在留資格別|婚姻状況が変わったときの永住申請

日本人配偶者と別居中・婚姻状況に変化がある場合

日本人配偶者と別居中の永住申請は、住所が別という事実だけで結論を出せません。別居の理由、婚姻生活の実体、現在の家計と在留状況を整理して、申請の前提を確認します。

仕事や介護等による別居と、夫婦関係の変化による別居、離婚・死別では、確認する事項が異なります。この記事では、現在の在留を維持するための手続と永住申請の判断を分け、状況に合った説明と準備の進め方を整理します。

最終法令・公式情報確認日:2026年9月9日

離れた2つの住まいと、間に置いた書類・カレンダーのイラスト。
住まいと生活・在留の資料を整理するイメージ。

01|申請の前提

婚姻届からの年数と、婚姻生活の実体を分けて確認

日本人の配偶者について、永住許可に関するガイドライン2(1)は、実体を伴った婚姻生活が3年以上続き、かつ、日本で引き続き1年以上在留している場合の特例を定めています。婚姻届を出してから3年が経過したことだけで、この特例を満たすとは限りません。

別居しているときは、いつ、どのような理由で住まいが分かれ、その後どのような夫婦生活を続けているかを確認します。仕事の事情による一時的な別居でも、期間と生活の実態を説明できるようにします。一方、戸籍上は婚姻中でも関係が事実上変わっている場合は、書類上の婚姻期間だけを前提に申請しないことが大切です。

「日本人の配偶者であること」と、在留カードの資格名は別の確認事項です。

日本人と結婚していても、就労資格などで在留している方がいます。この記事の離婚・死別の届出や配偶者としての活動に関する説明は、対象の在留資格を持つ方についてのものです。自分の在留カードの資格・在留期間・期限を確認してください。

独立生計要件の特例があっても、家計資料の確認は必要

現行ガイドラインは、日本人等の配偶者又は子について、1(1)の素行善良要件と1(2)の独立生計要件に適合することを要しないとしています。ただし、1(3)の国益に関する要件まで免除されるわけではありません。納税、年金・医療保険料、届出等の公的義務や、現在の在留資格・期間などの確認は残ります。

また、配偶者等の永住許可申請1には、本人及び本人を扶養する方の所得・納税等の資料が掲げられています。別居後に生活費の負担が変わった場合は、現在どの収入や支援で生活しているかを整理します。全体像は日本人の配偶者等から永住、家計の確認は年収・独立生計要件をご覧ください。

02|状況別に整理

同じ別居でも、理由とその後の生活で確認点が変わります

以下は事情を整理するための一般的な場面です。実際の許可事例や、許否を判定する基準ではありません。

自宅で通学用のかばんを整える親子

仕事・療養・介護・子どもの養育等

離れて暮らす事情があり、夫婦生活を続けている

別居開始日、必要になった理由、予定期間、連絡・訪問、生活費の負担、今後の生活予定を整理します。勤務先の辞令、介護や療養の事情が分かる資料、送金記録等と実際の説明を対応させます。

別居理由だけで終わらせず、別居中の関係と生活の実態まで確認します。

夫婦関係の変化・離婚協議等

婚姻中だが、今後の関係が定まっていない

いつから別居し、協議・調停・訴訟等がどの段階にあるか、生活費や子どもの養育を誰が担っているかを確認します。見通しが未定なら、未定であることを事実として整理します。

婚姻の実体と現在の在留資格の前提を確認し、永住申請を進める方針を見直します。

DV等による避難・保護

安全上の理由で同居や連絡が難しい

身の安全を優先し、支援機関や専門家に相談しながら、在留手続と説明方法を検討します。申請資料をそろえるために、危険のある配偶者へ無理に連絡したり、住居へ戻ったりする必要はありません。

安全に確保できる相談・保護等の記録と、取得が難しい資料の理由を整理します。

離婚成立・配偶者との死別

婚姻中の別居とは前提が変わっている

発生日と現在の在留資格、必要な届出、今後の仕事・生活・家族の状況を確認します。以前の婚姻期間だけで、日本人配偶者としての永住特例をそのまま使えるとは考えず、申請の根拠を再検討します。

在留の継続に必要な対応と、今後の永住申請のルートを分けて検討します。

DV等がある場合の公的な相談先

内閣府のDV相談ナビ(#8008)・DV相談+の案内を利用できます。#8008は近くの配偶者暴力相談支援センターにつながり、受付時間は各窓口によります。通話料がかかり、一部の回線等からはつながらない場合があります。利用できない場合の窓口やチャット相談の案内も同ページで確認できます。

在留資格取消しの「6か月」を、永住申請の猶予と考えない

入管庁Q&AのQ78は、「日本人の配偶者等」等で配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合でも、正当な理由があれば在留資格の取消しの対象とならないとしています。DVによる避難、やむを得ない養育上の別居で生計を一にしている場合、離婚調停・訴訟中などが例示され、個別具体的に判断されます。

これは現在の在留資格の取消しに関する取扱いです。「別居6か月未満なら永住申請に影響しない」「取消しの対象でなければ永住も許可される」という意味ではありません。婚姻生活の実体と永住の要件は、別に確認します。

03|離婚・死別後の手続

届出と、今後の在留資格の検討を進める

対象者は14日以内に配偶者の届出

日本人の配偶者という身分で「日本人の配偶者等」を持つ中長期在留者などは、離婚又は死別の日から14日以内に、入管庁への「配偶者に関する届出」が必要です。

この届出が対象とする事由は離婚・死別です。別居だけと混同しないようにします。市区町村へ離婚届等を出すことと、入管庁への届出は別の手続です。

届出を出すだけでは資格は変わらない

離婚・死別の届出と、在留資格変更の申請は別です。離婚後も同じ資格のまま在留期限まで問題なく過ごせるとは考えず、現在の仕事・家族・生活に合う在留資格を早期に確認します。

定住者や就労資格等への変更は、それぞれの要件と事情に基づく検討が必要であり、自動的に認められるものではありません。

届出の対象と期限は配偶者に関する届出、離婚後の変更手続の考え方と市区町村の届出との違いは新しい在留管理制度Q&AのQ98・Q100で確認できます。同Q98は、届出と同時の資格変更申請が必須ということではないものの、できるだけ早期に適当な資格への変更手続を行うよう案内しています。

別居によって住居地が変わった場合の手続も、配偶者の届出とは別に確認します。DV等で居場所を知られるおそれがある場合は、住所の取扱いや安全な連絡方法を支援機関・関係窓口へ相談してください。離婚条件、婚姻費用、親権等の争いについては、弁護士等への相談も必要に応じて検討します。

04|説明と裏付け

公式の提出書類と、別居事情の補足を分けて準備

永住許可申請1は、日本人の配偶者について、配偶者の戸籍謄本、申請人の国籍国の機関が発行した婚姻証明書、世帯の住民票、職業、所得・納税、年金・医療保険等の資料を案内しています。以下の別居事情の資料は、これらを補うための例であり、全員に一律に提出を求める公式リストではありません。

白い机に整理した書類と紺色のフォルダー
  1. いつ・なぜ別居したか婚姻・同居・別居の時系列
    勤務、介護、療養等の事情
    協議・調停等の現在の段階
  2. どのように暮らしているか生活費・住居費の負担
    子どもの養育の状況
    安全に示せる連絡・往来の記録
  3. 現在と今後の見通し関係・家計の変化
    現在の在留資格と期限
    確定事項と未定の事項

説明書には、別居の開始日、理由、現在の関係と生活、今後の予定を、事実と時系列に沿ってまとめます。住民票上の住所や戸籍の記載だけで説明が完結するとは限りません。安全に取得できる資料の範囲で裏付け、記載と実際の住まいが違う場合は、その事情も確認します。

生活費は、住民票の世帯だけで判断しない

誰が、誰のために、いくら負担しているかを整理します。本人の給与、配偶者からの生活費、子どもの養育費等は、負担する人と対象期間を区別します。送金がある事実だけで、婚姻生活の実体がすべて証明されるわけではありません。逆に、資料がない部分を推測や架空の金額で補わないようにしてください。

所得・納税の資料は配偶者の申請区分では直近3年分、年金・医療保険の資料は原則として過去2年間の加入制度に応じて案内されています。婚姻状況や申請区分が変わる場合は、必要資料も改めて確認します。詳しくは配偶者の収入を世帯収入として示す場合を参照してください。

配偶者に資料や身元保証を頼めないとき

公式案内では、身元保証人は通常配偶者とされています。協力を得られない事情がある場合は、取得できる資料と難しい資料、その理由を分け、申請先に必要な対応を確認します。誰でも代わりになれる、説明書だけで必ず代替できる、という扱いにはしません。

安全上の事情がある場合は、無理に署名や連絡を求めず、その事情を伝える方法から相談します。候補者の考え方は身元保証人を頼める人がいない場合、書類全体は永住申請の必要書類をご覧ください。

05|申請方針を決める順序

現在の状態から、申請の根拠と必要な対応を整理

  1. 現在の婚姻状況と在留資格を確認する

    別居中、離婚協議中、離婚成立後、死別後のいずれかを確認し、日付と在留カードの内容を記録します。安全上の事情があれば、その対応を優先します。

  2. 先に必要な届出・在留手続を確認する

    対象となる離婚・死別の届出、住居地に関する手続、資格変更や更新の必要性を整理します。永住申請の準備を理由に、現在の在留期限への対応を後回しにしないでください。

  3. 婚姻の実体と家計を資料で確かめる

    別居理由と別居後の関係、生活費や子どもの養育を確認します。配偶者としての特例が現在の状況に合うかを検討し、離婚・死別などで前提が変わった場合は、別の在留・永住ルートを含めて再整理します。

  4. 申請時期と、追加で確認する点を決める

    説明できる事実、足りない資料、未定の予定を分けます。関係の見通しが変わり得る場合も、隠したり同居を装ったりせず、その時点の事実に合う申請方針を検討します。

現在の在留期間にも要件があり、2027年の取扱い変更・経過措置を含めて現在の在留期間を確認します。税金・保険料等の期限後納付は、後から支払っても原則として不利に評価されるため、婚姻状況と別に点検が必要です。

06|申請した後に変わった場合

別居・離婚等が生じたら、永住申請先にも連絡

入管庁の永住許可申請の了解書(PDF)は、審査結果を受け取るまでの間に家族状況等が変わった場合、速やかに申請先へ連絡することを求めています。家族状況の例として、配偶者との離婚、同居していた家族との別居などが挙げられています。

別居開始日や離婚・死別の発生日、現在の住居・生活費・家族の状況を整理し、永住申請先に連絡して必要な資料を確認します。連絡しただけで直ちに不許可となるという意味ではありませんが、申請時の説明のまま変更を伝えずに審査結果を待つことは避けてください。

永住申請先への連絡と、対象者の14日以内の届出は別です。

一方を行ったことで、他方も済んだとは考えないようにします。また、永住申請中でも現在の在留期限に応じた対応は必要です。永住申請中に現在の在留期限が来る場合も確認してください。

07|よくある質問

別居中の永住申請と婚姻の変化に関する疑問

別居しているだけで、永住申請は必ず不許可になりますか。

別居という事実だけで一律に判断することはできません。婚姻生活の実体、別居理由、現在の関係・家計、在留資格等を資料で確認します。戸籍上の婚姻が続いていることだけで許可が決まるわけでもありません。

離婚調停中なら、永住申請はそのまま進められますか。

調停中であることと、配偶者としての永住特例の条件を満たすことは別です。在留資格取消しに関する正当な理由の例示を、永住許可の保証と受け取らず、現在の関係と申請の根拠を確認します。申請後に家族状況が変わった場合は、申請先へ連絡します。

離婚届を市区町村に出せば、入管への届出も済みますか。

別の手続です。日本人の配偶者という身分で「日本人の配偶者等」を持つ中長期在留者など、対象者は離婚・死別の日から14日以内に入管庁への届出が必要です。自分の在留資格が対象かを確認してください。

配偶者に連絡できず、必要な資料がそろわない場合はどうしますか。

安全に入手できる資料と、取得が難しい資料・理由を整理し、必要な対応を申請先や専門家に確認します。DV等の事情がある場合は安全を優先してください。説明書がすべての資料の代わりになる、という一律の取扱いではありません。

別居・婚姻の変化を踏まえて、
申請方針を整理します。

エールZEAL国際行政書士事務所では、現在の在留資格、婚姻状況、取得できる資料を確認し、永住申請に向けた方針の検討をサポートします。まずは在留資格・期限、別居等の時期、気になる点を、話せる範囲でお知らせください。安全上の事情がある場合は、安全に受け取れる連絡方法もお伝えください。

参照した一次情報・更新履歴

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