【認定証明書の交付後のトラブル】渡航しなかったときの対応を行政書士が解説

【認定証明書はもらえたが、渡航しなかった場合】放置しても大丈夫?
対応地域:東京、千葉、神奈川、群馬、埼玉県、東松山市、滑川町、坂戸市、熊谷市、川越市、鶴ヶ島市 など
そもそも在留資格認定証明書とは?
在留資格認定証明書(いわゆる「COE」)とは、外国人が日本に中長期滞在するための在留資格を取得する際に、日本側から発行される事前審査通過の証明書です。この証明書を外国人が現地の日本大使館・領事館に提出することでビザ(査証)の発給を受け、日本への入国が可能となります。
【実務解説】渡航しなかった場合に起きること
認定証明書が交付されたにも関わらず、以下のような理由で渡航しなかった(できなかった)ケースは珍しくありません:
- 内定が取り消された
- 家庭の事情で渡航中止になった
- ビザ申請の途中で状況が変わった
- 健康上の理由
- 他国での就労を優先した など
このような場合、「放置しても大丈夫なのか?」と疑問に思う方が多いですが、実務的には以下の点に注意が必要です。
認定証明書の有効期限と重要な注意点
在留資格認定証明書の有効期限は、原則として発行日から3か月間です。この間にビザ申請および入国が完了しない場合、証明書は無効となります。
たとえ入国しなかったとしても、証明書が発行されたという記録は入管の内部に残っており、次回のビザ申請に影響を及ぼすことがあります。
特に「COEを取っておきながら渡航しなかった人物」として、入管が慎重な審査を行うことが実務上よく見受けられます。
返納・取消しの必要性と方法
紙で交付された場合
紙の認定証明書(A4サイズの証明書)を交付された場合、実際に使用せず渡航を取りやめたときは、必ず返納することが推奨されます。
返納先は以下のいずれか:
- 申請時に管轄していた地方出入国在留管理局
- 申請代理人(行政書士等)経由での提出
送付の際は簡易書留など記録の残る手段を使い、表書きには「認定証明書返納書在中」と明記します。必要に応じて理由書も同封すると丁寧です。
PDFで交付された場合
2023年以降、一部の在留資格では「PDF形式」での電子交付が始まっています。この場合、物理的な証明書が手元に存在しないため、返納の義務は生じません。
しかしながら、使用せずに無効となったPDF証明書は、必ず削除して管理することをおすすめします。使用しなかったこと自体は違法ではありませんが、情報漏洩や不正使用のリスクを避けるためにも、データ管理には注意が必要です。
認定証明書の未使用が将来に与える影響
「証明書を取得したが来日しなかった」という事実は、申請者本人の記録として入管に残ります。これはビザ審査時に過去の履歴として参照されることがあります。
以下のようなケースでは、より慎重な審査や理由書の提出を求められる可能性があります:
- 再度同じ在留資格で申請する場合
- 就労ビザ→配偶者ビザへ切り替えるような場合
- 会社側が複数名をまとめて申請し、その中の一人が渡航しなかった
このようなリスクを避けるためにも、使用しないCOEは入管に事情を説明し、可能であれば取消申出を行うことが望ましいです。
取消申出とは?どうやって行う?
認定証明書の取消申出は、申請代理人または本人が行うことができます。以下の書類が一般的に必要です:
- 取消申出書(任意様式でも可)
- 本人確認書類のコピー(パスポート等)
- 認定証明書の写し(または原本)
- 事情説明書(なぜ渡航しなかったのか)
これらを郵送または持参で、申請を行った入管窓口に提出します。申出後、特段の通知はないことが多いですが、将来のビザ申請時に「適切な対応をした記録」として有利に働く可能性があります。
まとめ:放置はNG、早めに入管へ連絡を
在留資格認定証明書を取得したものの、やむを得ず渡航を取りやめた場合、証明書をただ放置するのは避けるべきです。以下のように適切な対応を取ることが重要です:
- 紙の場合は返納・取消申出
- PDFの場合は削除と事情説明
- 将来の申請への備えとして、理由書を残す
このような実務対応を丁寧に行うことで、次回以降のビザ申請にも安心して臨むことができます。行政書士としても、こうしたケースの相談は多く、状況に応じて柔軟な対応が求められます。
当事務所では、東松山市、滑川町、坂戸市、熊谷市などを中心に、在留資格認定証明書に関するご相談も承っております。