在留資格別|就労ビザからの永住申請

就労ビザで10年未満でも高度人材ポイントを使えるケース

「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザのままでも、高度人材ポイントによる永住許可の特例を利用できる場合があります。「高度専門職」への変更を必ず先に行う制度ではありません。

ただし、今の点数だけで申請できるとは限りません。この記事では、在留10年未満の方が、活動内容・ポイント・在留の継続性・その他の要件を順に確認し、自分が検討できる申請ルートを整理します。

最終法令・公式情報確認日:2026年9月8日

紺と青緑の書類と、2本の経路を並べた紙の立体イラスト。
申請ルートを検討するためのイメージ。

01|対象になる人

「高度専門職」への変更前でも、特例を検討できます

通常の就労ルートでは、原則として引き続き10年以上日本に在留し、そのうち就労資格(「技能実習」「特定技能1号」を除く)又は居住資格で引き続き5年以上在留することが求められます。一方、高度人材ポイントによる特例の条件を満たす場合は、原則10年を待たず、70点なら3年、80点なら1年の在留歴で申請を検討できます。根拠は、永住許可に関するガイドラインの1(3)ア・2(6)(7)です。

入管庁は、高度専門職以外の在留資格で在留する人向けに、80点の申請案内「4-(1)-イ」と、70点の申請案内「4-(2)-イ」を設けています。過去に高度人材として認定を受けていなくても、過去の点数を資料で立証するルートが用意されています。

資格の名称に加え、実際の仕事内容を確認

ポイント表は、高度学術研究活動(イ)、高度専門・技術活動(ロ)、高度経営・管理活動(ハ)の3類型です。例えば、技術・人文知識・国際業務で働く技術者は、実際の業務が対応する場合に「ロ」での計算を検討します。就労ビザがあるだけで、誰でも好きな表を選べるわけではありません。

合計点以外の条件も確認

活動に対応する学歴・職歴・報酬等の条件も確認します。高度専門・技術活動(ロ)と高度経営・管理活動(ハ)では、最低年収300万円の基準があり、年収がこれに達しない場合は合計点だけでは高度人材と認められません。この金額は、永住許可を保証する年収額ではありません。

活動区分・最低年収の根拠:ポイント評価の仕組み、高度人材ポイント制Q&A(Q2・Q12)。

ルート全体は高度専門職・高度人材から永住、通常の就労ルートとの比較は就労ビザから永住で確認できます。

02|70点・80点の違い

必要な点数と、さかのぼる期間が違います

次の比較は、高度専門職以外の就労系在留資格のまま申請する場合の整理です。「申請日」は、永住許可申請をする日を指します。

緑のある歩道を駅へ向かう人の後ろ姿

70点以上のルート

申請時の点数
70点以上
過去の基準時点
申請日の3年前に70点以上
点数と在留の継続
3年以上継続して70点以上を有し、日本に在留していること
公式の申請区分
永住許可申請4-(2)-イ

80点以上のルート

申請時の点数
80点以上
過去の基準時点
申請日の1年前に80点以上
点数と在留の継続
1年以上継続して80点以上を有し、日本に在留していること
公式の申請区分
永住許可申請4-(1)-イ

2時点で足りれば、その間の点数は問われない、とは判断しないでください。

申請案内は申請時と過去のポイント計算表を求めていますが、現行ガイドライン2(6)イ・2(7)イには、必要な点数を継続して有する条件も明記されています。誕生日、転職、減収、勤務先の加点条件の変更などで、途中に基準を下回っていないか確認します。

例えば2026年9月8日に申請するなら、70点ルートの基準日は2023年9月8日、80点ルートは2025年9月8日です。過去の好きな日を選ぶのではなく、申請予定日から逆算します。申請を延期したときは、基準日も見直します。

根拠:現行ガイドライン2(6)(7)、各申請案内の「高度専門職ポイント計算表等」。

03|適用可否の判断手順

自分が使えるルートを、5つの順番で確認する

  1. 在留カードと仕事内容から、計算する活動区分を選ぶ

    現在の在留資格、許可された在留期間、在留期限を確認し、実際の業務・契約内容を3類型に照らします。資格名、肩書、学歴だけで決めず、申請時と過去の活動内容に合った計算ができるかを確認します。

  2. 申請予定日時点のポイントを計算する

    入管庁のポイント計算表・参考書式を使い、学歴、関連する職歴、年収、年齢、日本語能力等を確認します。加点の重複制限や最低年収も含めて計算し、裏付けのない加点は「要確認」として分けます。

  3. 80点・1年又は70点・3年を、過去にさかのぼって照合する

    現在80点以上なら、まず1年前も80点以上だったか、1年以上維持して継続在留しているかを確認します。満たさなくても、3年前から70点以上を維持して継続在留していれば、70点ルートを検討できます。現在70点未満なら、このポイント特例の条件は満たしません。

  4. その間の在留と点数の変化を並べる

    入出国、転職、退職、報酬変更、年齢区分の変更、学位・資格取得などの日付を時系列にします。現在取得している学位や資格を、取得前の過去の日付へさかのぼって加点しないことが大切です。長期出国や就労の空白があるときは、点数の維持と在留の継続性をそれぞれ確認します。

  5. 他の永住要件と、立証できるかを確認する

    在留期間、素行、生計、公的義務なども確認し、条件を満たすことを資料で示せるかを点検します。「点数は足りそうだが資料がない」「途中の点数が不明」という場合は、申請可能と決めず、資料の補足や申請時期の検討へ進みます。

過去の計算は、過去の事実を使います。

公式案内では、過去のポイントも原則として現在のポイント計算表で計算します。ただし、当時の計算表と当時の加点対象が分かる資料等により、当時の表で必要点数を満たしたことを立証する扱いもあります。基準日ごとの年収・年齢の扱い、計算表の版、証拠資料の対応は、高度人材70点・80点の基準時点と立証資料で詳しく扱います。

在留歴の基本は在留年数・在留歴の要件を確認してください。

04|状況別の検討例

10年未満でも検討できるケース・確認が必要なケース

以下は制度を説明するための仮定の例です。実際の許可事例ではなく、いずれも他の永住要件と資料の確認が必要です。

開いた手帳とペン、腕時計を置いた机

CASE 01|在留4年・技術者

技人国のまま、3年前から70点以上を維持

技術・人文知識・国際業務で専門業務に従事し、申請時75点、3年前70点で、その間も70点以上を維持して日本に継続在留している場合。

70点・3年のルートを検討できます。高度専門職へ先に変更することが必須ではありません。

CASE 02|在留1年6か月

申請時も1年前も80点以上、その間も維持

活動内容に適合する計算で、申請時85点、1年前80点。1年以上80点以上を維持して日本に継続在留している場合。

80点・1年のルートを検討できます。「入国から1年で必ず許可」されるという意味ではありません。

CASE 03|最近の昇給で80点

現在80点でも、1年前は75点

1年前は75点だったため、現在の80点だけでは80点ルートの条件を満たしません。ただし、3年前から70点以上を維持し、3年以上継続在留している場合。

70点・3年のルートを検討します。現在80点以上だから必ず1年ルート、とは限りません。

CASE 04|途中で点数が下がった

申請時と1年前は80点でも、途中は75点

転職や年齢の区分変更等により、途中で75点になった期間がある場合。現在の点数が回復していても、その期間を無視できません。

80点を継続して維持した期間を再確認します。70点ルートの条件を別に満たすかも検討します。

CASE 05|点数・年数は満たす

在留カードの「在留期間」が1年

技術・人文知識・国際業務で、80点を1年以上維持していても、許可された在留期間が「1年」の場合。

現在の在留期間の要件が別に残ります。ポイント特例だけで、この要件が免除されるわけではありません。

CASE 06|日本での在留が1年未満

海外にいた時期から80点相当だった

海外勤務時の経歴等から高い点数を計算できても、日本に継続して在留した期間が1年未満の場合。

80点ルートの日本での継続在留期間を満たしません。海外での期間をそのまま日本での1年に足すことはできません。

05|特例でも残る要件

短縮されるのは在留歴の要件です

高度人材ポイントは、永住審査全体を免除する制度ではありません。現行ガイドラインに沿い、次の条件も別に確認します。

素行・安定した生計・適正な活動

法令遵守、将来にわたる生計の安定、現在の在留資格に係る上陸許可基準等への適合を確認します。最低年収基準を満たすことだけで、世帯の生計についての確認が終わるわけではありません。

税金・年金・健康保険・入管への届出

納税、年金・公的医療保険料の納付、必要な届出等を適正に履行していることが必要です。申請前に支払ったとしても、期限後の納付は原則として消極的に評価されます。提出対象の年数が短いことを、以前の問題を記載しなくてよい理由にしないでください。

「日本で1年暮らした」と「1年の在留期間を許可されている」は別の意味です。

永住申請には、現在の在留資格について最長の在留期間で在留していることが求められます。2027年3月31日までは、在留期間「3年」を最長と扱います。同日時点で「3年」を有する人には、その在留期間内に処分を受ける初回に限る経過措置があります。2027年4月1日以降も一律に3年でよい、とは判断できません。

対象となる許可期間と経過措置は、現在の在留期間の要件で確認してください。「在留期限まで3年以上残っている」という条件でもありません。

本記事は2026年9月8日に確認した現行ガイドラインに基づきます。別途公表されているガイドライン改定案は現行要件と区別し、申請予定日に適用される取扱いを再確認してください。改定・経過措置の全体像は2026〜2027年の永住許可制度改定で整理しています。

06|申請前の整理

相談前に、この7項目をそろえてください

  • 現在の在留資格・許可された在留期間・在留期限
  • 入国から現在までの在留資格、仕事、主な出国の時系列
  • 永住申請を予定している日
  • 実際の業務と、ポイント計算で使う活動区分
  • 申請時・1年前又は3年前の点数と、その間に点数が変わった日
  • 加点の裏付け資料について「手元にある・取得可能・不明」の区別
  • 生計、納税、年金・健康保険、届出に関する未確認事項

とくに、点数が70点・80点ぎりぎり、過去の勤務先資料が取れない、転職・退職・長期出国がある、学位取得等によって最近点数が増えた、在留期間が1年という方は、申請ルートと時期をまとめて相談すると整理しやすくなります。

提出書類は、現在の就労資格に応じた書類と、高度人材の申請区分別の書類を組み合わせます。すべての書類が一律に1年分・3年分になるわけではないため、該当する公式チェックシートと永住申請の必要書類を確認してください。

07|よくある質問

就労ビザのまま申請するときの疑問

高度専門職の在留資格や、過去のポイント認定通知がなくても検討できますか。

検討できます。高度専門職以外の在留資格の人に向けた申請区分があり、申請時と1年前又は3年前のポイント計算表、加点の疎明資料を提出する仕組みです。自己採点だけで認定されるわけではなく、点数維持・継続在留・他の永住要件の確認も必要です。

今日80点になりました。日本にはすでに5年住んでいるので、すぐ申請できますか。

在留5年と今日の80点だけでは、80点・1年のルートを満たしません。1年前の点数と、その間の80点以上の維持を確認します。一方、3年前から70点以上を維持し継続在留しているなら、70点ルートを検討できます。

ポイントが足りなければ、10年になるまで待つしかありませんか。

このポイント特例が使えなくても、配偶者等の事情による別の特例が当てはまる可能性があります。在留資格別の永住申請と照合し、ご自身の事情に対応するルートを確認します。

80点の特例で申請すれば、審査も1年以内に終わりますか。

1年は特例に必要な在留歴の期間であり、審査完了までの期限ではありません。永住申請中に現在の在留期限が来る場合は、別途更新が必要です。永住申請中に在留期限が来る場合の更新手続も確認してください。

10年を待つ前に、
使える特例と申請時期を整理しませんか。

エールZEAL国際行政書士事務所では、現在の就労資格、ポイントの推移、在留歴、他の永住要件を整理し、申請方針の検討をサポートします。まずは現在の在留資格と申請希望時期、気になる点をお知らせください。

参照した一次情報・更新履歴

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