【2026年最新】接客しながら通訳は技人国で働ける?ホテル・店舗・受付業務を行政書士が解説

ホテルや店舗で外国人を採用するとき、よく聞かれるのが、
「外国人のお客様への通訳もしてもらうので、技人国で大丈夫ですよね?」
という質問です。
ここは少し注意が必要です。
通訳をするから技人国で働ける、と単純に決まるわけではありません。一方で、接客をする仕事だから技人国では働けない、ということでもありません。
実際の申請では、「接客か、接客ではないか」という職種名だけを見るのではなく、その外国人が日常的にどのような仕事を担当するのかを見ていきます。
特に2026年4月、出入国在留管理庁は、翻訳・通訳などの言語能力を使った対人業務について、技術・人文知識・国際業務(以下「技人国」)の考え方を改めて明確にしました。
ホテルのフロント、店舗での外国人客対応、受付、カスタマーサポートなどで外国人を採用する企業にとっては、一度確認しておきたい内容です。
まず、「接客をする=技人国では働けない」ではありません
技人国というと、エンジニアや経理、マーケティングなど、いわゆるデスクワークをイメージする方も多いと思います。
しかし、技人国で認められている仕事には「通訳」も含まれています。
そのため、お客様と直接会話をする仕事だからといって、それだけで技人国の対象外になるわけではありません。
たとえばホテルで、外国人宿泊客への対応、外国語を使った予約対応、海外の旅行会社との連絡、通訳・翻訳などを担当するケースがあります。
こうした業務であれば、仕事内容や本人の経歴などを確認した上で、技人国に該当する可能性があります。
実際、出入国在留管理庁も、ホテル・旅館について、フロント業務など専門性を必要とする業務であれば、技人国の外国人が従事することが認められると整理しています。
では、何が問題になるのか
問題になるのは、「通訳」という言葉だけを付けて、実際には一般的な接客業務が中心になっているケースです。
たとえば求人票には、
「外国人観光客への通訳・翻訳」
と書いてあるものの、実際の仕事はレジ、商品の補充、陳列、店内清掃がほとんどで、たまに外国人のお客様が来たときだけ英語で対応する。
このような場合は、単に「外国語を使うことがある」というだけで技人国として説明できるのか、慎重に考えなければなりません。
申請するときに見るべきなのは、肩書きではなく仕事内容です。
私はこうした相談を受けた場合、まず「1日の仕事の流れ」を確認するようにしています。
何時から何時まで何をするのか。誰を相手にするのか。外国語を使う場面はどこなのか。その仕事に外国人本人の知識や能力がどのように必要なのか。
ここまで整理すると、技人国として説明できる仕事なのかがかなり見えてきます。
ホテルのフロントなら技人国を取れる?
ホテルについては、比較的イメージしやすいと思います。
たとえば、外国人宿泊客が多いホテルで、外国語によるチェックイン対応、予約管理、海外サイトからの問い合わせ対応、旅行会社との調整、館内案内の翻訳などを担当する。
こうした仕事であれば、技人国との関係を検討しやすくなります。
ただし、ホテルで働いていれば何でも技人国になるわけではありません。
客室清掃やベッドメイキング、レストランでの配膳などを主な仕事として採用する場合は、話が変わります。
ホテルという同じ会社の中でも、フロントなのか、企画なのか、清掃なのかによって、在留資格の判断はまったく違います。
「どこで働くか」より「そこで何をするか」。
技人国を考えるときは、この視点が非常に大切です。
忙しいときに配膳や清掃を手伝うのもダメ?
この質問もよくあります。
たとえばホテルのフロントスタッフとして技人国で働いている外国人が、繁忙時に一時的に別の業務を手伝うことがあります。
出入国在留管理庁の資料でも、技人国に該当する仕事を行う中で、一時的に本来の在留資格に該当しない業務を行わざるを得ない場面があること自体は想定されています。
ただし、ここを拡大解釈するのは危険です。
「忙しいときに一時的に手伝うことがある」のと、「最初から通常業務として毎日担当させる」のでは意味が違います。
申請上はフロントスタッフなのに、実際には勤務時間の多くを清掃や配膳に充てているのであれば、当然、在留資格との整合性が問題になります。
店舗で外国人のお客様を接客する場合
店舗についても基本的な考え方は同じです。
最近はインバウンド需要もあり、外国人観光客の多い店舗では、英語、中国語、韓国語などを話せるスタッフを採用したいという相談があります。
その場合、外国語による商品説明や問い合わせ対応だけでなく、海外顧客向けの販促企画、翻訳、海外向けSNS、マーケティングなどまで担当するケースもあります。
ここまで業務内容が具体的になってくると、単なる店舗スタッフとは見え方が変わります。
反対に、仕事内容は日本人アルバイトとほぼ同じで、外国人客が来たときだけ外国語で対応するということであれば、「通訳」という名称だけで申請を進めるのはおすすめしません。
「通訳が何%なら大丈夫ですか?」という質問について
企業から相談を受けていると、
「仕事の30%くらいが通訳なら大丈夫ですか?」
「半分以上なら問題ないですか?」
と聞かれることがあります。
気持ちはよく分かりますが、技人国はそのように単純な割合だけで判断するものではありません。
「通訳が○%以上なら許可される」という一律の基準が公表されているわけではありません。
実際には、会社が何をしているのか、外国人をなぜ採用するのか、日常的にどのような仕事を任せるのか、本人の学歴や職歴とどうつながるのか、といった事情を合わせて見ていきます。
ですので、割合だけを先に考えるより、本当に任せたい仕事を整理することの方が重要です。
2026年4月から、言語能力を使う対人業務の考え方が明確に
2026年4月15日、出入国在留管理庁は「翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務」に関する資料を新たに公表しました。
ホテルのフロントなど、言語能力を使いながら人と直接関わる仕事について、どのように技人国との該当性を考えるのかが、以前より分かりやすく整理されています。
また、現在の申請案内では、言語能力を用いて対人業務に従事する場合、業務上使用する言語についてCEFR・B2相当の言語能力を有することを証する資料が提出資料として示されています。
そのため、これからホテルや店舗、受付業務などで外国人を採用する企業は、仕事内容だけでなく、実際にその業務を行えるだけの言語能力があるかという点も確認しておく必要があります。
「外国語が話せるから通訳で申請」は少し危険です
外国人本人が英語や中国語を話せることと、在留資格上「通訳として働けるか」は別の話です。
技人国では、仕事内容だけでなく、学歴や職歴などの要件も確認します。
特に国際業務については、一定の実務経験が必要になる場合があります。
一方で、大学を卒業した人が翻訳・通訳や語学指導に従事する場合には、実務経験に関する取扱いが異なります。
ですので、外国語が話せるという理由だけで採用を決めるのではなく、最終学歴や職歴まで確認した上で、どの在留資格で申請するのかを考える方が安全です。
私が一番気を付けているのは「申請書と現場が同じか」です
技人国の申請では、理由書をきれいに書くことだけが重要なのではありません。
むしろ、申請書に書いた仕事内容と、採用後に実際に行う仕事内容が一致していることの方が大切です。
たとえば、
- 雇用契約書には「通訳・翻訳」
- 求人票には「店舗スタッフ」
- 実際の現場では「レジ・品出し」
となっていると、説明が苦しくなります。
逆に、会社が外国人を必要とする理由が明確で、本人の経歴と担当業務が自然につながっていれば、申請書類も組み立てやすくなります。
外国人雇用では、ビザ申請だけを後から考えるのではなく、採用する段階で仕事内容まで設計しておくことをおすすめしています。
埼玉・東京でホテル、店舗、受付業務の外国人採用をお考えの企業様へ
当事務所では、埼玉県・東京都を中心に、外国人雇用や技術・人文知識・国際業務の在留資格申請を取り扱っています。
「ホテルのフロントとして採用したい」
「外国人観光客への対応を任せたい」
「店舗スタッフとして採用したいが、通訳業務もある」
「留学生を卒業後に正社員として採用したい」
こうしたケースでは、会社名や職種名だけでは申請できるかどうかを判断できません。
実際の仕事内容、本人の学歴・職歴、雇用条件などを確認した上で判断する必要があります。
特に、接客業務を含む技人国申請は、「通訳もするから大丈夫だろう」と自己判断してしまうより、採用を決める前に一度整理しておいた方が安心です。
行政書士登録番号:22130594
まとめ
接客をする仕事だから、技人国では働けない。
逆に、外国語を使う仕事だから、技人国で働ける。
どちらも少し極端です。
ホテルのフロントや店舗、受付業務であっても、実際の仕事内容によっては技人国に該当する可能性があります。
一方で、「通訳」という名前だけ付けて、実際には一般的な接客や単純な作業が中心となっているのであれば、慎重に検討する必要があります。
技人国で一番大切なのは、職種名を整えることではありません。
その外国人をなぜ採用し、何を任せ、その仕事と本人の経歴がどうつながっているのか。
そこを自然に説明できるかどうかです。
外国人採用を予定している場合は、入社が決まってから在留資格を考えるのではなく、採用の段階で一度確認しておくことをおすすめします。


