在留カードの“偽造”を見抜く!企業が知っておくべき確認方法と法的リスク

在留カード“偽造チェック”はどうしてる?企業側が知るべき見抜き方と責任
外国人を雇用する企業にとって、在留カードの確認は単なる形式的手続きではなく、重大な法的責任と密接に関わる行為です。特に近年、巧妙な偽造カードの流通が問題となっており、形式だけの確認では不十分です。この記事では、企業が実務上押さえておくべき「見抜くポイント」と「確認の手順」、そして偽造カードを見逃した際のリスクについて、具体的に解説します。
在留カード偽造の背景とリスク
在留カードは日本で中長期在留する外国人に交付される公的身分証明書であり、外国人の在留資格・在留期間・就労可否などを確認する重要書類です。しかし、就労目的の偽造カードが増加しており、2020年代に入ってからも摘発が相次いでいます。問題となるのは、偽造カードを見抜けなかった企業側も「不法就労助長罪」などで処罰されるリスクがあるという点です。
- 偽造カードを見逃す=知らなかったでは済まされない
- 在留資格確認義務違反で事業停止・刑事責任に問われる可能性も
- 外国人本人も在留資格取消や退去強制の対象
企業が行うべき偽造チェックの基本ステップ
1. 肉眼による確認ポイント
実際のカードを目視で確認する際は、以下の点に注目してください:
- 顔写真の不自然な合成やぼやけ
- 字体やフォントが不統一(「生年月日」の数字など)
- 裏面の在留資格欄の表記ミス(例:「技術」ではなく「技術者」など)
- ホログラムが浮かび上がらない(カードを傾けて確認)
- 触ったときにざらざらしていない・光沢が不自然
2. ICチップ読み取りによる確認
在留カードにはICチップが内蔵されており、スマホ(Android端末)や専用リーダーで読み取ることで、目視では見抜けない偽造を判別できます。
- 在留カード等読取アプリ(法務省提供)を使って読み取る
- 券面記載内容とICチップ情報に不一致がないかを確認
- 読み取りできないカードは偽造・変造の可能性大
3. 在留カード番号のオンライン照会
法務省が提供する「在留カード等番号失効情報照会」サイトで、番号の有効性を確認できます。
- 在留カード番号照会サイト(外部リンク)
- 番号・有効期限を入力すると失効済みカードかどうかを即時判別
- 見た目が正常でも、番号失効なら不法就労のリスク
企業側の法的責任とリスク
在留カードの確認を怠り、偽造カード保持者を雇用した場合、企業側には以下のリスクがあります:
- 不法就労助長罪(3年以下の懲役・罰金)
- 雇用主としての事業停止処分・行政指導
- 企業イメージの毀損、取引停止の可能性
- 技能実習制度や特定技能の受入停止措置の対象に
「知らなかった」では済まず、確認義務を尽くしたかどうかが問われます。つまり、「形式的にカードを見た」だけでは不十分で、ICチップ・番号照会まで行って初めて義務を果たしたと評価される可能性があります。
トラブル回避のために:企業が取るべき対策
- 新規雇用時は必ず原本確認+IC読み取り+番号照会をセットで実施
- チェック結果を社内で記録・保存(スクリーンショットや確認記録など)
- 在留カード更新時にも必ず再チェックを行う
- 社内マニュアルに在留カード確認手順を明記し、担当者に教育する
- 不審な点がある場合は速やかに専門家または入管に相談
とくに人材派遣会社や建設・農業などの現場では「本人がカードを持ってきただけ」で済ませてしまうことが多いため、現場レベルでの意識改革が重要です。
まとめ:企業の責任と信頼性を守るために
在留カードの偽造は、企業側が少しでも注意を怠れば見逃してしまうことがあります。しかし、確認を怠った責任は企業に返ってくるため、制度や技術を正しく活用し、確実に確認する体制を構築することが重要です。外国人雇用が当たり前となった今こそ、企業の信頼性を守るための第一歩として、在留カードの偽造チェック体制を整備しましょう。