車を相続したときは、最初に車検証などで「所有者」と「車両の区分」を確認します。普通車、軽自動車、バイクでは窓口や書類が異なり、亡くなった方が使っていた車でも、所有者が販売店やクレジット会社なら、確認する手順が変わります。続けて乗るのか、売却するのか、使用をやめるのかも、書類をそろえる前に整理しましょう。
ただし、相続放棄を検討している場合は、名義変更や売却・廃車を先に進めず、財産への対応を専門家に確認してください。知りたい内容に合わせて、名義変更の必要書類と車種別の窓口をご確認ください。
制度確認日:2026年9月11日

車検証の「所有者」と「使用者」は分けて確認する
まず、車検証や自動車検査証記録事項で、所有者の氏名・名称、使用者、使用の本拠の位置、車台番号などを確認します。日常的に運転していた人や、自動車税の通知を管理していた人だけを見て、所有者を判断しないようにしましょう。
電子車検証では、券面だけでは所有者情報などの詳細を確認できません。自動車検査証記録事項や車検証閲覧アプリを利用し、現在の記録を確かめます。窓口へ問い合わせる際も、車検証の写真だけでは情報が足りない場合があります。国土交通省「自動車所有者・使用者の方へ」
販売店やクレジット会社が所有者になっているとき
購入代金を分割で支払っている車などでは、販売店やクレジット会社が所有者として記録されていることがあります。この状態を、亡くなった方が所有する車の相続と同じ手続きで進めることはできません。東北運輸局も、所有者が自動車会社等である場合は、通常の移転登録の手続きになると案内しています。東北運輸局「所有者が死亡した場合」
契約書と支払状況を確認し、所有者となっている会社へ名義人の死亡を伝え、契約や所有権解除に必要な手続きを確認します。ローンが完済していても所有者の記録がそのままの場合があるため、完済だけで名義も変わったと判断しないでください。車の登録手続きと、残債など契約上の権利義務は分けて確認します。
普通車・軽自動車・バイクでは、手続き先が異なる
普通車などの登録自動車は運輸支局・自動車検査登録事務所、軽自動車は軽自動車検査協会が主な確認先です。新たな使用の本拠などによって管轄が決まるため、亡くなった方の住所に近い窓口へ行けばよいとは限りません。
| 車両の区分 | 主な窓口・確認先 |
|---|---|
| 普通車などの登録自動車 | 使用の本拠等を管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所。 |
| 軽自動車 | 使用の本拠を管轄する軽自動車検査協会の事務所。 |
| 小型二輪:250ccを超えるもの | 運輸支局・自動車検査登録事務所。車検証の変更手続き等を確認。 |
| 軽二輪:125ccを超え250cc以下 | 運輸支局・自動車検査登録事務所。届出内容の変更等を確認。 |
| 原動機付自転車:一般的な125cc以下の二輪 | 市区町村の軽自動車税担当窓口。標識と申告の手続きを確認。 |
バイクは「小型」「軽」という呼び方だけで判断せず、排気量と車検証・届出済証等を確認します。特に250ccちょうどは軽二輪、250ccを超えるものは小型二輪です。電動車両や特殊な仕様では排気量だけで分類できないため、証明書等を示して窓口へ確認してください。関東運輸局「二輪の区分と申請書」、四国運輸局「車に関する情報」
この表は窓口を探すための整理で、全車種に同じ相続書類が必要という意味ではありません。普通車の必要書類をそのまま軽自動車やバイクに当てはめたり、運転免許の区分だけで登録窓口を選んだりしないようにしましょう。
乗る・売る・廃車にする前に、権限と進め方を決める
亡くなった方が所有者の場合は、遺言書の有無や相続人を確認し、誰が車を取得するのかを整理します。遺産分割で取得者を決める場合、車を管理している家族だけで決定してよいとは限りません。売却する予定なら、売却を進める権限と代金の扱いについても、関係する人の合意を確認します。
普通車では、相続と第三者への名義変更を同時に扱う手続きや、相続と一時抹消を同時に行う手続きが案内されています。必ず一度相続人名義にして別の日に売却する、と決めつけず、目的に合う申請を窓口で確認しましょう。車検の有効期間や登録状態によっても流れが変わります。関東運輸局「自動車の相続による手続き」
登録自動車は、所有者の変更があった場合、その事由があった日から15日以内に移転登録を申請するのが原則です。相続の場合の起算日や登録状態に応じた手続きは管轄窓口へ確認します。全車種を「死亡から一律15日」と考えず、相続放棄を検討中なら、期限だけを理由に独断で移転や処分を急がず、法的な影響を先に確認してください。道路運送車両法第13条
軽自動車検査協会は、亡くなった所有者から直接第三者へ譲渡したい場合、新しい使用者の使用の本拠を管轄する事務所へ問い合わせるよう案内しています。普通車の同時手続きの説明を、軽自動車にもそのまま当てはめないでください。軽自動車検査協会「所有者が死亡した場合の名義変更」
相続放棄を検討している場合は、売却・解体を先にしない
相続財産の処分には、単純承認と扱われる可能性があります。車の売却や解体、名義変更などをどう評価するかは事情によるため、保管場所に困る、古くて価値が低そうという理由だけで進めないようにします。現状を記録し、法的な判断を弁護士などへ確認してから対応してください。民法第921条(法定単純承認)
相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ申述する手続きです。「車を受け取らない」と家族に伝えることだけで相続放棄にはなりません。裁判所「相続の放棄の申述」
必要書類は、車両と相続の状況を伝えてからそろえる
普通車を相続人の一人が取得する代表的なケースでは、車検証、死亡と相続人を確認する戸籍等、取得する人を確認する遺産分割協議書や遺言書等、新所有者の印鑑証明書などが確認対象になります。関東運輸局では、単独相続の書類や条件を項目別に案内しています。関東運輸局「単独相続」
どの書類で相続関係と取得者を示すかは、遺言書の内容、法定相続情報の利用、相続人の人数などで変わります。遺産分割協議書を使う場合は車台番号などを確認し、どの車を誰が取得するかが分かるようにします。資料が足りない段階で、亡くなった方の名義の委任状や譲渡証明書に代わりに署名するような作り方はしないでください。
軽自動車やバイクについては、それぞれの窓口で相続時の提出物を確認します。登録手続きで求められる書類が普通車より少ない場合でも、相続人間の権利や合意を確認しなくてよいという意味にはなりません。提出用の書類と、家族間で取得内容を明確にする書類は役割が違います。
未成年者と親権者が共同相続人で、遺産分割の際に利益が相反する場合などは、特別代理人の選任が必要になることがあります。連絡できない相続人や海外の証明書が関係する場合も、通常の一覧だけでは判断できません。事情を窓口や適切な専門家へ伝えて、準備する順序から確認します。関東運輸局の相続手続きの注意事項
ナンバー・車庫・車検は、書類作成と並行して確認する
新しく使う人の住所や保管場所が変わる場合は、車庫証明の要否、管轄の変更、ナンバープレートの扱いを確認します。普通車の単独相続の案内では、使用の本拠等の条件に応じた車庫証明や、管轄変更時の車両の持ち込みが示されています。必要な証明書には発行時期等の条件もあるため、取得を急ぐ前に提出予定を整えましょう。関東運輸局の車庫証明・車両に関する案内
車両の持ち込みが必要か、ナンバーの交換や封印など実車への作業があるかも、予約や依頼の前に聞いておきます。「書類を郵送できる」ことと「車を動かさずに全て終わる」ことは同じではありません。保管場所が遠方のときは、車が現在どこにあるかを必ず伝えてください。
車検が切れている車を、手続きのためだからとそのまま運転して持ち込むことはできません。関東運輸局は、有効期間が過ぎた車について、すぐ使う場合、使わない場合、第三者へ名義を変える場合を分けて案内しています。登録の進め方と、適法な移動方法をそれぞれ確認します。関東運輸局の車検切れの場合の案内
任意保険や自賠責保険についても、契約者・対象車両・補償条件等を保険会社へ確認します。名義変更の申請が済めば、保険や税に関する連絡まで自動的に全て完了すると考えず、関係する窓口ごとに完了を記録しておきましょう。
自分で進める場合と、行政書士へ依頼する場合
自分で進める場合は、車検証等の確認、窓口への照会、相続関係の資料準備、申請書の作成、必要に応じた実車対応を順に整理します。窓口へは「所有者が死亡した」「車両区分は何か」「誰が取得してどう使うか」をまとめて伝えると、単なる売買の案内と行き違いにくくなります。
行政書士へ依頼する場合も、書類の作成・申請、車庫証明、ナンバーや車両への対応のうち、どこまで含むかを確認します。地域・車両・登録状態により必要な対応が違うため、全国一律に出張や封印まで依頼できるとは限りません。家族の合意や本人が確認する事項を、依頼しただけで省略することもできません。
費用は報酬と実費を分け、必要な業務に応じた見積もりを確認します。相続関係の調査や協議書の作成を既に依頼している場合は、車の手続きがその範囲に入っているかも確認しましょう。処分の権限について争いがある場合は、書類の作成で解決できる問題として進めず、弁護士へ相談します。
車の相続についてよくある質問
車を使っていなければ、名義はそのままでよいですか?
使わないことだけで、所有者の死亡に伴う確認が不要になるわけではありません。保管、税・保険、今後の使用や処分を整理し、登録状態に合った手続きを窓口に確認してください。相続放棄を検討中なら、名義変更や処分に着手する前に法的な影響を確認します。
軽自動車なら、普通車と同じ遺産分割協議書が必須ですか?
必要書類を普通車と同じと決めつけず、軽自動車検査協会の案内で確認してください。一方で、窓口の提出書類が簡素であることと、他の相続人に確認せず取得・売却してよいことは別です。誰が車を取得するのか、権利関係と合意を整理して進めます。
車検証が見つからない場合は、手続きできませんか?
車両を特定できる資料やナンバーなど、分かる情報をまとめて、管轄窓口へ確認してください。再交付の要否や申請できる人、相続を示す書類などを先に確認します。古い写しが見つかった場合も、それだけで現在の登録内容と一致するとは限りません。
車の登録状態から、必要な書類と依頼範囲を整理する
当事務所では、相続による自動車の名義変更と、合意済みの内容に基づく遺産分割協議書の作成をご案内しています。車検証等に記録された所有者・車両区分と、今後の予定を分かる範囲でお知らせください。
対応する業務と費用は相続手続きの料金案内と個別の見積もりで確認します。ご依頼までの進め方はご相談の流れをご覧ください。相続した車の手続きについて問い合わせる
あわせて読みたい記事
相談を担当する行政書士
吉田雄介(行政書士登録番号22130594)/エールZEAL国際行政書士事務所(埼玉県比企郡滑川町)。事務所・担当者のご案内