 当該業者の請負額。注文者支給材料も所定の計算で加算 |
| ICTを使う専任特例1号の金額上限 | 1億円未満 | 2億円未満 | 各工事の請負額。他の全条件と2現場以下の制限も確認 |
確認元:国土交通省:2025年2月1日施行の各種金額要件見直し 国土交通省近畿地方整備局:適正な施工の確保に向けて(2026年1月改訂)
税込金額の架空例で「一般でも専任」「特定でも非専任」を確認
以下は判断の違いを説明する架空例です。いずれも発注者から直接受ける事務所等の建築一式工事で、注文者支給材料はなく、他の許可要件や契約条件を満たすものとします。自社請負額1億円、下請総額6,000万円なら、下請総額は8,000万円未満です。一般建設業許可で主任技術者を置く場合でも、自社請負額が9,000万円以上なので原則専任が必要です。
自社請負額8,500万円、下請総額8,000万円なら、特定許可と監理技術者が必要です。ただし自社請負額は9,000万円未満のため、ここで示した法定金額による専任の対象にはなりません。発注者が契約で求める配置条件や、他の個別条件は別に確認します。
建築一式以外の公共設備工事で、自社請負額6,000万円、下請総額3,000万円なら、主任技術者を原則専任で配置することになります。「監理技術者でないので兼務自由」「特定許可があるので受注前確認は不要」といった判断を避け、許可区分・配置する役職・専任の要否を三つの欄に分けます。
| 税込自社請負額 | 税込下請総額 | 必要な許可・技術者 | 法定金額による専任の判断 |
|---|---|---|---|
| 1億円 | 6,000万円 | 一般許可で主任技術者 | 9,000万円以上のため原則専任 |
| 8,500万円 | 8,000万円 | 特定許可と監理技術者 | 9,000万円未満。金額基準による専任対象外 |
| 1億2,000万円 | 8,500万円 | 特定許可と監理技術者 | 9,000万円以上のため原則専任 |
確認元:国土交通省:2025年2月1日施行の各種金額要件見直し 国土交通省:監理技術者制度運用マニュアル(2025年2月1日適用)
直接的かつ恒常的な雇用を確認し、出向の例外を一般化しない
主任技術者等は、所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要です。資格証だけ借りた人や、工事期間だけ名義を借りた人を置く方法ではありません。雇用証明、住民税特別徴収税額通知書、社会保険の標準報酬決定通知書、資格者証の所属会社等により実際の勤務関係を確かめます。
在籍出向者・派遣社員は原則として直接的な雇用とは扱われません。企業集団等には例外があり、2024年4月1日適用の「3か月後等配置可能型」では、同じ親会社の連結子会社間の出向も対象に加わりました。連結子会社間では民間元請や下請の配置にも、入札申込等の前に出向先との3か月以上の雇用関係が必要です。出向元の雇用、出向契約、対象となる企業集団の資料を用意します。
一方、親会社と連結子会社の間の「即時配置可能型」は、国土交通省の企業集団確認を受ける等の条件があり、その工事の下請に所定のグループ会社が入る場合は使えません。両制度を混ぜて、グループ会社から来た人なら全員すぐ配置できると判断しないでください。
通常の公共工事の元請の専任技術者等にも、原則3か月以上の雇用関係の確認が必要です。起算日は入札方式・発注者の条件で確認します。全ての民間工事へ一律に広げず、出向特例の追加条件や県発注工事の入札説明書・運用と照合します。
確認元:国土交通省:監理技術者制度運用マニュアル(2025年2月1日適用) 国土交通省:2024年4月1日適用の企業集団制度の合理化 国土交通省:企業集団内の出向社員の取扱い(2024年3月26日通知・4月1日適用) 埼玉県:技術管理例規集・技術者専任関係
専任は常駐と同義ではなく、契約期間中の扱いも確認する
専任とは、他の現場の職務を兼ねず、その工事の職務に継続して従事することです。現場を一瞬も離れられないという意味ではありません。研修、講習、休暇等で短期間離れる場合も、施工を適切に管理できる体制を確保し、元請なら発注者、下請なら元請又は上位下請の了解を得ることが前提です。「電話がつながるから、別現場へ毎日行ってよい」という説明とは異なります。
元請の専任期間は契約工期が基本ですが、現場施工への着手前、全面的な工事中止、工場製作だけの期間、完成検査後で事務手続き等だけが残る期間などは、所定の条件で専任を要しない場合があります。発注者との書面で期間を明確にします。
下請では担当工事が実際に施工される期間を確認します。自社作業員がいない日でも、自社の下請が担当範囲の施工を続けているなら、配置管理を外してよいとはいえません。工程表だけでなく下請の作業予定も並べ、休止・再開や他工事への配置について、その都度条件を確認します。
確認元:国土交通省:監理技術者制度運用マニュアル(2025年2月1日適用) 国土交通省近畿地方整備局:適正な施工の確保に向けて(2026年1月改訂)
現場同士の兼務:ICT特例と監理技術者補佐を置く特例を分ける
専任不要の工事でも、各現場で職務を実行できる範囲でなければ兼務できません。距離だけでなく、工程の重なり、重要な検査への立会い、事故時の対応まで確認します。専任を要する工事同士には、2024年12月13日施行の専任特例1号など、別の条件があります。
専任特例1号は各請負額が1億円未満、建築一式は2億円未満、現場数は2以下です。さらに一日の勤務時間内に巡回でき片道おおむね2時間以内、下請次数3以下、連絡員の配置、遠隔での入退場等の施工体制確認、映像・音声による現場確認、人員配置計画の作成・備置き等が必要です。一式工事の連絡員には同業種の実務経験1年以上が求められます。金額・距離・スマートフォンの有無だけでは決まりません。
専任特例2号は、各現場に所定資格の監理技術者補佐を専任で置き、監理技術者が2現場まで兼務する仕組みです。主任技術者には使えません。制度を混ぜて条件を少なく見積もらず、利用する特例を決めて発注者の条件・県発注工事の要領と照合します。
確認元:国土交通省:2024年12月13日施行の専任義務の合理化・営業所技術者等の職務の特例 国土交通省:専任工事現場の兼任に関する要件 埼玉県:技術管理例規集・技術者専任関係
営業所との兼務は別の条件で、専任現場の兼務は一つまで
営業所技術者等が現場を兼ねる場合は、現場同士の2件兼務と同じ制度ではありません。特定営業所技術者は主任又は監理技術者、営業所技術者は主任技術者の職務を、所定条件で兼ねることができます。特に専任を要する現場との兼務は、その人が置かれる営業所で請負契約を締結した工事で、兼ねる現場数は1以下です。
各請負額が1億円未満・建築一式2億円未満等の条件に加え、営業所からの移動時間、下請次数、連絡員、ICT、人員配置計画、直接的かつ恒常的な雇用を確認します。現場同士の専任特例との併用はできません。「営業所1か所と現場2件」の体制を、専任特例1号の2現場にそのまま当てはめないでください。
非専任の現場と営業所が近接している場合にも、当該営業所での契約、常時連絡、双方の職務を実際に行えること等が条件になります。現場へ出す人を選ぶ前に、営業所での見積り・契約対応の予定を確認し、許可維持に必要な営業所の職務が空白にならないようにします。
確認元:国土交通省:監理技術者制度運用マニュアル(2025年2月1日適用) 国土交通省:2024年12月13日施行の専任義務の合理化・営業所技術者等の職務の特例
受注前の配置表を作り、増額・追加下請の時に判定し直す
実務では、工事名、業種、発注者、元請・下請の別、税込請負額、下請総額、支給材料、工期、専任期間、技術者の資格・雇用開始日、他の担当現場を一覧にすると確認漏れが減ります。兼務を使う場合は根拠となる制度と計画書、発注者への説明・確認状況も残します。専任の監理技術者は、資格者証と監理技術者講習の条件・有効な履歴も確認します。
契約変更で下請総額が基準以上となれば、監理技術者への変更や特定許可が問題になります。専任特例の上限まで増額すれば、兼務を続けられないこともあります。受注時の判定を固定せず、追加契約前に配置担当者へ金額・工程を共有してください。途中交代は注文者との合意や引継ぎ等を含め慎重に進め、発注者が求める書類と手順も確認します。
確認元:国土交通省:監理技術者制度運用マニュアル(2025年2月1日適用)
確認するときの整理ポイント
- 工事業種、発注者から直接の受注か、自社請負額と下請総額、注文者支給材料を別々に整理したか
- 配置予定者が工事に必要な資格・経験と直接的かつ恒常的な雇用関係を満たし、公共工事の雇用期間等も確認したか
- 専任の要否と期間、利用する兼務制度、営業所の職務、発注者の条件を確認し、金額変更時に再判定できるか
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