建設業許可を受けた事業者は、許可に係る営業所と、発注者から直接請け負った工事の現場に、許可内容を示す標識(許可票)を掲示します。営業所用は縦35cm以上・横40cm以上、元請現場用は縦25cm以上・横35cm以上です。掲示先と様式を取り違えないよう、まず「営業所か、元請として受けた現場か」を分けてから、許可通知書や技術者の配置資料と照合しましょう。

この記事では、埼玉県の令和8年度手引きと国土交通省の現行資料に基づき、許可票の掲示場所、サイズ、記載項目、記入例、更新時の見直しを整理します。建設業許可を取得済みで、営業所や工事現場の掲示を整えたい事業者・担当者向けです。制度の確認日は2026年10月19日です。

建設現場を背景に、無地の金属製標識板を巻尺と定規で測っている作業台

最初に確認するのは「どこに掲示するか」

建設業法第40条が求めているのは、許可を受けた建設業者の店舗と、発注者から直接請け負った建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所へ標識を掲げることです。埼玉県の手引きは「全ての店舗」と「元請に限る現場」と説明しています。掲示対象は次のように整理できます。

掲示場所・様式対象の考え方
営業所・店舗
営業所用(様式第28号)
許可に係る建設業を営業する店舗ごと。来客や公衆から見やすい場所に掲示します。
建設工事の現場
現場用(様式第29号)
発注者から直接請け負った工事(元請)の現場ごと。下請として施工する現場の許可票は、建設業法第40条の掲示対象とは区別します。

「営業所」は、登記上の本店や資材置場すべてを意味するわけではありません。建設工事の請負契約について見積り・入札・契約締結などを常時行う事務所かを確認します。名称だけで掲示場所を判断せず、許可申請で届け出ている営業所と実際の業務を照らしてください。

下請の現場では建設業法第40条による許可票の掲示対象ではありませんが、元請との契約、発注者の仕様書、他法令に基づく表示義務は別に確認が必要です。許可票を掲示すれば、施工体系図や建設リサイクル法の標識など他の掲示を省略できる、という意味ではありません。

営業所用と現場用のサイズ・材質

掲示場所・最低寸法(縦×横)掲示上のポイント
営業所・店舗
35cm以上 × 40cm以上
公衆の見やすい場所へ掲示します。埼玉県の手引きでは丈夫な材質で作成するよう案内されています。
元請工事の現場
25cm以上 × 35cm以上
現場ごとに公衆の見やすい場所へ掲示します。工程や安全の妨げにならない位置を選びます。

寸法は最低限です。規定より小さい標識を使わず、縦と横を逆に読まないよう、購入・印刷前にサイズを確かめてください。現場用は営業所用より小さい寸法ですが、営業所用と同じ大きさにすること自体が直ちに問題になるわけではありません。必要な項目を読み取れる文字サイズにし、屋外では風雨や汚れで表示が読めなくならないよう、設置方法と状態を点検します。

営業所に掲示する許可票の書き方

営業所用の様式には、商号・代表者、一般建設業か特定建設業か、許可を受けた業種、許可番号・許可年月日を記載します。さらに「この店舗で営業している建設業」の欄を、許可を持つ業種全体と混同しないことがポイントです。

欄確認して記載する内容・注意点
商号又は名称・代表者の氏名許可上の商号・代表者を記載。登記変更後、許可上の変更届が未了でないかも確認します。
一般/特定の別各許可業種の許可区分を確認。会社全体を一律に「一般」または「特定」とせず、業種ごとの許可内容に合わせます。
許可を受けた建設業許可を受けている業種を記載し、略称や通称ではなく許可業種名と一致させます。
許可番号・許可年月日許可通知書等で番号・年月日を確認。大臣/知事、一般/特定、番号を照合し、不要な選択肢は削除します。
この店舗で営業している建設業その営業所で実際に営業する許可業種を記載。会社全体の許可業種を、その店舗で営業していないのに全て記載しないよう注意します。

記入例(以下は説明用の架空例です。会社名、許可番号、氏名、日付はすべて仮のものです)

  • 商号又は名称:〈架空の会社名〉
  • 代表者の氏名:〈許可上の代表者〉
  • 一般建設業又は特定建設業の別:一般建設業(対象業種の許可内容に合わせる)
  • 許可を受けた建設業:内装仕上工事業(この例で許可を受けている業種)
  • 許可番号:埼玉県知事許可(般-〈年度〉)第〈番号〉号
  • 許可年月日:許可通知書等に記載された対象業種の年月日
  • この店舗で営業している建設業:内装仕上工事業(この例の営業所で営業する業種)

複数の業種や一般・特定の許可を持つ場合は、許可通知書や許可番号を確認できる資料を並べ、様式の行ごとに対応させます。業種追加や許可区分の変更があると、業種ごとに許可年月日や許可番号が異なることがあります。最後に取得・更新した許可の日付を一律で転記せず、該当する許可内容を照合してください。

元請現場に掲示する許可票の書き方

現場用には、会社情報と許可情報に加え、当該工事を担当する主任技術者または監理技術者、専任の有無、該当する場合の資格名・資格者証交付番号を記載します。現場の欄は営業所用より項目が多く、工事内容と技術者の配置を確認して埋める必要があります。

  • 商号・代表者:許可上の商号・代表者を記載します。
  • 主任技術者の氏名:法令上、主任技術者ではなく監理技術者を置く工事では、欄名を「監理技術者の氏名」として氏名を記載します。
  • 専任の有無:法令上専任の場合は「専任」。専任特例1号の条件を満たす場合は「非専任(情報通信技術利用)」、専任特例2号を用いる場合は「非専任(監理技術者を補佐する者を配置)」とします。特例を使わない現場に、便宜上「非専任」と記載するものではありません。
  • 資格名・資格者証交付番号:様式と記載要領に従い、該当する技術者資格や監理技術者資格者証の番号を記載します。全員に同じ番号欄が必要とは限らないため、法令・現行様式の適用条件を確認します。
  • 許可を受けた建設業:会社が許可を受けている全業種ではなく、その現場で施工する工事に係る許可業種を記載します。
  • 一般/特定の別、許可番号・許可年月日:その工事に対応する許可内容と一致させます。

現場用の記入例(説明用の架空例。実在の許可や現場を示すものではありません)

商号・代表者:〈許可上の情報〉/主任技術者の氏名:〈配置する技術者〉/専任の有無:〈工事の要件を確認して記載〉/許可を受けた建設業:内装仕上工事業(この例の現場の工事業種)/許可番号・年月日:〈許可通知書等の該当情報〉

「専任」は、主任技術者・監理技術者の配置要件を確認して決めます。請負金額だけでなく、工事の公共性、対象施設、専任特例の要件なども関係します。現場用標識の記載だけを見て、他の工事と兼務できると判断しないでください。技術者の配置要件を確認したい場合は、主任技術者・監理技術者の配置判断の記事もご覧ください。

作成から掲示までの手順

  1. 掲示する場所を決める。営業所用か、元請として直接請け負った工事の現場用かを先に分けます。必要な拠点・現場を一覧にします。
  2. 現在有効な許可内容をそろえる。許可通知書や変更届の控えなどから、商号、許可行政庁、一般・特定、業種、番号、年月日を確認します。
  3. 営業所用は店舗ごとの営業業種を確認する。「許可を受けた建設業」と「この店舗で営業している建設業」を分け、実態に合わせて整理します。
  4. 現場用は工事担当者と工事業種を確認する。主任技術者か監理技術者か、専任の有無、資格欄の記載条件、現場の許可業種を配置資料・契約・施工内容と照合します。
  5. 現行様式で標識を作る。掲示場所に合う様式と最低寸法を選び、許可番号の「大臣/知事」など不要な選択肢は消します。
  6. 公衆から見やすく、読み取れる位置に掲示する。出入口や道路側などから確認しやすい場所を選び、落下・破損・汚損や視界の遮りがないか確認します。
  7. 変更時に差し替える。許可更新、業種追加、許可区分の変更、商号・代表者の変更、現場技術者の交代など、標識の表示に関わる変更があったら、該当箇所を見直します。

よくある間違いと見直し方

  • 営業所用と現場用の寸法を混同する:営業所は35×40cm以上、現場は25×35cm以上です。購入時に縦・横の両方を確認します。
  • 許可を持つ全業種を、全営業所・全現場へそのまま転記する:営業所の欄はその店舗で営業する業種、現場の欄はその現場の施工に係る許可業種を確認します。
  • 下請現場にも一律に元請用許可票を掲示する:建設業法第40条の現場掲示対象は、発注者から直接請け負った工事です。元請との契約や別法令による掲示は別途確認します。
  • 前回更新時の表示をそのまま使う:番号・許可年月日・代表者・技術者・業種が現在の記録と合っているか照合します。
  • 資格者証番号を推測で入れる:資格欄や資格者証交付番号欄は、現行様式の条件に従い、確認できる資料から転記します。該当しない人の番号を埋めたり、空欄を独自の略号で埋めたりしないでください。
  • 古い様式の「非専任」をそのまま流用する:2025年2月適用の国土交通省マニュアルでは、専任特例1号と2号で標識の表記例が分かれています。該当する制度と要件を確認し、現在の記載要領に合わせます。
  • 標識を掲示したので、他の現場表示も済んだと考える:施工体系図や建設リサイクル法の標識、労災保険関係の表示などは別の義務・手続に基づく場合があります。工事ごとの掲示物一覧で点検します。

デジタルサイネージを使うときの条件

国土交通省は、2022年1月27日付の通知で、一定の条件を満たす場合に、建設業許可標識をデジタルサイネージ等のICT機器で掲示する扱いを示しています。単に標識の画像をウェブサイトへ載せたり、QRコードを掲示したりすれば足りるという案内ではありません。

  • 公衆が必要なときに標識を確認できること。
  • 画面の内外を問わず、標識を確認できることが常時分かりやすく表示されていること。
  • 施工時間外も人感センサーや画面へのタッチ等で表示できること。住宅地など周辺環境への配慮から画面を消灯する時間を設ける場合は、周囲にインターネット上で標識を見られる旨を掲示し、実際に閲覧できる措置が必要です。

設置場所や運用方法が要件に当てはまるかを確認してから切り替えてください。発注者の仕様、現場の安全計画、関係する別の掲示物も合わせて確認すると安心です。判断が難しい場合は、所管行政庁や発注者にも確認しましょう。

掲示前のチェックリスト

  • □ 営業所用か、元請現場用かを区別した
  • □ 許可内容と標識の商号・代表者・許可行政庁が一致している
  • □ 一般/特定、許可業種、番号、年月日を許可通知書等で照合した
  • □ 営業所用は「この店舗で営業している建設業」を店舗ごとに確認した
  • □ 現場用は主任/監理技術者、専任の有無、該当する資格欄を確認した
  • □ 現場用の許可業種は、その現場の施工内容に対応している
  • □ 寸法は営業所35×40cm以上、現場25×35cm以上を満たしている
  • □ 不要な「国土交通大臣/知事」の表示を消し、読みやすく作成した
  • □ 公衆の見やすい位置に、安全に固定して掲示した
  • □ 他の法令・契約に基づく掲示物も別に点検した
  • □ 許可や人員の変更後に、標識を再確認する担当者・時期を決めた

よくある質問

Q. 営業所ではなく本社の受付に1枚あればよいですか?

許可に係る建設業を営業する店舗ごとに掲示する必要があります。本社のほかに許可営業所がある場合は、各営業所の実態と届け出内容を確認し、掲示先を整理してください。

Q. 下請で入る現場にも建設業法の許可票が必要ですか?

建設業法第40条の現場標識は、発注者から直接請け負った工事の現場が対象です。下請現場はこの条文の対象と区別されますが、元請との契約、工事仕様書、別の法令による表示義務は確認してください。

Q. 「許可を受けた建設業」と「この店舗で営業している建設業」は同じですか?

意味が異なります。前者は事業者が許可を受けた業種、後者は当該店舗で営業している業種を示します。全営業所が同じ業種を扱うとは限らないため、営業所ごとに確認します。

Q. 許可を更新したとき、許可票も作り直す必要がありますか?

更新で許可番号・年月日など表示内容に変更がある場合は、掲示中の標識を見直し、新しい内容に合わせて差し替えてください。業種追加、許可区分、商号、代表者や現場技術者の変更も、該当する欄が正しいか確認するタイミングです。

Q. 許可票をウェブサイトに載せるだけで現場掲示の代わりになりますか?

ウェブ掲載だけで常に足りるとはいえません。デジタルサイネージ等の活用には、国土交通省の通知に示された閲覧可能性、常時の案内表示、施工時間外の閲覧などの条件があります。利用前に通知の条件と現場運用を確認してください。

公式資料・関連記事

標識の様式や法令は改正されることがあります。作成前には、許可を受けた都道府県・地方整備局の最新案内と、現行の法令・様式を確認してください。

営業所の許可要件や届出との整理は、営業所技術者等の証明書の記事、主任技術者・監理技術者の配置判断の記事もご参照ください。許可内容・現場の状況に沿った確認を希望される場合は、料金・相談条件をご覧のうえ、お問い合わせからご相談ください。相談後の正式依頼は任意です。書類作成・調査・申請等の実際の業務は別途有料です。