【見落とし注意】下請けに契約書を渡していないと違法になる?|行政書士が建設業法19条を解説

行政書士事務所の室内で、スーツ姿の行政書士と作業服の建設業者が契約書を交わしているアニメ風イラスト。下請契約書の交付義務をテーマに表現。
【見落とし注意】下請けに契約書を渡していないと違法になる?|東松山・川越・比企郡の建設業者向け実務ガイド

【見落とし注意】下請けに契約書を渡していないと違法になる?|東松山・川越・比企郡の建設業者向け実務ガイド

「契約書は要らない」では通らない!

「昔からの付き合いだから」「信頼関係があるから」という理由で、口約束だけで工事を発注している元請業者は少なくありません。しかし、建設業法では一定金額以上の下請契約には書面の交付が義務づけられています。

契約書を作らずに工事を進めてしまうと、監督処分や指名停止など、思わぬペナルティを受ける可能性があります。契約書を交わすことは「形式」ではなく、発注者と受注者の間の責任範囲や支払い条件、トラブル時の対応を明確にするための、極めて実務的な行為なのです。

建設業法第19条の概要

建設業法第19条では、下請負人との契約について、元請業者に対し書面での契約交付義務を課しています。以下の条件に該当する場合、契約書の作成・交付が法的に必須です。

  • 工事1件あたりの請負金額が500万円(建築一式工事の場合は1,500万円)以上
  • 元請と下請の関係で、建設工事を請け負う場合

金額には、工事費、外注費、材料費、機械損料などすべて含まれるため、「実際の工事部分は少額だから」という理由では免除されません。また、契約が分割されていたとしても、実質的に一体の工事と認められれば、合算して判断されます。

契約書に記載すべき項目(10項目)

交付すべき契約書には、以下の10項目を記載することが求められています。これらは「標準下請契約書」に準じており、行政指導や監査の対象にもなる重要ポイントです。

  1. 工事の名称(例:○○ビル新築工事)
  2. 工事場所(住所・地番・現場名)
  3. 工事内容(詳細な作業範囲の記載)
  4. 請負代金の額(税込・内訳付き)
  5. 工期(開始日・完了日を明確に)
  6. 代金の支払方法(回数・振込期日など)
  7. 設計変更・追加工事の扱い(書面同意が原則)
  8. 契約の解除条件(遅延・債務不履行など)
  9. 瑕疵担保責任(保証期間・責任範囲)
  10. 紛争処理の方法(管轄裁判所・ADR活用の有無)

これらを抜いた契約書は、監査時に「不備あり」と判断される恐れがあります。

契約書を交付しないとどうなる?

契約書を交付しなかった場合、以下のような重大リスクが発生します。

  • 監督処分(指示・営業停止):県や国土交通省からの行政指導が入ります。
  • 入札参加資格の停止:地方自治体や官庁工事の受注に影響が出ます。
  • 元請-下請間のトラブル多発:支払時期や追加工事の有無を巡って裁判化する例も。
  • 労災時の責任不明確:安全管理や補償責任の所在が不透明になります。

「とりあえず工事を進める」が、のちの大問題につながる典型です。

信頼関係があるからこそ、契約書は必要

「書面なんて信頼していないみたいで気が引ける」という声を耳にしますが、むしろ逆です。信頼しているからこそ、お互いの記憶や認識のズレを防ぐために書面が必要です。

特に地域密着の工務店や一人親方の場合、小さなミスが地域の信用を失う結果にもなりかねません。

書面の正しい交付方法と保存義務

契約書は2通作成し、元請・下請がそれぞれ署名捺印して1通ずつ保管するのが原則です。

  • 電子契約:クラウドサインなどを利用する場合は事前合意が必要
  • 保管義務:工事完了から5年間、書面を保存する必要あり(電子保存も可)
  • 変更契約:追加工事等があればその都度、書面変更が必須

【実例】契約書がなくて困ったトラブル

ある東松山市の住宅会社が、外構工事を下請け業者に発注。しかし着工後に工事範囲の解釈がズレ、下請けから追加料金の請求が発生。口頭で「そこまでは含んでない」と主張したが、契約書がなく、裁判で敗訴となった。

また、川越市のリフォーム業者は、契約書に支払い期日を明記しておらず、支払い遅延トラブルが発生。これを機に「標準下請契約書」を導入し、再発防止に取り組んでいます。

まとめ|書面の整備がリスク回避と信用につながる

  • 500万円以上の工事では契約書の交付が義務です
  • 必要な10項目を網羅しなければ無効リスクが高まります
  • 契約書の整備は、自社の防衛手段であり、信頼構築ツールです

契約書の雛形がない、記載内容に自信がないという方は、建設業専門の行政書士にご相談ください。

ご相談はこちら|エールZEAL国際行政書士事務所

当事務所では、東松山市・川越市・滑川町・嵐山町・吉見町・坂戸市・鶴ヶ島市・熊谷・川島など比企郡周辺地域で、建設業に関する契約書作成・許可取得・行政対応など、実務に強いサポートを行っています。

▶ ご相談・お問い合わせはこちら(無料相談あり)

▶ 建設業許可トップページへ戻る

▶ 記事へ

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です