知らぬ間に在留資格が取り消される!? ビザ取消制度とその回避方法を行政書士が解説

知らぬ間に在留資格が取り消される!? 在留資格取消制度とは?
「ちゃんとビザ持ってるし、何も悪いことしてない」
そう思っていても、実は“知らない間に”在留資格が取り消されてしまうケースがあるのをご存知でしょうか?
これは「在留資格取消制度」と呼ばれる制度で、法令違反がなくても、入管が“在留資格を与える理由がなくなった”と判断したときに適用されます。
この記事では、この制度の基本から、実際によくある取り消し理由、対策方法まで詳しく解説します。
■ 在留資格取消制度とは?
2009年の入管法改正により導入された制度で、虚偽申請や活動実態がない在留外国人に対して、入管が強制的に資格を取り消す仕組みです。
「不法就労」や「犯罪」だけでなく、“働いていない”“学んでいない”“結婚しているが同居していない”といった“実態のない滞在”が理由になることがあります。
■ 取り消し対象となる主なケース(入管法第22条の4)
【1】虚偽の内容で申請した場合
- 就労先を偽ってビザを申請した
- 結婚実態がないのに配偶者ビザを取得
【2】認められた活動を3か月以上していない
- 技術・人文知識・国際業務ビザで無職のまま
- 留学生が学校に通っていない(除籍・退学)
- 結婚ビザ保持者が別居したまま戻っていない
【3】資格外活動で繰り返し違反
- 資格外活動許可なしでバイトや副業
- 認められない業種(例:風俗業、運送業)での就労
■ 取り消されるとどうなる?
- 在留資格が即時無効になります
- 退去強制手続きに移行(強制送還の対象)
- 最長で5年間日本への再入国ができなくなる可能性も
「軽いことだから大丈夫」と思っていると、将来の永住申請や家族帯同にも重大な影響を与える結果に。
■ 実際にあった取消事例
● 会社都合で解雇 → 就職活動せずに3か月経過
→ 「活動実態なし」と判断され、資格取消 → 退去命令
● 日本人と結婚 → 別居して3年以上連絡もなし
→ 入管が実態を調査 → 虚偽婚として取り消し
● 留学生がアルバイトを掛け持ちし週28時間を超過
→ 複数の店舗で勤務 → 入管調査で資格外活動違反 → 取り消し
■ 対策:取り消されないためにやるべきこと
- 就労・通学の実態をしっかり保つ
- 活動できていない場合は「理由書」を準備して出頭・相談
- 住所・勤務先・結婚の実態変更は必ず届け出る
- パートナーとの別居期間が長引くなら、状況説明資料を整える
■ 取り消されそうなとき、どうすれば?
「聴取通知書」が届いたら、決して放置してはいけません。
出頭しないと強制退去の可能性が高まります。
提出書類や説明次第では、在留特別許可や変更申請で救済されることも。
行政書士や弁護士など、入管対応に慣れた専門家に早めに相談しましょう。
■ まとめ|取り消されないよう、正しい在留管理を
在留資格の取り消しは、知らないうちに対象になっていることもあります。
「何かあってから」では遅いからこそ、定期的な確認と誠実な在留活動が大切です。
不安な方は、お気軽に当事務所までご相談ください。