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相続・遺言手続きサポートセンター

自筆証書遺言を自分で書く前に:本文・財産目録・訂正方法

自筆で書く前に、本文・目録・訂正のルールを分けて確認する

自筆証書遺言は、希望を書いた紙に署名するだけでは準備が終わりません。本文を本人が書くこと、日付と氏名、押印、添付する財産目録の扱いを、それぞれ確認します。最初に財産と渡したい相手をメモし、内容が整理できてから清書すると、書き直しや目録の取り違えを減らせます。

ここでは自筆証書遺言の形式を中心に説明します。個別の文章の有効性は、家族関係や財産、作成時の事情も含めて確認する必要があります。見本の氏名だけを置き換えれば完成する、という説明ではありません。

制度確認日:2026年9月14日。2026年6月公布の改正法には押印の任意化等が含まれますが、成立・公布と施行は別です。法務省は押印の任意化等を公布から1年以内の政令で定める日に施行すると案内しています。本稿は確認できた現行の作成案内に沿って説明しており、実際に書く日には適用される方式を再確認してください。法務省:2026年の遺言制度改正と施行

思いと必要な情報を書き留める準備のイメージ。

本文・日付・氏名は本人が書き、作成した日を具体的に残す

自筆証書遺言では、原則として全文、日付、氏名を遺言者本人が自書し、押印します。パソコンで印刷した本文に氏名だけを書いたものや、家族が代筆した本文は、この方式の要件を満たしません。自書を省ける財産目録の例外を、本文全体へ広げないことが大切です。法務省:自筆証書遺言の方式

日付は年月日を特定できるように書きます。「9月吉日」のように日を特定できない表現は避け、実際に作成する日を確認してください。後から本人以外の方が空欄へ日付や財産名を書き込んで完成させる予定にしないでください。

下書きの段階では、希望の整理や文字の大きさの確認にパソコンを使うこともできます。ただし、その下書きと正式な自筆の本文は分けます。清書するときは、財産の数字や氏名が最後まで判読できるか、署名と押印を忘れていないかを確認します。法務省の保管申請ガイドには、消えにくい筆記具や具体的な日付等の注意が示されています。法務省:遺言書保管申請ガイドブック

遺言は満15歳からできますが、年齢を満たすだけでなく、本人が遺言内容を理解して意思を示せることが必要です。家族が希望を決めて署名だけ求めたり、書くことが難しい方に無理に清書を進めたりせず、公正証書を含めて適切な方法を相談します。日本公証人連合会:遺言をする時期と意思の確認

自書しない財産目録は、本文と別紙にして各用紙を確認する

自筆の本文と一体になる財産目録を添付する場合、その目録はパソコンで作成したり、通帳や登記事項証明書のコピー等を使ったりできます。目録を使う目的は、対象財産を特定しやすくすることです。「誰に渡すか」という遺言の本文まで、印刷した表の中だけで済ませないようにします。

自書によらない目録は、自筆本文とは別の用紙にします。また、遺言者本人が目録の各用紙に署名し、押印する必要があります。自書によらない記載が両面にある場合は、両面それぞれへの署名押印が必要です。一番最後の用紙への署名だけで、ほかの用紙も済ませたことにはなりません。法務省:財産目録の署名押印・添付方法

例えば、口座のコピーが3枚に分かれるなら、3枚を並べ、どの口座を示す資料かを確かめてから各用紙の署名押印を点検します。口座の明細を何枚も添える前に、金融機関名、支店、種類、口座番号、名義など、財産を特定するために必要な情報が読み取れるかを見てください。無関係な取引明細を増やすと、本文との対応が分かりにくくなります。

法務局へ預ける場合は、目録も片面のみです。民法上、両面に記載した目録への署名押印が説明されていることと、保管制度が両面用紙を受け付けることは別です。保管制度では、A4、所定の余白、ページ番号、裏面へ何も書かないこと等の様式を守ります。法務省:法務局に預ける遺言書の用紙のルール

財産の呼び名を、資料に載る情報と照らし合わせる

家族には通じる「実家」「いつもの銀行」だけでは、手続き先が対象を判断しにくくなります。不動産は登記資料の所在・地番・家屋番号や持分、預貯金は金融機関と口座情報などを確認します。家族との共有財産なら、本人が持つ権利の範囲も分けて考えます。

本文で「別紙の1」と書くなら、添付した目録のどの項目を指すのか、一対一でたどれるようにします。下書きの途中で目録の順序を入れ替えた場合は、本文側の番号も見直してください。コピーの端が切れたり、薄い文字で番号が読めなかったりする場合は、清書前に資料を取り直します。

財産を渡したい方も、呼び名だけでなく氏名や本人との関係が分かる情報を整理します。相続人へ残す場合と、相続人以外へ遺贈する場合では検討事項が異なります。誰が法定相続人か分からないときは、法定相続人の順位と相続分を入口に家族関係を確認してください。

記載した相手が先に亡くなった場合、口座を解約した場合、書いていない財産がある場合にどうしたいかも、相談時の確認事項にできます。ただし、希望を追加するほど文章の整合確認が必要です。「その他一切」といった言葉を意味が分からないまま書き足さず、対象と効果を確認します。

訂正は二重線だけで済ませず、変更箇所と署名押印を確認する

本文や目録の加除・変更には方式があります。遺言者が変更した場所を示し、変更した旨を付記して署名し、変更の場所に押印する必要があります。パソコンで作った目録の記載を直す場合も、訂正の方式を無視してよいわけではありません。法務省:自書によらない目録の訂正

修正液で元の文字を隠す、二重線を引いて印だけを押す、目録のファイルを直して署名済みの紙と差し替える、といった作業を自己判断で進めないでください。修正の経緯や範囲が分からなくなり、希望した変更の効力が問題になることがあります。

清書中の誤記が多い場合は、確認した内容で新たに書き直す方法も検討します。既に完成・保管した遺言を変える場合は、単なる誤字の修正とは分けて、前の遺言との関係や変更後の保管を確認します。古い原本を先に処分すると、どこを変える必要があったのか確認しにくくなるため、まず現物と新しい希望を整理してください。

清書後は、形式と内容を別々に読み直す

一度目は本人が書く部分、日付、署名押印、目録の枚数を点検します。二度目は、本文から目録へ指をたどり、対象財産と受け取る相手が希望に合うかを確認します。文字の誤りと、内容を変えたいという希望を同じ訂正メモへ混ぜないようにしましょう。

夫婦で同じ希望があっても、二人が一つの証書で共同して遺言することはできません。それぞれ独立した遺言として準備します。また、遺留分、個別の税負担、外国法が関係する内容や、既に争いがある場合は、形式の点検だけでは足りません。必要な法律判断は弁護士、税務は税理士等へ確認してください。民法第975条:共同遺言の禁止

書き終えた後の保管と、死亡後の検認も決めておく

自宅等で保管する自筆証書遺言は、原則として死亡後に家庭裁判所の検認が必要です。封印のある遺言書は家庭裁判所で開封する手続きが関係します。検認は遺言の状態を確認する手続きで、有効・無効を決めるものではありません。法務局の保管制度を利用した場合は検認不要となるため、保管方法も作成時に検討します。裁判所:遺言書の検認

自筆証書遺言の形式についてよくある質問

財産目録もすべて手書きしなければいけませんか?

本文に添付する目録には自書の例外があります。ただし、各用紙への本人の署名押印、本文との対応、保管制度を使う場合の様式を別々に確認します。

家族が下書きや資料集めを手伝ってもよいですか?

準備の協力と、本人に代わって内容を決めたり本文を書いたりすることは分けます。最終的な希望を本人が理解し、自筆の本文を本人が作成できることが必要です。

法務局で預かってもらえれば、内容も有効と判断されたことになりますか?

いいえ。保管時の形式確認と、個別内容の法的有効性は別です。財産の特定や他の遺言との矛盾などは、申請前に確認します。岐阜地方法務局:制度で行う確認とその限界

清書前のメモと資料から、準備の範囲を相談する

当事務所の遺言書作成サポートでは、ご本人の希望と家族・財産の情報を整理し、文案や選んだ方式に応じた準備を支援します。自筆の代筆や、個別の有効性の保証を行うものではありません。支援範囲と費用は遺言の料金案内も参照して確認します。

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