制度確認日:2026年9月23日
実家をきょうだいの共有にしたものの、誰が管理するか決まっていない。売却や修繕を考え始めたときは、登記上の持分と、これまでの取り決めを確認するところから始めましょう。
共有不動産は、すべての行為に全員の同意が必要なわけではありません。必要な同意は、行おうとすることが保存・管理・変更のどれに当たるかなどで異なります。全体の売却と、自分の持分の扱いも分けて考える必要があります。

まず、名義・持分・相続の状況を調べる
土地と建物それぞれの登記事項証明書で、所有者、持分、抵当権などを確認します。固定資産税の通知を受け取る人と、所有者が一致するとは限りません。納付書や費用の領収書だけで、持分を判断しないようにしてください。
登記名義人が亡くなっている場合は、その人の相続関係の確認も必要です。遺産分割が未了の状態と、分割を終えて共有にした状態では、解消する際の手続きが異なることがあります。名義変更の履歴、遺言、遺産分割協議書をまとめて相談しましょう。
資料を探す順番は、故人の不動産の調べ方で確認できます。
保存・管理・変更で、必要な同意は異なる
民法上の一般的な共有では、次の区分が基本です。マンションの共用部分など、別の法律や規約が関わるものは別途確認します。
| 行為の区分 | 同意等の基本ルール |
|---|---|
| 保存:共有物の現状を維持する行為 | 各共有者が単独で行える |
| 管理:利用・改良や、形状・効用を著しく変えない変更 | 持分の価格の過半数で決める |
| 著しい変更を伴う変更 | 原則として共有者全員の同意が必要 |
人数の多数決ではなく、持分に基づく判断である点が大切です。また、共有者間の決定に基づいて使用している人に特別の影響を及ぼす管理の決定には、その人の承諾が必要です。法務省「共有私道の保存・管理等に関する事例研究会報告書」17〜20頁
「修繕」という名前だけで、保存行為か管理行為かを決めることはできません。建物の状態、工事の目的、変更の程度、利用者への影響などを確認します。賃貸も契約内容や期間、借地借家法との関係によるため、持分の過半数があれば常に貸せるとは考えないでください。
管理を続けるなら、費用と連絡方法を残す
方針が定まらない間も、建物の状態確認や支出の記録は進められます。共同で確認できるよう、次の項目を一覧にします。
- 現在の利用者、空き家かどうか、賃貸契約の有無
- 固定資産税、保険、管理・修繕費の請求先と実際の支払者
- 点検日、破損箇所の写真、修繕の見積りと実施内容
- 各共有者の連絡先、連絡した日、回答内容
立替えた費用を誰がどの割合で負担するか、緊急時の連絡先、定期的な見直し時期も話し合います。支払った人へ所有権が自動的に集まるわけではないため、費用負担と持分の変更を混同しないことが大切です。
当事者間でまとまった内容を書面にする際は、作成する文書と担当者の範囲を確認しましょう。相続の分け方が合意済みの場合は、遺産分割協議書の記載・確認事項も参考になります。
売却や共有解消は、権利と費用を確認して選ぶ
不動産全体を通常の売買で売却する場合は、原則として共有者全員の同意が必要です。考えられる整理方法には、全体を売って代金を分ける方法や、一人が他の共有者の持分を取得する方法などがあります。
どれを選ぶかは、希望する利用方法、価格の評価、代金を支払えるか、担保や賃貸借の有無によって変わります。贈与・売買などによる持分移転には税務や登記も関わります。持分の放棄を「相続放棄」と同じものと考えたり、通知だけで登記まで完了すると考えたりしないでください。
話合いがまとまらないときは、共有物分割など裁判手続きの検討が必要な場合があります。遺産分割が終わっているか、共有持分自体が相続財産かによっても整理が変わるため、弁護士へ資料を見せて確認します。
連絡が取れない共有者を、勝手に除外しない
所在が分からない場合と、住所は分かるが回答がない場合は区別します。連絡記録を残し、必要な調査をしても所在等が分からないときには、裁判所の決定により管理・変更等を進める制度の利用を検討できる場合があります。
一定の手続きで所在等不明者の持分を取得したり、第三者への譲渡を進めたりする仕組みもありますが、申立てや金銭の供託などの条件があります。返信がないことだけで同意した扱いにはできません。法務省「共有制度の見直し」14頁
内容に応じて、相談先を分ける
合意形成で対立がある場合、共有物分割の判断、相手との交渉や調停・訴訟の代理は弁護士へ相談します。相続登記や持分移転登記は司法書士、税額や申告は税理士の担当です。
行政書士は、法的紛争、税務、登記申請を除く範囲で、相続人の調査や合意済みの遺産分割協議書等の作成を扱います。日本行政書士会連合会「遺言・相続」
YellZealへの相続書類の準備・作成のお問い合わせでは、不動産の所在地、名義人、相続が起きた時期、現在の合意状況をお知らせください。