接待飲食営業における「色恋営業」などの禁止【風営法改正の注意点】

【2025年6月施行】色恋営業の明確な禁止へ|風営法改正で何が変わる?
なぜ「色恋営業」が法改正の対象になったのか
これまで、接待飲食店(キャバクラ、ホストクラブ、ガールズバーなど)において、客の恋愛感情を意図的に煽る営業手法=色恋営業はグレーゾーンとされてきました。
しかし、SNSや消費者相談窓口において「店員に好意を持たせられ高額の飲食を強要された」「恋人のような関係を演出された挙げ句、法外な請求を受けた」といった被害報告が増加。
消費者トラブルの温床として、風営法の改正による明確な規制が求められるようになったのです。
2025年6月施行の風営法改正の内容
改正風営法(2025年6月28日施行)では、以下の行為が新たに禁止対象として明記されました。
- 恋愛感情を利用して過剰な接客を行うこと(色恋営業の明示的禁止)
- 来店者に誤解を与えるような料金説明(虚偽表示)
- 注文していない飲食物やサービスの強制提供(未注文商品の押し付け)
これらの行為を行った場合は、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
さらに営業停止処分や許可取消にもつながるリスクがあるため、実務上は極めて重大な改正です。
色恋営業とは具体的にどんなものか?
色恋営業とは、従業員が顧客に好意を抱かせ、恋人関係を匂わせるような言動でリピートや高額利用を促す営業手法です。
実際の例として、以下のようなパターンが報告されています:
- 「私だけを見てほしい」と言われ、特別な関係と誤認させられる
- 「今日も来てくれてうれしい」といった甘い言葉で来店を誘導
- LINEやSNSでプライベートなやりとりを演出
- 断れない雰囲気で高価なボトルやプレゼントを勧められる
こうした営業が、恋愛感情の錯誤による消費者被害に直結するとして、今回の明文化につながりました。
ホストクラブ・キャバクラなどへの影響
特にホストクラブやキャバクラ業界では、色恋営業は売上維持の手段として広く利用されていた実態があります。
しかし今後は、恋愛感情を煽るような営業手法については、以下のような運用リスクが生じます:
- 消費者からの通報や苦情があった場合、営業停止や罰則のリスク
- 従業員の教育不足により、無自覚に違法営業に該当してしまう
- 風営法違反により、許可の更新や新規申請が通らなくなる恐れ
事業者側には、従業員への教育体制の整備と、営業方針の見直しが急務となっています。
合法な接客との線引きは?
改正法においても、通常の接待・おもてなしは引き続き合法です。
たとえば、以下のような行為は問題ありません:
- 丁寧な言葉遣い・気配り・笑顔などによる接客
- 誕生日や記念日を祝うサービス
- 注文内容に沿った適切な提案
一方で、「好きだよ」「付き合ってるみたいだね」など、恋愛関係を仄めかす言動が営業手法として行われる場合、違反とみなされるリスクがあります。
事業者が今すぐ行うべき対応
- 接客マニュアルの見直しと従業員教育の強化
- 料金表示の明確化とトラブル時の記録保存
- 店舗運営ポリシーの整備と説明責任の履行
また、新たな許可取得や更新を控えている店舗は、行政書士など専門家のサポートを受けて対応内容を明確にしておくと安心です。
まとめ|風営法改正は業界の信頼向上の第一歩
今回の法改正は、一部の悪質な営業を排除し、接待飲食業界全体の健全化を目的としたものです。
適切な運営を行う店舗にとっては、むしろ信頼を高める機会となります。
色恋営業に頼らずとも、お客様に愛されるお店づくりが今後の課題です。