永住権を取得するには「働いていること」が絶対条件?

永住権を取得するには「働いていること」が絶対条件?
日本で長く暮らしている外国人の方にとって、「永住権(永住許可)」は大きな目標の一つ。
更新の必要がなく、活動制限もないことから、生活やキャリア設計に安心感をもたらします。
ですが、こんな不安を感じたことはありませんか?
「働いていないと永住申請ってできないの?」
「収入がゼロだったら、やっぱり無理?」
今回は、永住申請と「収入」「就労」の関係について、行政書士の視点から詳しくご説明します。
■ 結論:働いていなくても永住は可能だが、“生活の安定”が重要
永住許可の審査では、以下の3点がポイントです。
- 原則10年以上の在留(うち5年以上は就労資格などでの滞在)
- 素行が善良であること(犯罪歴がない、納税義務を果たしている)
- 独立して生活できること(=生活基盤が安定している)
つまり「今働いているかどうか」よりも、「今後も安定して生活していけるか」が問われるのです。
■ 収入がないケースでも申請可能なパターン
① 配偶者に収入がある(専業主婦・主夫)
日本人や永住者の配偶者として在留している方で、自身に収入がなくても、配偶者の収入や家計全体が安定していれば永住申請は可能です。
② 公的年金や障害年金などを受給している
働いてはいなくても、年金等の安定した公的収入がある方は、それを生活基盤として認めてもらえる場合があります。
③ 貯金や資産が十分にある
一時的に収入がなくても、預貯金や不動産収入など他の資産があれば生活の安定とみなされることがあります。最低でも生活保護を受けなくても生活できる水準が求められます。
④ 親族などから継続的な扶養を受けている
たとえば、親や兄弟から毎月一定額の仕送りを受けて生活している場合、その内容や証明方法によっては、生活基盤として評価される可能性があります。
■ 収入がゼロの場合の注意点
ただし、「全くの無収入かつ支援者もいない」という状態では、永住の許可を得るのは非常に困難です。
理由:
- 将来的に生活保護に頼る可能性が高いと判断される
- 社会的な自立性が認められない
- 「日本に永住する必要性が乏しい」とみなされる可能性がある
対処法:
- 収入がないことの理由をしっかり説明する
- 一定の貯金があることを証明する
- 家族・親族からの支援を文書で示す
- 申請のタイミングを見直す(就職後に申請するなど)
■ Q&A:収入と永住の関係でよくある質問
Q:アルバイトでも永住申請はできますか?
→ はい。アルバイトでも申告していれば可能です。大事なのは継続性・安定性・納税実績です。
Q:現在無職で、収入もゼロ。どうしても今申請したい場合は?
→ 一度専門家にご相談ください。過去の収入実績や貯蓄状況、将来の見通し、家族支援の有無など、あらゆる可能性を洗い出す必要があります。
Q:生活保護を受給中の場合は?
→ 生活保護受給中の申請は原則として認められません。受給が終了し、安定した生活状況が確認された後に申請すべきです。
■ 実例紹介:収入ゼロでも永住が通ったケース
埼玉県に在住の韓国籍の女性(50代・無職)は、日本人配偶者と結婚後10年以上専業主婦として暮らしていました。本人の収入はゼロでしたが、夫が公務員で収入・納税ともに安定。行政書士による丁寧な書類作成とサポートにより、無事に永住許可を得られました。
■ 専門家からのアドバイス
収入がない、働いていない場合でも「絶対に無理」ではありません。ただし、提出する資料の内容や組み立て方次第で結果が大きく変わります。
当事務所では、収入が不安定な方や現在無職の方でも、可能性を探って永住申請の準備をお手伝いしています。