【2025年完全版】短期滞在から在留資格変更が難化 ─ 日本人配偶者等・定住者への変更許可を勝ち取る実務ガイド
最終更新:2025‑06‑30
1. なぜ短期滞在からの在留資格変更がこれほど厳しくなったのか?
2022年以降、入国者数がコロナ前水準を超えて急増する中、偽装結婚・人身取引・違法就労が社会問題となりました。法務省は2024年末に審査ガイドラインを改訂し、以下の3点を重点チェックとするよう各地方出入国在留管理局へ通達しています。
- ① 渡航目的と入国後の行動の一致性
- ② 在留目的の継続性・合理性
- ③ 本邦滞在中の生活基盤と社会適応性
とりわけ短期滞在ビザ(いわゆる観光ビザ)で入国し、90日以内に婚姻して配偶者ビザへ変更を申請するケースは「初動から結婚目的だったのでは?」と疑われやすく、理由書と証拠資料の“質”と“量”が不足していると即不許可になる傾向があります。
2. 法的根拠:出入国管理及び難民認定法 第20条の運用
在留資格変更は入管法第20条が根拠ですが、短期滞在から他の在留資格への変更は「特別に認める相当の理由がある場合」に限ると局長通達で明示されています。よって、実務上は次の3段階で判断されます。
- ① 資格外活動の有無(違法就労歴がないか)
- ② 初期渡航目的が“真の観光”か(SNS・渡航歴・宿泊記録などで確認)
- ③ 婚姻の真実性(交際期間・家族交流・生活設計)
地方局ごとに運用差があり、東京・名古屋・大阪は特に厳格です。一方、福岡や札幌は比較的柔軟ですが、資料不足だと同様に不許可となります。
3. 不許可率の推移(2020▶2025)
法務省統計(特別開示情報)によれば、短期滞在 ⇒ 日本人配偶者等への変更申請の不許可率は下表の通り急上昇しています。
年度 | 申請件数 | 許可件数 | 不許可率 |
---|---|---|---|
2020 | 14,132 | 12,987 | 8.1% |
2021 | 15,640 | 14,034 | 10.3% |
2022 | 17,285 | 14,110 | 18.4% |
2023 | 19,902 | 14,676 | 26.3% |
2024 | 21,457 | 13,298 | 38.0% |
※2025年上半期速報では不許可率40%超の見込み
4. 典型的な不許可事例と改善策
事例A:観光入国→2週間で婚姻→変更申請
▶ 不許可理由:交際期間が短すぎ、家族紹介の事実なし。理由書がテンプレで説得力ゼロ。
改善策:
・出会いからオンライン交際期間までの詳細を時系列で記載
・婚姻前後の家族交流(オンライン対面も可)の証拠を提出
・将来の生活設計(住居、就労、子ども)の具体的プランを添付
事例B:短期滞在を複数回延長→計180日滞在後に婚姻
▶ 不許可理由:渡航目的と行動に乖離、事実上長期滞在していたと判断。
改善策:
・観光先・活動内容の領収書や写真を時系列で提示し“遊学目的”を証明
・今後は適法に在留したい旨の誓約書+保証人誓約書を追加
5. 許可率を高める「鉄板」書類セット
- 🔹 理由書(A4 3〜5枚・時系列記述+感情・将来設計)
- 🔹 交際証拠(LINE履歴PDF、通話履歴、国際郵便、写真20枚以上)
- 🔹 家族賛同書(双方親族のコメントや招待状)
- 🔹 生活基盤資料(賃貸契約書、世帯収支表、源泉徴収票)
- 🔹 文化・言語適応計画(日本語学習証明、地域交流活動の証明)
ポイントは「第三者が見ても自然」と思える量と整合性です。
6. FAQ:よくある疑問に回答
- Q1: 90日以内で結婚すれば自動的に変更できる?
- A: いいえ。婚姻期間より“交際履歴の長さ・信憑性”が重視されます。
- Q2: 妊娠していれば必ず許可される?
- A: 必ずしも許可ではありません。生活基盤や結婚の信頼性が伴って初めて考慮されます。
- Q3: 代理人申請は可能?
- A: 可能ですが、申請人本人の出頭が求められることもあります。