業務・職場の確認

外国人雇用の書類と支援記録の個人情報管理|収集・共有・保管の注意点

在留カード、経歴、雇用書類、生活相談記録を安全に扱うための実務を解説。収集目的、閲覧権限、支援機関への共有、保管・廃棄と事故対応を整理します。

初回30分相談無料

貴社の状況を伺い、対応の可否、今後の進め方、必要な手続きと費用の概要をご案内します。

書類作成・調査・申請などの実際の業務は別途有料です。正式なご依頼は、ご相談後にご判断いただけます。

鍵と書類保管用のファイル棚
この記事の目次

外国人雇用では、在留カードや旅券の情報に加え、学歴・職歴、給与、住居、家族、生活相談など、性質の異なる情報を扱います。全てを一つの共有フォルダーに保存し、関係者なら誰でも見られる運用では、必要以上の共有が起こりやすくなります。まず、何のために必要で、誰が使い、いつまで保管する情報なのかを分けて整理しましょう。

企業と登録支援機関が連携する場合も、支援を委託しているという理由だけで、本人の相談内容を無条件に全て会社へ戻す運用は適切ではありません。仕事を進めるために必要な共有と、本人の生活や権利に関わる情報の取扱いを、契約と実際の業務の両方から決める必要があります。

最初に、保管している情報の一覧を作る

人事担当者のパソコン、採用用のメール、勤怠システム、給与システム、紙のファイル、支援機関との連絡ツールなど、情報の置き場所を書き出します。公式な保管先以外に、担当者の個人端末や個人アカウントへコピーが残っていないかも確認してください。

情報の種類 主な確認目的 管理時の注意
在留資格・就労条件 就労可否、期限、必要手続の確認 最新情報と旧版を区別し、原本の預かりを常態化しない
経歴・学歴等 採用や在留申請の確認 採用関係者以外へ広く共有しない
給与・勤怠・雇用契約 雇用管理と法定手続 権限と保存根拠を確認する
生活相談・面談記録 支援の実施と課題への対応 相談内容と企業へ必要な報告を区別する

一覧には、情報を取得する担当、更新する担当、社外へ送る相手も記載します。資料名が違っても同じ情報が複数の場所に保存されていることがあります。最新版が分からない状態は、漏えいだけでなく、期限の見落としや誤った届出にもつながります。

収集前に、利用目的と必要な範囲を決める

「今後必要かもしれない」という理由だけで、本人の資料を広く集めないようにします。採用選考、在留手続、給与計算、生活支援では必要な項目が異なります。会社が何のために情報を扱うかを本人に分かる形で示し、必要な資料を必要な時期に求める運用にします。

初回の相談や見積りでは、氏名入りの在留カード画像がなくても、在留資格、期限、採用予定の仕事等の概要で進められる場合があります。正式な確認に必要となった段階で、安全な受渡し方法を案内します。申請書類の準備が必要かどうかも分からないうちに、全資料の一斉送信を求めないことが重要です。

健康状態や診療の内容など、要配慮個人情報に該当し得る情報は、通常の連絡先等と同じ感覚で集めないでください。取得や共有の根拠を個別に確認し、本人が相談したことによって不必要な情報まで広がることを防ぎます。制度上必要な取得と、任意の生活相談は区別して扱います。

書類箱からファイルを取り出す手元

在留カードのコピーと個人番号を切り分ける

2026年6月14日から導入された特定在留カードは、裏面に個人番号が記載されます。従来の「在留カードは両面をそのままコピー」という社内手順を、全てのカードへ機械的に適用しないでください。在留資格の確認目的で、個人番号まで収集する必要があるかを分けて考えます。

個人情報保護委員会は、個人番号を意図せず見ただけの場合と、書き取りやコピーをした場合を区別しています。後者は収集に当たり、収集・保管制限に関わる可能性があります。税や社会保険のために個人番号を取得する手続と、採用時の就労確認の保存資料を別にし、担当者へカードの違いを周知します。個人番号の収集に関する公式Q&Aを参照してください。

画像を送ってもらう場合は、必要な面や項目、送信方法を具体的に案内します。不要な番号等を受け取ったときの扱いも決めます。後から黒塗りした資料を作れば、受信メールや端末に残った元画像まで消えるわけではないため、取得前の説明が大切です。

社内共有は、役職ではなく業務上の必要性で決める

直属の上司には、担当できる仕事、勤務上の条件、必要な配慮等の共有が必要なことがあります。一方、旅券の全ページや個人的な相談記録まで閲覧できる必要があるとは限りません。役員を含めて「会社の人だから全部見られる」という権限設定にしないようにします。

共有フォルダーやシステムでは、閲覧、変更、ダウンロード、社外送信の権限を分け、担当者の異動・退職時に見直します。複数の人が同じアカウントを使うと、誰が操作したのか追えなくなります。個人別の権限と操作記録を使える仕組みを選び、担当者個人の記憶に依存しない管理にします。

紙の資料も、施錠できる場所、持出し方法、複写のルールを決めます。面談中に机の上へ他の社員の資料を置いたままにしない、会議室の画面共有で別の人のファイルを映さないなど、日常の作業手順を具体化してください。

支援機関や通訳者へ渡す情報は、契約と目的を確認する

外部への提供が、個人データの取扱いの委託に当たるのか、第三者提供としての確認が必要なのかは、名称ではなく実際の関係から判断します。全ての共有に同じ同意書を使うだけで済ませず、利用目的、取扱範囲、契約上の役割を整理してください。委託に当たる場合も、委託先への必要かつ適切な監督が必要です。

実務では、渡す資料、利用できる人、保存場所、再共有の条件、返却・削除、事故時の連絡を契約や手順で確認します。通訳のために給与の説明資料が必要でも、過去の相談記録全体を送る必要があるとは限りません。作業ごとに必要な範囲を切り出します。

個人情報の取扱いに関する一般的な再委託管理と、特定技能の支援業務そのものの再委託に関する制度は別です。情報管理上の契約を結んだから、支援業務の再委託が認められると考えないようにします。登録支援の委託範囲は、入管制度に沿って別途確認します。

閉じたノートパソコンと整理された机

相談記録は、本人の発言と対応の記録を分ける

面談や苦情対応の記録では、本人が述べた事実、担当者が確認した事実、担当者の評価、今後の対応を分けて記載します。「問題のある社員」など、根拠が分からない評価語だけを残さないようにします。後の担当者が記録を読んだとき、事実と推測を混同しないことが重要です。

企業へ報告するときは、対応に必要な内容と共有できる範囲を確認します。例えば住居の修繕が必要であれば、会社が対応すべき箇所や希望時期を伝えることで足りる場合があります。相談で話された家族関係等まで一括して共有することを標準にしないでください。

法令に基づく通報や、生命・身体等に関わる緊急対応が必要な場合には、通常の共有手順だけでは対応できないことがあります。誰が判断し、どの根拠で、何を誰へ伝えたかを記録します。本人に「どんな場合も誰にも伝えない」と約束してから対応に困ることがないよう、相談時の説明を整えます。

保管期間は書類ごとに確認し、不要な複製を減らす

雇用関連書類、税・社会保険資料、在留申請の控え、支援記録では、保存に関係する法令や実務上の必要性が異なります。一律に「退職したら全て削除」「永久保存」と決めず、保存根拠、起算点、責任者を資料ごとに整理します。必要な保存義務を確認したうえで、利用する必要がなくなった情報は消去等の対象にします。

廃棄時には、原本だけでなく、メール添付、端末のダウンロード先、共有リンク、バックアップ等の扱いも確認します。本人から削除の申出があった場合は、法令上の保存や請求への対応を確認し、担当者がその場で独断で全削除しない手順を設けます。

送信前の確認を、担当者の注意力だけに頼らない

添付資料を送る際は、宛先、対象者、必要なページ、ファイルの内容を送信前に確認します。似た氏名の社員や、以前相談した別会社の宛先が候補に表示される場合もあります。頻繁に使う宛先でも、送信先の担当者が現在も同じ業務を担っているかを確認してください。

共有リンクを使う場合は、受け取った人が誰でも再共有できる設定になっていないかを確かめます。閲覧できる相手と期間を絞り、用件が終わった後のアクセスを見直します。安全な道具を導入しただけで安心せず、利用者が設定と操作を理解できる短い手順を用意しましょう。

外部サービスへ相談内容や書類を入力する場合も、そのサービスがどのように情報を保存・利用するかを先に確認します。手軽に翻訳できるからという理由で、在留カード画像や健康相談の全文を無断で投入しないよう、社内で利用可能なサービスと扱える情報を決めることが大切です。

誤送信や紛失が起きたときの連絡先を決めておく

事故の発生時は、責任者への報告、拡大防止、事実確認を速やかに進めます。送信先に削除を依頼しただけで終了とせず、情報の内容、影響する人数、閲覧の可能性、再発防止を確認します。一定の漏えい等では、個人情報保護委員会への報告や本人への通知が必要になります。公式の事故対応案内で要件を確認してください。

登録支援を委託する際は、報告内容とあわせて資料の受渡し・保管・相談記録の共有範囲を確認しましょう。個人情報管理は支援の妨げではなく、必要な人へ必要な情報を正確に届け、本人が相談しやすい環境を維持するための基盤です。

自社の状況に合わせて、次の準備を。

依頼範囲、会社側の準備、費用を関連サービスで確認できます。

あわせて読みたい記事

LET’S TALK

受入れの状況から、
一緒に整理しましょう。

貴社の現在の状況を伺い、必要な手続きや支援、今後の進め方をご案内します。