通知書・自治体の資料・登記の記録を組み合わせて調べます
一つの結果だけで「全国のすべて」を確認したとは扱いません。
- 分かること
- 自治体ごとの課税資料から土地・家屋の手がかり。
- 残る確認
- 非課税物件等の記載範囲は自治体へ確認。
- 分かること
- 氏名・住所等で、所有権の登記記録を検索。
- 残る確認
- 旧住所・未登記等による検索漏れに注意。
- 分かること
- 特定した物件の名義・持分等の登記記録。
- 残る確認
- 借入残高や税務評価は別に確認。
「該当なし」は全不動産の不存在の証明ではありません。資料の記載差と検索条件を残し、請求書作成・登記の依頼先も別に確認します。
物件が分かった記録と、名義・持分の確認をつなぎます。
故人の不動産がどこにあるか分からないときは、固定資産税の通知書や権利証等を手がかりに、所在地の自治体の資料と法務局の登記記録を照合します。2026年2月2日には、名義人の氏名・住所等から不動産を一覧で確認する所有不動産記録証明制度も始まりました。
ただし、名寄帳一通や新制度の検索結果だけで、全国の全財産を確認できたとは限りません。「どの資料に何が載り、何が調べられないか」を押さえることが大切です。本記事は所在と名義を調べる準備を説明し、登記申請の代理や税務評価を案内するものではありません。制度確認日:2026年9月15日。

最初に「誰の名義か」と「どの場所か」を分けて記録する
手元の固定資産税納税通知書・課税明細、登記済証や登記識別情報通知、売買契約書、過去の遺産分割協議書等を集めます。家族の話に出る田畑や山林、別荘、共有の私道も、まずは確認候補として記録します。記憶だけの情報は、資料で確認できたものと区別してください。
郵便物が故人宛てでも、登記上の名義が故人とは限りません。亡くなった祖父母の名義のまま、故人が税金の連絡を受けていた可能性もあります。宛名、資料上の所有者、税の納付者を別の欄にしておくと、同じ人だと思い込まずに調べられます。
不動産を特定するときは、普段使う住所のほか、土地の地番、建物の家屋番号を確認します。住居表示と地番・家屋番号は一致しないことがあるため、「自宅の住所を書けば必ず登記記録が取れる」とは考えないでください。松山地方法務局:登記事項証明書の請求前の確認
名寄帳は自治体ごとの課税資料です
名寄帳は、納税義務者等ごとに土地・家屋の所在地や課税内容などをまとめた資料です。故人の不動産があると考えられる市区町村の担当窓口へ、相続人として閲覧や写しの交付を受ける条件を確認します。全国の自治体の情報を一度に取り寄せる資料ではありません。
例えば東松山市は、所有者が亡くなっている場合の相続人による請求と、本人確認・相続関係を示す書類を案内しています。代理人の場合は委任状が必要です。請求先によって資料の名称や受付方法が異なるため、先に「相続のため、故人の土地と家屋を確認したい」と目的を伝えましょう。東松山市:固定資産名寄帳兼課税台帳の閲覧
名寄帳にも記載の範囲があります。川口市は、公衆用道路等の非課税の土地・家屋は名寄帳に記載されないと案内しています。他の自治体でも同じ形式とは限らないので、共有名義、非課税物件、未登記家屋がどの資料に載るかを個別に確認します。川口市:名寄帳と非課税物件の取扱い
納税通知書が見つからない場合も、直ちに不動産なしと判断しません。共有者の代表へ届いている、旧住所へ送られているなど、別の事情がないか手元の資料と照合します。税の通知先を変更したことも、相続による所有者の確定や登記の変更とは別です。東松山市:固定資産税の共有・相続に関する案内
2026年開始の所有不動産記録証明制度を確認する
所有不動産記録証明制度は、特定の人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を、登記官が検索し一覧で証明する制度です。2026年2月2日に施行され、名義人本人のほか、相続人等の一般承継人が請求できます。故人の不動産の所在地が十分に分からないときの確認手段になります。法務省:所有不動産記録証明制度
請求には、本人確認や故人との相続関係を示す情報等が必要です。過去の氏名・住所を検索条件とする場合は、それを裏付ける戸籍や戸籍の附票等も確認します。現在の住所だけでなく、不動産を取得した頃の氏名や住所が分かる資料を探しておきましょう。
一つの請求書で複数の検索条件を指定できますが、異なる氏名・住所を一つの条件欄へまとめる方法ではありません。どの組合せを調べるかを整理し、書面・オンライン等の受付方法、必要資料、手数料を最新の公式案内で確認します。証明書が取れることと、相続登記まで終わることは別です。
「該当なし」でも調査を終えず、検索条件を点検する
新制度で検索できるのは、所有権の登記がされている不動産です。表示に関する登記だけのもの、登記簿がコンピュータ化されていないもの、条件と登記上の氏名・住所が合わないものなどは、抽出されない場合があります。故人より前の世代の名義が残る物件も、故人の条件だけで把握できるとは限りません。法務省:検索条件と対象外の注意点
一方、条件が重なる別人の不動産が抽出される場合もあります。結果に載った物件をすべて故人の遺産と決めず、名義、住所の経緯、手元の資料とのつながりを確認します。法務省も、氏名・住所等による検索には網羅性の限界があると説明しています。法務省:検索仕様の注意点
例えば、ある市の課税明細には土地と家屋があるのに、証明書に家屋が載らないときは、未登記なのか、別人・旧世代の名義なのか、検索条件が違うのかを分けて確認します。これは照合の考え方を示す例であり、記載の差だけから原因を断定することはできません。
物件が分かったら、登記事項で名義と持分を照合する
所在・地番・家屋番号が分かった物件は、登記事項証明書等で詳細を確認します。土地と建物を別々に見て、所有者として記録されている氏名・住所、共有なら持分、抵当権等の記載を整理します。一続きに見える敷地でも複数の土地に分かれていたり、建物と土地の名義が違ったりするため、見た目だけで一物件と数えないようにします。法務省:不動産登記のABC
共有不動産では、物件全体と故人の持分を区別します。また、抵当権の登記があることだけで現在の借入残高を確定したり、登記がないことだけで借金なしと判断したりはできません。融資関係の資料や金融機関への確認は別に必要です。
税の資料にある評価額は売却価格や相続税評価額と同じとは限りません。所在と名義の調査を進める段階では、数字を一つに置き換えず「固定資産税の資料に記載された評価額」など出所を残します。税務上の評価・申告は税理士へ、境界や表示の登記に関することは土地家屋調査士等へ確認します。
資料が食い違う箇所と、次の確認先を一覧に残す
調査の一覧には、物件を特定する情報、資料上の名義と持分、確認した資料名・日付、まだ分からない点を書きます。新制度の証明書には検索した氏名・住所の条件も対応させて保管します。家族が見直したときに、「どこまで確認済みか」を追える記録にしてください。
同じ物件が通知書、名寄帳、証明書に載っていても三つの財産として数えず、共通の番号で結び付けます。逆に、一枚の通知書に複数の地番が載っていれば、地番ごとに確認欄を作ります。古い協議書や登記の完了資料がある場合は、既に処理した物件と今回残っている物件も分けます。
調査中でも期限は別に確認します。相続登記は、相続開始とその不動産の所有権取得を知った日から原則3年以内です。2024年4月1日より前から取得を知っていた場合は、原則2027年3月31日までの経過措置があり、遺産分割後には分割日から3年以内の追加の義務もあります。「新しい証明書を取った日から一律に3年」とは扱わず、経緯を司法書士や法務局へ伝えてください。法務省:相続登記の申請義務化Q&A
資料整理、証明書の請求、登記申請は業務を分けて相談する
所有不動産記録証明書は代理人による請求もできますが、それだけで、どの専門職も有償で請求書作成を受任できるという意味にはなりません。法務省は2026年の省令改正に対する意見募集の回答で、交付請求に関する書類・電磁的記録の作成は司法書士法第3条第1項第2号に該当すると説明しています。請求書の作成を依頼したい場合は司法書士等へ相談してください。法務省:意見募集結果・項番13
当事務所への相談では、手元資料の整理や合意済みの内容に基づく協議書作成について、対応できる範囲を確認します。所有不動産記録証明の請求書作成や相続登記申請を、行政書士の通常の書類作成と一括して案内するものではありません。相続人間で帰属や分け方が争われているときは、弁護士への相談が必要です。
不動産の調べ方についてよくある質問
名寄帳だけで、故人の不動産をすべて確認できますか?
全国を一括して確認する資料ではなく、非課税物件等の記載範囲にも違いがあります。所在地の候補ごとに確認し、登記の記録や手元の権利証等と突き合わせます。
所有不動産記録証明書が「該当なし」なら、不動産はありませんか?
その検索条件で抽出されなかった結果です。旧住所・旧姓、所有権の登記の有無、旧世代の名義等を確認し、別の資料に手がかりがあれば調査を続けます。
固定資産税を払っていた人が、その不動産を相続しますか?
納付したことだけで取得者は決まりません。登記上の名義、相続関係、遺言や遺産分割の内容を確認します。意見が対立する場合は、資料をそろえて弁護士へ相談してください。
判明した物件と未確認事項を整理して相談する
当事務所の相続サポートの内容と遺産分割協議書作成をご確認ください。資料整理・協議書作成について問い合わせる際は、通知書や登記資料の有無、名義の分からない物件、既存の協議書があるかをお知らせください。調査・取得の対象と資格、費用は依頼前に確認します。
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相談を担当する行政書士
吉田雄介(行政書士登録番号22130594)。エールZEAL国際行政書士事務所(埼玉県比企郡滑川町)。事務所・担当者の案内