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相続・遺言手続きサポートセンター

戸籍が廃棄・焼失等で取得できないと言われたら

相続に必要な戸籍が廃棄・焼失などで取得できないと言われたら、まず発行する市区町村に「どの戸籍が、どの理由で交付できないのか」を確認します。そのうえで、残っている戸籍と交付できない理由を示し、銀行や法務局など実際の提出先に必要な対応を確認する順番です。

戸籍が一部取得できないことだけで、すべての相続手続きができなくなるとは限りません。一方、廃棄証明書や家族の説明があれば必ず代用できるともいえません。発行側が証明できる内容と、提出先が求める証明は別のため、同じ不足を両方へ具体的に伝えることが大切です。

制度確認日:2026年9月11日

家族の記録をたどり、整理するイメージ。

「取得できない」の理由を確かめる

窓口で取得できなかった理由には、本籍や筆頭者の指定違い、請求資格や必要資料の不足、その窓口で扱える交付方法の制限、記録そのものの廃棄・滅失などがあります。同じ「発行できません」という案内でも、次に取る対応は異なります。申請書の控えと回答を見比べ、何が不足しているのか確認してください。

例えば広域交付では、コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は対象外です。また、郵送や代理人による広域交付の請求はできません。その方法では取得できないだけなら、本籍地に通常の交付方法を確認する余地があります。広域交付で出なかったことを、その戸籍が廃棄されたという意味に読み替えないようにします。出典:法務省「戸籍法の一部を改正する法律について」。

本籍地の市町村が合併している場合などは、現在どこが記録を保管しているかも確認します。日本国籍がなく日本の戸籍が存在しない事情は、保存期間を過ぎた日本の戸籍が交付できない事情とは異なります。同じ代替資料の一覧で処理できると考えず、事情を分けて提出先へ相談しましょう。

発行自治体に確認すること

「出生から死亡までの戸籍が足りません」だけでは、担当窓口も不足を特定しにくくなります。取得済みの戸籍を順番に並べ、どの記載の先をたどろうとしているのかを整理します。前の本籍への移動や戸籍の改製が記されていれば、その部分を示して、請求すべき記録と保管状況を確認します。

窓口への確認事項は、次のようにまとめられます。

  • 交付できない戸籍の本籍・筆頭者・種類と、分かる範囲の対象期間
  • 請求内容の補正で取得できるのか、記録自体が残っていないのか
  • 廃棄・滅失等が理由の場合、その事情を証明する書類を交付できるか
  • 証明書の名称、証明される範囲、請求資格、必要資料と請求方法

口頭の説明をメモする際は、照会日と窓口名も残します。こちらの推測を混ぜず、「一部の除籍が保存されていないと回答された」など、回答の対象を正確に書きます。別の時期の戸籍まで存在しないと決めつけると、取得できる資料も探さずに終えてしまうおそれがあります。

残っている戸籍は取得・保管し、不足部分と混ぜないようにします。過去に取得した戸籍の原本やコピーが家族の手元にある場合も、発行日と全ページの有無を確認して別に整理します。古いコピーを見つけたことは提出先に伝える材料になりますが、それだけで現在の手続きに必要な証明書を満たすとは限りません。

不在籍証明と廃棄証明を混同しない

「その人の戸籍がないことを証明してもらえばよい」と一括りにすると、目的と違う証明書を取ることがあります。例えば京都市では、不在籍証明は申し出た本籍・氏名に一致する戸籍が存在しないことを、廃棄証明は保存期間を過ぎて記録が廃棄されたことを証明するものとして区別しています。証明できる事実が異なります。出典:京都市「不在籍証明書、不在証明書、廃棄証明書」。

不在籍証明から直ちに「他に相続人はいない」と分かるわけではありません。また、自治体が交付する廃棄や滅失の証明書は、失われた戸籍に誰が記載されていたかをすべて復元するものではありません。証明書名だけを指定する前に、提出先が何を確認したいのかを把握してください。

京都市では、一部の古い除籍について廃棄済みであることを説明する書面も案内していますが、その書面で足りるかは提出先への確認が必要としています。これは自治体の取扱いの一例です。他の自治体でも同じ年代の戸籍が廃棄されている、同じ書面を使える、と一般化しないようにします。

提出先ごとに不足資料を確認する

発行自治体の回答が分かったら、提出先に、取得済みの戸籍、不足の範囲、交付できない理由、取得可能な証明書をまとめて伝えます。「代わりになる書類はありますか」とだけ聞くより、具体的な事情を示す方が、その案件に必要な確認につながります。

銀行などの金融機関へ提出する場合

必要書類は、遺言の有無、遺産分割協議の有無、手続きの内容などで変わります。例えば三菱UFJ銀行は、相続手続きの状況ごとに必要な戸籍等を案内しています。この一般案内に、廃棄・焼失した戸籍の代替方法がすべて書かれているとは限りません。出典:三菱UFJ銀行「相続手続に必要な書類」。

口座のある金融機関の相続窓口へ、不足資料の扱い、追加で求める説明や証明、原本・コピーの別を確認します。別の銀行で受理された組合せが、そのまま通用するとは限りません。まず一つの窓口で確認した取扱いを、他の金融機関にも確認する形で進めます。

相続による不動産の所有権移転登記の場合

除籍・改製原戸籍の一部が滅失等で取得できない場合については、法務省の平成28年3月11日付通達に取扱いがあります。戸籍と残存する除籍等に加え、滅失等のため交付できない旨の市区町村長の証明を添付する扱いが示され、その場合に従来求めていた相続人全員による「他に相続人がいない」旨の証明は不要とされています。出典:法務省「除籍等が滅失等している場合の相続登記について(通達)」。

この取扱いは、残る戸籍等をそろえることが前提です。交付不能の証明書1枚だけで登記できるという意味ではなく、通達では明治5年式の壬申戸籍も対象から除かれています。自分の不足がどの取扱いに当たるか、ほかの登記必要書類と併せて管轄法務局や司法書士に確認します。銀行の払戻し等へ一律に当てはめないでください。

法定相続情報一覧図が必ず使えるとは限らない

戸籍がそろわないので、先に法定相続情報一覧図を作ればよい、という順序では解決しないことがあります。この制度は戸除籍謄本等の記載に基づき法定相続人を明らかにするもので、必要な資料を提出して確認を受けることが前提です。

法務局は、被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど、戸除籍謄抄本を提出できない場合は制度を利用できないと案内しています。廃棄・滅失による不足についても、欠ける資料の範囲と残る戸籍を示し、個別の利用可否を法務局へ確認してください。相続登記に関する取扱いを、そのまま一覧図の交付条件と考えることは避けます。出典:法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」。

家族の記憶だけで不足部分を埋めて、確認済みの相続関係として図に書き込まないことも大切です。調査用のメモや相続関係説明図を作る場合も、戸籍で確認できた関係と、追加確認が必要な関係を区別します。完成した図の見た目が整っていても、証明の不足がなくなるわけではありません。

相談に引き継げる記録を残す

相談用のメモには「取得済み」「自治体へ確認中」「交付不能の理由が判明」「提出先の回答待ち」を分けて記載します。誰がどの窓口に確認したかが分かれば、同じ問い合わせの繰り返しを減らし、追加の確認に進みやすくなります。提出先が複数あるときは、回答を手続きごとに残してください。

書類がそろわない間も、申告・登記などの期限が自動的に延びるわけではありません。期限が迫っている場合は、足りない戸籍と現在の確認状況を先に担当専門家へ伝えます。登記は司法書士、税務は税理士、相続人の範囲をめぐる紛争や法的判断は弁護士など、問題に応じた相談先を選びます。

当事務所では、戸籍収集・相続人調査について、取得済み資料と不足の理由を整理し、受任できる範囲を確認します。法定相続情報一覧図の作成支援は、制度を利用できる条件が整うかを確認してから検討します。いずれも不足資料が必ず代替できると保証するものではありません。

よくある質問

「他に相続人がいない」という書面を全員で作ればよいですか?

一律に作るものではありません。相続登記には滅失等に関する通達の取扱いがあり、他の手続きは提出先ごとの確認が必要です。確認できていない事実を断定した書面へ署名する前に、何の証明が求められているのかを確かめてください。

家に残っていた古い戸籍のコピーで代用できますか?

参考資料として伝える価値はありますが、そのまま正式な提出資料になるとは限りません。発行日、写っている範囲、現在取得できない理由を併せて提出先に伝え、原本等の要否を確認します。

役所で発行できないと言われたら、そこで手続きは終わりですか?

まず理由を分けます。請求方法や指定内容の問題なら修正で取得できる場合があり、記録の廃棄等であれば交付不能の証明と提出先の対応を確認します。確認が必要な段階であり、すべて不可能とも必ず進められるとも断定できません。

戸籍の不足について相談する際は、自治体からの回答と提出予定の手続きをお知らせください。相続手続きに関するお問い合わせから、資料整理についてご相談いただけます。

相談を担当する行政書士

吉田雄介(行政書士登録番号22130594)。エールZEAL国際行政書士事務所(埼玉県比企郡滑川町)。事務所・行政書士の紹介をご覧ください。

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