【遺産分割協議の落とし穴】相続トラブルを防ぐために知っておくべき5つのポイント

【遺産分割協議の落とし穴】相続トラブルを防ぐために知っておくべき5つのポイント
「親が亡くなったあと、兄弟で仲良く相続すれば大丈夫」
そう思っていたのに、実際には感情が絡んだトラブルに発展してしまう——
これは、遺産分割協議に関する相談でよくある現実です。
今回は、相続における遺産分割協議の基本から、トラブル回避の具体策までを、行政書士の視点でわかりやすく解説します。
1. 遺産分割協議とは?基本をおさらい
遺産分割協議とは、複数の相続人がいる場合に、誰がどの財産をどのように受け取るか話し合って決める手続きです。
この協議で合意がまとまったら、「遺産分割協議書」という書面を作成して、相続手続き(登記や名義変更)に使います。
✅ 必要なケース
- 不動産を相続する
- 預貯金の名義を変える
- 車や有価証券の相続手続き
※「法定相続分どおり」ではなく、現実的な分け方(不動産は長男、預金は次男等)にするために不可欠な手続きです。
2. よくあるトラブル①|「口約束」のまま進めてしまった
「長男が家を継ぐ」「次男が預金を取る」——このような話し合いを口頭だけで済ませてしまうと、後になって問題が表面化します。
リスク:
・相続人の一人が「そんな約束はしていない」と言い出す
・不動産登記ができず名義が故人のまま
・銀行が相続手続きに応じてくれない
✅ 解決策: 必ず「遺産分割協議書」を作成し、全員が署名押印すること。
3. よくあるトラブル②|相続人の所在不明・連絡が取れない
相続人の中に「行方不明の兄」や「海外在住の妹」がいる場合、遺産分割協議が進まないことがあります。
協議は相続人全員の合意が必要であり、一人でも欠けていると無効になります。
✅ 対応法
- 調査で所在を突き止める(住民票・戸籍調査など)
- 家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任申立て
- 必要に応じて「失踪宣告」
※専門家のサポートが欠かせない局面です。
4. よくあるトラブル③|代償分割の金額で揉める
「不動産は兄が取得、その代わり妹に300万円支払う」といったケースは代償分割と呼ばれます。
この代償金の金額をめぐって揉めるのは典型的なパターンです。
✅ 解決策:
・不動産の評価額を不動産業者や行政書士など第三者の意見で公平に算出
・合意内容を協議書に明記し、支払い方法・期限も記載
5. 協議書がないと困る手続き一覧
- 不動産登記の名義変更(法務局)
- 預貯金の払い戻し(銀行)
- 自動車の名義変更(運輸支局)
- 株式・投資信託の移転手続き
※形式不備や記名押印ミスで「書き直し」を求められることも。
6. 行政書士ができること
行政書士は、以下のような場面で強い味方になります:
- 相続関係説明図の作成
- 遺産分割協議書の文案作成
- 戸籍収集と相続人の確定
- 金融機関提出用の書類整備
特に、争いはないけれど形式や法律が不安という方には、行政書士のサポートが最適です。
7. 実際の事例紹介(簡略版)
✅「長男が勝手に不動産を売却していた」
→ 遺産分割協議が未了のまま売却されたため、名義の回復に法的手続きが必要となった。協議書を先に整備しておけば防げた。
8. まとめ|トラブルを防ぐカギは「書面+全員同意」
遺産分割協議は、感情とお金が交差するデリケートな場面。
「親族だから大丈夫」と油断せず、第三者の目線を交えた書面作成が何より大切です。
当事務所では、遺産分割協議書の作成や相続手続きについて無料相談を実施中です。