年収・税金・年金・社会保険|本人と事業所の資料整理
経営者・個人事業主の永住申請で会社側の納税・社会保険を確認する理由
経営者・個人事業主の永住申請では、自分の税金・年金を納めているかに加え、事業を営む立場で負う義務も確認します。本人名義の納税証明書や給与明細だけでは、会社・事業所の納付状況まで分かりません。
とくに社会保険の適用事業所の事業主には、本人分に加えて事業所の資料を求める公式案内があります。法人と個人事業の違い、加入義務、税目・名義・対象期間を分け、永住申請に向けた確認手順を整理します。
最終法令・公式情報確認日:2026年9月9日

01|本人と事業所の義務を分ける
永住申請では、公的義務を適正に果たしているかを確認
永住許可に関するガイドラインは、納税、公的年金・医療保険の保険料納付、入管法上の届出等を適正に行っていることを求めています。経営者は、家計を支える本人としての状況と、事業主として行う手続きを対応させる必要があります。
本人・世帯について確認するもの
本人や扶養する方の所得、住民税・国税、加入してきた年金・医療保険等です。誰の所得・納付を示す資料か、対象の年や期間を確認します。
会社・事業所について確認するもの
事業所の社会保険の適用・資格取得・保険料納付、事業主体が申告・納付すべき税金等です。会社の資料を、本人名義の資料で置き換えないようにします。
給与から引かれたことと、事業所が納めたことは別
日本年金機構は、事業主が給与・賞与から差し引いた被保険者負担分と、事業主負担分を合わせて納める仕組みを案内しています。給与明細に保険料の控除があっても、それだけで事業所側の納付完了や納付日を証明したことにはなりません。根拠は厚生年金保険料等の納付をご確認ください。
事業所の資料が求められる対象を広げすぎないことも大切です。
永住許可申請3の8(3)は、「申請時に社会保険適用事業所の事業主である方」の追加資料を案内しています。一般の従業員全員に、勤務先の事業主用資料を一律に求める説明ではありません。
在留資格のルート全体は経営・管理から永住、公的義務の全体は納税の要件と年金・健康保険の要件をご覧ください。
02|会社の規模だけで判断しない
法人・個人事業で、社会保険の適用を確かめる
最初に、法人か個人事業か、業種、従業員数・働き方、いつからその状態かを整理します。既に加入しているかだけを見ると、本来必要だった加入手続きの漏れを見落とすことがあります。
法人の事業所
日本年金機構は、事業主のみの場合を含め、法人の事業所を適用事業所として案内しています。「小さい会社」「社長1人」という理由だけで対象外にはできません。
そのうえで、役員報酬、実際の勤務関係、年齢等から誰が被保険者になるかを確認します。法人が存在することと、個々人の被保険者資格の判断を分けます。
個人の事業所
現行の案内では、常時5人以上の従業員がいる個人事業所も、農林漁業・サービス業等の一部を除き、強制適用の対象となります。業種・人数を確認せずに「個人事業だから不要」とは判断できません。
強制適用以外でも任意適用となる場合があります。適用事業所かどうかと、従業員ごとの加入対象の判定を順に確認します。
根拠は適用事業所と被保険者(2026年6月26日更新)です。短時間労働者の適用や今後の改正もあるため、申請時の事業形態・雇用状況で最新の条件を確認します。
個人事業主本人が国民年金・国民健康保険でも、従業員は別に確認
日本年金機構の個人事業主に関するQ&Aは、個人事業主本人は通常、事業所に使用される者に当たらず、健康保険・厚生年金保険の被保険者にはならないと説明しています。本人が国民年金等に加入していることから、従業員についても事業所の社会保険手続きが不要だとはいえません。
反対に、実際に強制適用の対象外である個人事業所について、未加入という一事だけで加入義務違反としないことも大切です。適用関係が分からないときは、業種・人数・勤務条件等の資料を持って年金事務所や社会保険労務士へ確認します。
03|税目と証明書の名義を区別
本人と法人では、税目・証明書の名義を分けて確認する
法人の場合、本人と会社は納税証明書の名義が異なります。本人の住民税・所得税等の資料と、法人名義の税の申告・納付資料を分けます。個人事業の場合も、本人の所得に関する税金だけでなく、事業に伴う源泉徴収や消費税等の義務があるかを確認します。

法人で確認する税目の例
国税:源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税。
地方税:法人住民税、法人事業税。
本人名義の証明書とは別に、法人の名称・対象税目・事業年度を照合します。
個人事業で確認する税目の例
国税:源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税。
地方税:個人住民税、個人事業税。
法人税の証明を一律に用意するのではなく、自分に適用される義務を確認します。
上記は入管庁の「経営・管理」改正案内・公租公課の履行/Q24にある更新時の確認税目を整理したものです。全員に各税金の支払いが発生するという意味でも、永住申請の全員共通の提出書類一覧でもありません。
申告書・決算書・納税証明書は、示す内容が異なる
確定申告書や決算書は、事業・所得の内容を説明する資料になりますが、申告済みであることだけで納付済みとは判断できません。黒字の決算書があっても、源泉所得税等の納付が遅れていれば、別の確認事項として残ります。
国税庁の案内では、納税証明書「その1」は納付すべき税額・納付済額・未納額等、「その2」は所得金額、「その3」は未納税額がないこと、「その4」は対象期間に滞納処分を受けていないことを示します。「その3」が取れたから、過去の全ての納付が期限内だったという意味にはなりません。
永住許可申請3では、本人等の国税について指定の5税目の「その3」が案内されています。会社側の税資料を確認するときは、別に名義・税目・証明の種類・必要な対象期間を照合します。事業所の税資料を全員一律で何年分と決めず、該当する申請案内と、申請先からの個別の指示を確認してください。
国税は税務署、地方税は都道府県・市区町村等の担当窓口で確認します。地方消費税は名称に「地方」があっても、ここでは消費税と併せて税務署で扱う案内です。税務署の証明で、法人住民税等まで確認できたとは考えないようにします。
04|事業主に求められる追加資料
事業所の社会保険は、対象期間と納付資料を合わせる
永住許可申請3の8(3)では、申請時に社会保険適用事業所の事業主である方について、本人等の年金・医療保険資料に加え、直近2年間のうち、その事業所で事業主であった期間の事業所の保険料納付資料が案内されています。単に会社の設立から一律2年分を求める説明ではありません。

A|領収証書の写しで示す
健康保険・厚生年金保険料の領収証書の写しを用意します。対象となる事業主の期間について、全ての領収証書の写しを確認します。
途中の月が抜けていないか、事業所名、対象月、納付日が読めるかを照合します。
B|納入証明書等で示す
領収証書を提出できない場合などは、社会保険料納入証明書、又は未納の有無を確認するための社会保険料納入確認(申請)書を確認します。
納入証明書は、公式案内にある出力区分「一括用及び明細」、証明範囲「延滞金含む」の指定にも注意します。
A・Bは永住許可申請3の8(3)を読み分けるための表記です。提出区分・対象期間に合うものを用意してください。
健康保険組合に加入する事業所
領収証書を提出できない場合には、日本年金機構の証明等に加え、管轄の健康保険組合が発行する健康保険料の納付状況の証明も必要とされています。厚生年金側の証明だけで、組合の健康保険料まで確認できるとは限りません。
証明書を取る前に、期間と反映状況を確認する
日本年金機構の納入証明書・納入確認書の案内では、原則として直近2年間の納付状況には納入証明書、それ以外の期間には納入確認書を用いる取扱いが示されています。証明可能な月の範囲、必要な様式、直近の納付が記録へ反映されるまでの時間も確認します。
「未納なし」の確認と、各納付が元の納期限内だったかの確認を分けます。必要に応じて領収証書や口座の記録等を照合し、納付月・納期限・実際の納付日を整理してください。振替の申込みをしたことだけで、引落しの完了とは判断しません。
必要書類の対象期間は申請区分で異なります。ここで示した永住許可申請3の年数を全員共通にせず、自分が使う区分の最新の案内で確認します。日本で発行される証明書は発行から3か月以内のものを提出する案内もあるため、必要書類を集める時期も調整します。
05|気づきやすい確認漏れ
加入漏れ・資料不足・途中の変更を分けて整理する
本人の年金は納付済みだが、法人の加入状況が不明
まず法人の適用関係、役員報酬や勤務の実態、必要だった手続きと開始時期を確認します。本人の国民年金納付だけで、法人側の健康保険・厚生年金の手続きまで適正だったとは判断しません。
給与明細はあるが、事業所の領収証書がない
給与控除の記録と事業所の納付記録を区別します。経理担当者・外部専門家に保管状況を確かめ、納入証明書等で示す方法と不足期間を確認します。資料がないことと未納があることは、同じ意味ではありません。
個人事業で、社会保険の強制適用に当たらない
業種・人数等から対象外である根拠と、任意適用の有無を整理します。本人の国民年金・国民健康保険等は別に確認します。存在しない法人の証明書を準備する必要があると考えないようにします。
最近事業主になった・個人事業を法人にした
事業主になった日、法人設立日、各保険の資格取得・喪失日を並べます。対象期間のうち事業主だった部分と、それ以前の本人の加入・納付履歴を分け、資料の空白や名義の混在を確認します。
遅れが見つかったときは、現在の未納と過去の遅延を分ける
永住ガイドラインは、申請時点で納付済みでも、当初の納付期間内に履行されていない場合は原則として消極的に評価するとしています。後から納めれば過去の遅れが消える、一定期間待てば必ず許可される、といった判断はできません。
未加入・未納・資料不足のどれかを特定し、対象期間、理由、対応日、現在の状態を記録します。正式な猶予等を受けている場合は、その決定内容と条件を確認し、単なる自己判断の支払延期と区別します。個人の詳細は税金の納付が遅れた場合、年金の未納・免除・猶予をご覧ください。国民年金の免除制度を、そのまま会社の社会保険料に当てはめることはできません。
06|申請前の確認手順
名義・対象期間・納付日をそろえて、申請の準備へ

本人と事業の状況を一枚に整理する
在留資格と期限、法人・個人事業の別、業種、従業員の状況、事業主になった日、法人化等の変更日を記録します。
適用される義務と提出区分を確かめる
税の申告・納付、社会保険の適用・加入・納付を分けます。労働保険(雇用保険・労災保険)は健康保険・厚生年金とは別の制度であり、該当する事業主の手続きも確認します。永住の申請区分に応じ、必要資料と期間を書き出します。
本人分と事業所分の資料を照合する
書類ごとに名義、税目・保険の種類、対象期間、納期限、納付日を対応させます。税務は税理士・税務署等、社会保険は社会保険労務士・年金事務所等に、確認したい項目を明確にして相談します。
未確認の点を残さず、申請時期を検討する
不足資料、加入手続きの不明点、未納・遅延、正式な猶予等を区別します。入手できない資料は代替方法を申請先へ確認し、公的義務以外の永住要件も含めて準備の見通しを立てます。
「経営・管理」の更新と、永住の判断を混同しない
2025年10月16日施行の改正について、入管庁は、施行後に「経営・管理」、高度専門職1号ハ、又は高度専門職2号で経営・管理活動を行う方が永住を申請する場合、改正後の基準に適合しないときは許可されないと案内しています。
更新に関する経過的な取扱いがあることから、永住でも新しい基準の確認を省略できるとは判断しません。会社側の納税・社会保険をそろえただけで、ほかの基準まで満たしたことにもなりません。根拠は「経営・管理」改正案内の申請に関する取扱い3をご確認ください。
永住の審査中も、現在の在留期限を管理します。期限が来る場合の手続きは永住申請中の在留期間更新で確認してください。
会社側の納税・社会保険についてよくある質問
本人の納税・年金に問題がなければ、会社の資料は省略できますか。
本人と会社・事業所の資料は示す内容が異なります。とくに申請時に社会保険適用事業所の事業主である方には、公式案内で事業所の追加資料が求められています。自分の申請区分と立場に応じて確認してください。
社長1人の会社でも、社会保険を確認する必要がありますか。
人数だけで対象外とは判断できません。法人の事業所の適用と、役員報酬・勤務実態等による本人の被保険者資格を分けて確認します。
個人事業主本人が国民年金に入っているのは問題ですか。
個人事業主本人は通常、事業所に使用される者ではなく、健康保険・厚生年金の被保険者にはなりません。本人の適正な加入・納付を確かめるとともに、従業員について事業所の社会保険が適用されるかを別に確認します。
経理や保険の手続きを外部へ依頼していても、確認は必要ですか。
委託していること自体は、申告・加入・納付の完了を示す資料にはなりません。担当者と対象期間・名義・納付状況を照合し、必要な証明書や不足資料を整理します。
本人と事業所の資料を
一緒に整理します。
エールZEAL国際行政書士事務所では、現在の在留状況と事業の経緯を踏まえ、永住申請に必要な資料と確認事項の整理をサポートします。在留資格と期限、法人・個人事業の別、事業主になった時期、加入・納付について気になる点をお知らせください。
次に確認したいページ
一次情報・更新情報
- 永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂) — 公的義務の適正な履行、納付遅延の取扱い。
- 永住許可申請3 — 本人等の税・年金・医療保険資料、8(3)の事業主の追加資料と対象期間。
- 在留資格「経営・管理」の基準等の改正 — 永住の取扱い、公租公課、更新時の確認税目。更新用の資料を永住の一律必須一覧とはしていません。
- 適用事業所と被保険者/個人事業主・家族の被保険者資格に関するQ&A — 法人・個人事業の適用と本人の扱い。
- 厚生年金保険料等の納付/社会保険料の納入証明書・納入確認書 — 事業主の納付、証明書の種類・対象期間・反映時期。
- 国税の納税証明書の交付請求手続 — 証明書その1~その4が示す内容。