国民健康保険の領収書が手元になくても、まずは「何が確認できて、何が足りないか」を分けて整理してください。 納付証明書を取れば、過去の支払日まで必ず分かるとは限りません。加入期間、請求された年度・期別、納期限、実際の納付日をつなげて確認することが大切です。
この記事は、転職の間だけ国民健康保険に入っていた方、領収書を紛失した方、口座振替やスマートフォン決済で払った方に向けた案内です。国民健康保険は、以下「国保」と記載します。自治体によって「保険料」「保険税」と呼び方が異なります。この記事では、市区町村が扱う国保の資料を説明します。
最初に確認するのは、①自分の申請ルートで必要な期間、②国保に加入していた自治体と名義、③支払いを裏付ける記録の3点です。資料が足りないことと、保険料を払っていないことは、分けて調べます。
公式情報確認日:2026年9月29日
1.納付証明書と領収書は、確認する役割が違います
出入国在留管理庁の永住許可申請3の提出資料案内では、対象期間中に国保へ加入していた方について、国民健康保険料(税)の納付証明書と領収証書の写しを案内しています。領収証書は、納期限を過ぎて払ったものがないかを確認するための資料です。

同案内には、必要な領収証書を提出することが難しい場合、その理由を記載した理由書を提出するよう記載されています。ただし、理由書を出せば納付の裏付けがすべて不要になる、という意味ではありません。 手元の記録で確認できる範囲を整理し、ほかに何が必要かを申請先へ確認します。
資料の対象期間も先に確かめてください。例えば、就労資格等を対象とする申請3では過去2年間、高度人材80点以上の一部の申請区分では過去1年間の案内です。在留資格の名前だけで決めず、必要書類と申請区分の選び方から、自分が使う公式一覧を確認します。
ここでいう「提出資料の対象期間」は、期限後納付があった場合に待てばよい年数を示すものではありません。
2.書類を集める前に、4つの役割に分けます
加入期間を示す資料
いつから、どの医療保険に入っていたかを確認する資料です。現在の資格情報だけで過去の切替が分からない場合は、以前の資格取得・喪失が分かる記録も探します。提出する資格資料の種類は、その時点の入管の案内に合わせます。
自治体が発行する納付・納税の証明
どの名義・年度について、何が証明される書類なのかを確認します。「未納がないこと」「一定期間に納めた合計額」「各期の納付日」は、同じ情報ではありません。書類の名称だけで判断せず、実際の記載項目を見ます。
例えば川口市の納付案内は、未納がないことを示す納税確認書と、申告用の納付確認書を区別しています。税の申告用に届いた書類だけで、永住申請の確認事項をすべて満たすとは考えないでください。
請求額・納期限を示す通知
納税通知書、納付書、金額が変更された通知などです。いつまでに、どの分を払う必要があったかを確認します。支払いに使う「納付書」と、支払い済みであることを示す「領収書」も区別してください。
実際の納付を示す記録
領収証書、口座の取引明細、決済履歴などです。支払先、日付、金額と、対応する年度・期別を照合します。口座明細や決済履歴が、どの申請でも領収証書の代わりになると一律に決まっているわけではありません。 ここでは、不足を確認し、申請先へ相談するための補足資料として整理します。
3.領収書がない理由ごとに、次の行動を変えます
紙の領収書を紛失した場合
まず、なくした年度・期別を特定します。一部の領収書が残っているなら、そろっている分と不足する分を分けてください。
次に、当時の自治体の国保担当・収納担当へ、納付の証明や各期の納付日を確認できる資料の有無を問い合わせます。領収書を再発行してもらえると決めつけず、発行できる書類と、そこに載る情報を確認するのが先です。
そのうえで、紛失した範囲、自治体に確認した結果、手元にある裏付けを整理し、提出が難しい事情の説明に使います。
口座振替で払っていた場合
当時の口座明細や、保管している振替結果の通知を探します。口座名義、自治体などの引落先、日付、金額が分かる形で保存してください。Web明細の保存可能期間を過ぎているときは、金融機関に過去の取引記録を取得できるか確認します。
口座振替の申込書だけでは、実際に引き落とされたことまでは分かりません。残高不足で引落しができず、後日別の方法で払った期があれば、その支払いまで追って確認します。
スマートフォン決済で払った場合
決済済みの画面や利用履歴に加え、対応する納付書を保存します。アプリ内で残高をチャージした記録だけでは、国保を払ったことの確認には足りません。
川口市は、スマートフォン決済による納付について、領収証書を送付できない旨を公式の納付案内に記載しています。紙の領収書が発行されない支払方法と、発行された領収書の紛失は事情が違います。
決済履歴から分かる範囲を確認し、自治体側への反映状況も問い合わせます。反映にかかる日数や、入管に提出する組合せを、すべての自治体・申請で同じとは考えないでください。
4.国保で見落としやすい「名義・期別・転居」
自分の名前で証明書が出るとは限りません
国民健康保険税の納税義務者は世帯主です。世帯主本人が国保に加入していない場合でも、世帯の加入状況により世帯主あてに通知されます。調布市の納税通知書の案内でも、この仕組みを説明しています。
本人は国保加入者でも、通知書や納付資料の名義が配偶者などになっていることがあります。名前が違うからと資料を除外せず、その時期の世帯主、国保加入者、通知書の名義を対応させてください。必要に応じ、住民票や加入者の内訳が分かる資料を確認します。
「第3期」を「3月分」と読み替えないでください
国保の加入月と、納付する月・期別は一致するとは限りません。調布市は、年税額を期別に分けて納めるため、支払月と課税対象月は一致しないと説明しています。期数や納期限は自治体によって異なります。
そのため、転職後に国保の引落しがあっても、直ちに二重払いと判断することはできません。逆に、勤務先の健康保険へ入ったから、届いた国保の請求を放置してよいわけでもありません。加入・脱退日、変更後の通知、まだ払う必要のある額を自治体へ確認してください。
転居した場合は、当時の自治体ごとに確認します
現在の市区町村の証明書だけで、転居前の納付状況まで分かるとは限りません。旧住所で国保に入っていた期間と、新住所での期間を分け、各自治体で必要な資料を取得できるか確認します。
住民税の証明書で使う「1月1日の住所地」の考え方を、そのまま国保資料の取得先に当てはめないでください。転居後の所得確認などにより金額の再計算がある場合は、古い通知だけでなく変更後の通知も確認します。川口市は、転入後の所得照会・再計算で差額が生じた場合は改めて通知すると案内しています。
5.資料をそろえる具体的な順序
以下は、確認漏れを防ぐための整理方法です。この形式のメモが全員に提出義務として課されているわけではありません。

- 申請区分と対象者・期間を決める。 本人だけでなく、本人を扶養している方(生活費を支えている方)の資料が必要かも公式一覧で確認します。
- 保険の加入履歴を書く。 国保の自治体、資格取得・喪失日、その当時の世帯主を並べます。勤務先の健康保険等の期間も書き、未確認の期間を見つけます。
- 年度・期別で支払いを照合する。 通知書の名義、納期限、請求額、実際の納付日・金額、裏付けの書類名を並べます。加入月と納付期別は別欄にします。
- 不足を自治体・金融機関へ確認する。 発行できない資料は、理由と確認した日をメモします。支払日が未確認のまま、「遅れなし」と記載しないでください。
- 提出できる資料と説明をそろえる。 不足する領収書の範囲と事情を整理し、追加の裏付けが必要かを入管へ確認します。保険者番号や被保険者等記号・番号は、公式案内に従って黒塗りなどで復元できない状態にして提出します。
自治体に伝えると確認しやすい内容
「永住許可申請のため、○年○月から○年○月までの国保の資料を準備しています。当時の住所は○○、世帯主は○○です」と、用途と期間を先に伝えます。続けて、次を尋ねてください。
- この期間について請求すべき書類名・年度・名義は何か。
- 証明書には、未納の有無だけでなく各期の納期限・納付日が載るか。
- 載らない場合、納付日を確認できる別の資料や窓口はあるか。
- 最近払った分は記録に反映されているか。金額の変更・還付・充当がある場合、どう確認するか。
- 窓口、郵送、代理請求の方法と、本人確認資料・委任状等は何が必要か。
例えばさいたま市の国民健康保険税の納税証明書案内では、各区役所の保険年金課が発行窓口です。支所・市民の窓口では取り扱わないとされており、住民税の証明書と同じつもりで窓口へ行かないよう注意してください。
年金も途中で切り替わった方は、厚生年金と国民年金の切替時の資料整理を別に確認します。国保の納付証明書は、年金の納付状況を証明するものではありません。
6.仮定の例:転職の間だけ国保に入り、領収書がない
Aさんは、退職後に国保へ入り、再就職後は勤務先の健康保険へ切り替えました。国保は口座振替で払い、紙の領収書は持っていません。これは確認手順を示す仮定の例で、実際の相談・許可実績ではありません。
まず、退職日だけでなく、勤務先の保険の資格喪失日、国保の加入・脱退、新しい保険の資格取得日を確認します。次に国保の通知書と口座明細を照合し、再就職後の引落しがどの年度・期別の請求かを調べます。
納付証明書に各期の支払日が載っていなければ、確認できる資料を自治体へ尋ねます。口座振替だった事情と、取得できた資料を整理してから、入管へ不足資料の扱いを確認します。勤務先の保険に現在加入しているという事実だけで、過去の国保資料の確認を終わらせないことがポイントです。
7.よくある質問
今は全額払っていれば、納付日は気にしなくてよいですか?
いいえ。永住許可に関するガイドラインでは、公的義務の履行について、申請時に納付済みでも、当初の期限内に履行していなければ原則として消極的に評価するとしています。
期限後納付が見つかったら、納期限・納付日・対象の期別・経緯を事実に沿って整理します。理由書の提出や、一定期間待つことだけで許可が決まるものではありません。
自分で作った一覧表だけを提出してもよいですか?
一覧表は、資料同士の関係を説明する補助になりますが、自治体や金融機関の記録そのものに代わるわけではありません。元の資料と対応できるようにし、分からない納付日や名義を推測で埋めないでください。
8.次に確認するページ・相談のご案内
国保の資料を整理したら、年金・健康保険要件の全体像と、現在の在留資格に合う永住申請ルートへ進み、ほかの確認事項とつなげてください。
転職の空白期間や収入も気になる方は、転職後すぐの永住申請で確認する安定性と空白期間で、納付資料以外の準備を確認できます。
国保の記録と通知が合わない場合、まずは自治体で事実を確かめます。そのうえで永住申請にどう説明するか、申請時期をどう考えるか迷う方は、永住申請の相談の進め方をご確認ください。相談時には、国保へ加入していた自治体・期間、支払方法、足りない資料を伝えると、確認事項を整理しやすくなります。
参考にした公式情報
以下は2026年9月29日に本文を確認しています。自治体の案内はその自治体での取扱いであり、全国共通の窓口・証明様式を示すものではありません。
- 出入国在留管理庁:永住許可申請3 — 項目8、公的医療保険の資料、国保の納付証明・領収証書、提出が困難な場合の理由書。
- 出入国在留管理庁:永住許可申請4-(1)-イ — 高度人材80点以上の当該区分における過去1年間の資料。
- 出入国在留管理庁:永住許可に関するガイドライン — 2026年2月24日改訂。公的義務の履行と期限後納付の取扱い。
- さいたま市:国民健康保険税の納税証明書を取得したい — 発行窓口・請求時の資料。ページ更新日2025年9月8日。
- 川口市:国民健康保険税の納付場所等について — スマートフォン決済の領収証書、証明書の名称・用途。ページ更新日2026年5月20日。
- 調布市:国民健康保険税の納税通知書 — 世帯主名義、加入月と納付月、脱退後の納付。ページ更新日2026年7月7日。
- 川口市:年度途中に引っ越してきた場合の国民健康保険税 — 転入後の所得照会・再計算。ページ更新日2018年10月26日。
本記事は資料準備の一般的な案内です。必要資料や申請方針は、申請区分と個別の事実に基づいて確認してください。