本文へ移動

相続・遺言手続きサポートセンター

入院中・外出が難しい方の公正証書遺言:出張等の相談前確認

外出が難しくても、公証人への出張相談などを検討できます

入院中や療養中で公証役場へ行けない場合は、公証人が病院・施設・自宅などへ出張して公正証書遺言を作成する方法を相談できます。ただし、入院していることだけで作成の可否や日程は決まりません。本人の意思を確認できること、場所や参加者の条件を整えられることが必要です。

2025年10月から公正証書の作成手続は順次デジタル化され、条件を満たす場合にはウェブ会議の利用も可能になりました。「電子データで作ること」と「本人が離れた場所から参加すること」は別に確認します。この記事では、通常の必要書類に加えて、外出が難しい本人と家族が何を伝えるとよいかを整理します。

制度確認日:2026年9月14日

思いと必要な情報を書き留める準備のイメージ。

「字が書けない」と「遺言の内容を判断できない」を分けます

遺言では、作成する時点で必要な能力を有していることが求められます。本人が、自分の財産を誰にどう残すかを理解し、希望を表しているかが重要です。病名、高齢であること、寝たきりであることだけをもって、一律に作成できる・できないと判断しないでください。民法第963条

公正証書遺言は、自筆証書遺言のように本人が本文全体を手書きする方式ではありません。病気等で電子サインができない場合についても、公証人がその旨を記録・記載する取扱いが案内されています。手が動かしにくい、姿勢を保ちにくいといった事情は、具体的に公証人へ伝えます。日本公証人連合会「遺言」公正証書の特徴

発声ができない場合には、通訳人の通訳による申述や自書で口授に代える規定があります。聞こえにくさ、視力、会話の方法も含め、本人がどのような方法なら内容を理解して伝えられるかを相談します。家族が代わりに答えれば本人の遺言として完成する、という意味ではありません。民法第969条の2

診断書があれば必ず作成できるという制度でもありません。求められる医療情報は、公証人に事情を伝えて確認します。成年後見制度を利用している場合はその事実も伝えてください。成年被後見人が能力を一時回復して遺言をする場合には医師2人以上の立会い等の特則があり、通常の準備と同じに扱えません。後見人が本人の代わりに遺言を決めることもできません。民法第973条

出張の相談では、病院名だけでなく面会の条件も伝えます

公証人の出張による作成は、病院や介護施設、自宅などで行われています。まず、本人のいる場所と外出が難しい事情を公証役場へ伝え、相談先となる公証人、出張可能な場所、必要な準備を確認します。家族が指定した日時に必ず来てもらえるとは考えず、本人の体調と公証人の確認を踏まえて調整します。日本公証人連合会「公証人の出張が可能」

病院や施設には、外部の人が入室できるか、人数や時間の制限、面談に使える場所、機器の持込みに関するルールを確認します。公証人から必要とされた条件と施設側の条件を、双方に正確に伝えることが大切です。治療やケアの予定を変更できると決めつけず、担当窓口と相談してください。

家族が最初の連絡を手伝う場合は、「本人から聞いた希望」と「家族が提案したい内容」を分けます。公証人が本人と直接確認する機会を確保するため、面談の方法や、家族が席を外す場面も事前に確かめておくと準備しやすくなります。

ウェブ会議は、本人確認・意思確認と利用環境の条件を満たす場合です

2025年10月1日以降、指定を受けた公証人が作成する公正証書は原則として電子データで作成されます。公証人が本人と同じ場所で面談して作成する場合もデジタル化の対象となるため、電子化されたことだけでウェブ会議が使えるわけではありません。日本公証人連合会「公正証書のデジタル化」

リモート方式には申出等の要件があり、公証人が相当と認める必要があります。公証役場に行く難しさや施設への立入り制限などの必要性と、本人確認・真意・判断能力を適切に確認できるかという点が検討されます。遺言は本人の意思の確認が特に重要な手続であり、「移動できないのでオンラインで」と希望すれば必ず認められるものではありません。日本公証人連合会「リモート方式を利用できる場合」

機材も、普段のビデオ通話ができれば足りるとは限りません。日公連の案内では、所定のパソコン、カメラ・マイク等が必要とされ、スマートフォンやタブレット型PCは使用できないとされています。端末を新たに購入する前に、対応機器、通信、電子サインの方法を利用予定の公証役場へ確認してください。日本公証人連合会「必要な機材」

原則として個室などの閉じられた空間を用意し、室内をカメラで確認できることも求められます。機器操作を補助する人についても、証人等の欠格事由や本人の判断に影響する利害関係が問題になります。相続予定の家族なら操作のため自由に同席できるとは考えないでください。出張時に署名困難への対応があることと、リモート方式の条件を満たすことも別問題です。日本公証人連合会「リモート方式に関する説明」(PDF)

証人と、準備を手伝う家族の立場を確認します

公正証書遺言には証人2人以上の立会いが必要です。未成年者、推定相続人、遺贈を受ける人、その配偶者や直系血族など、証人になれない人が法律で定められています。本人の子が書類を集めている場合でも、そのまま証人になれるわけではありません。候補者と本人・受け取る人との関係を伝えて確認します。民法第969条・第974条

証人、通訳、機器操作の補助者、連絡担当の家族は、役割が異なります。人数制限のある施設では、誰がどの段階で入る必要があるかを公証人と施設の双方に確認してください。証人が見つからない場合も、手配方法や費用を先に相談します。当事務所が証人を必ず用意するという案内ではありません。

本人の希望・資料・場所の情報を一つの相談メモにまとめます

入院中の相談では、同じ説明を何度も繰り返す負担を減らすため、分かっていることと確認待ちを整理します。次は相談用の項目例であり、作成可否を判定するチェック表ではありません。

項目まとめる内容
本人の状況会話や文字での意思表明、聞こえ方、姿勢、体調の変化、連絡を取りやすい時間帯。
場所と参加者病院・施設の連絡窓口、入室条件、面談場所、証人や補助者の候補。
遺言の希望誰にどの財産を残したいか、本人が迷っている点、以前の遺言の有無。
手元の資料本人確認書類、家族関係・財産の資料と、その原本を保管している人。

資料の不足は具体的に伝えます。家族が通帳や戸籍の準備を手伝っても、遺言の内容を決めるのは本人です。病状の詳細は必要な範囲と提出方法を確かめてから共有し、家族全員に一斉送信しないようにします。

日程が決まった後も、転院、面会制限、体調、本人の希望に変化があれば公証役場へ連絡します。当日まで案が変わっていないかも確認してください。急いでいる事情は最初に伝えますが、確認を省略した作成や最短日数を保証することはできません。

公証人の費用と、依頼する支援の費用を分けます

費用の確認では、公正証書の作成手数料のほか、出張に関係する費用、証人・通訳等の費用、資料取得費、依頼する専門家の報酬を分けます。公証人の出張に関する加算、日当・旅費などは日公連の案内にも説明がありますが、総額は内容と条件を公証役場へ示して確認してください。日本公証人連合会「公正証書遺言の作成手数料」

当事務所の遺言書作成サポートへの相談では、本人の希望の整理、資料確認、公証役場との事前連絡など、どの支援を依頼したいかをお知らせください。訪問、同行、証人の手配、リモート支援の可否と料金は、それぞれ受任範囲を確認します。

遺言書作成の料金案内をご覧のうえ、相続専用の相談窓口へ、本人のいる場所と外出が難しい事情をお伝えいただけます。

外出が難しい場合によくある質問

本人が話せないと、公正証書遺言はできませんか?

発声が難しいことだけで一律には決まりません。法律上の方式の特則と、本人が遺言の内容を理解して意思を伝えられるかを確認します。通訳や筆談等の方法を公証人へ相談してください。

家族のスマートフォンをつなげれば、病室で作れますか?

通常のビデオ通話と同じ条件ではありません。所定の機器と場所、本人確認、意思確認、公証人の判断が必要です。病院の通信や入室の条件も含め、予約前に確認します。

家族だけで先に公証役場へ相談できますか?

状況を伝え、必要な資料や進め方を相談することはできます。ただし、家族の説明は本人の遺言や意思確認の代わりにはなりません。本人と公証人が確認する方法を含めて相談します。

CONSULTATION

ご相談・お問い合わせ

現在の状況を伺い、対応できる支援、今後の進め方、必要な手続き・費用の概要をご案内します。

書類作成、調査、申請・届出などの実際の業務は別途有料です。相談後に正式に依頼するかどうかは、ご自身でお決めいただけます。

上部へスクロール