業務・職場の確認

外国人採用の職務記述書|実際の仕事内容を社内で整理する方法

外国人採用で使う職務記述書を、肩書きや抽象語に頼らず作る手順を解説。主業務、付随業務、成果物、配置・変更予定を現場と人事で照合します。

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建物の模型を使い、担当する仕事を確かめる外国人社員
この記事の目次

外国人採用で仕事内容を説明するとき、「営業職」「海外担当」「技術者」といった職名だけでは、実際にどのような仕事をするのか十分に伝わりません。職務記述書は、本人に任せる作業、その目的、必要な知識、成果物、配置を社内で共有するための資料です。在留資格の確認にも使えますが、許可を得るためだけの文章にせず、入社後の仕事と一致させることが重要です。

ここでは、特定の業種の受託可否や、職務の許可可能性を一律に判断せず、会社が事実を整理する方法を説明します。独自様式の職務記述書を作れば、公式の申請書類や労働条件通知書が不要になるわけではありません。それぞれの資料へ、同じ確定情報を反映するための土台として使ってください。

最初に、採用したい理由と任せる仕事を分けて聞く

現場への聞き取りでは、「なぜ人が必要か」と「採用した人が何をするか」を別の質問にします。「海外顧客が増えた」は採用の背景ですが、それだけでは日々の仕事が分かりません。問い合わせ対応、調査、提案、契約確認、受発注等のうち何を担当し、どの場面で専門知識や外国語を使うのかを掘り下げます。

経営者、人事、現場責任者が同じ職名を違う意味で使っていることもあります。人事は企画担当を想定し、現場は常時接客や作業応援を想定している場合、書面の作成前に方針をそろえる必要があります。意見が一致していない部分を、曖昧な表現でまとめないようにしましょう。

聞き取りには、候補者の採用が決まった後に初めて関わる上司も含めます。実際に仕事を割り振る人が職務記述書を知らなければ、入社後に別の仕事を指示する原因になります。採用担当者が資料を完成させ、現場へ一方的に渡す運用は避けます。

作業は「対象・行為・成果物」で具体化する

仕事内容は、対象となる情報や相手、行う行為、結果として残る成果物の三つで書くと具体的になります。例えば「顧客対応」だけではなく、対象顧客から何を聞き取り、何を確認し、どのような提案や記録を作るのかを説明します。社内で当たり前になっている略語や製品名には短い説明を添えてください。

整理する要素 現場への質問
対象 どの製品、取引、顧客、データを扱うか
行為 分析、設計、調整、翻訳等、具体的に何をするか
判断 本人が判断する事項と、上司の承認が必要な事項は何か
成果物 資料、図面、報告書、提案、システム等、何ができ上がるか
必要能力 どの知識・技能・経験・言語が、どの作業で必要か

成果物の見本がある場合は、説明用に使える範囲を確認します。顧客名、価格、個人情報等を含む実データを、そのまま広く共有しないでください。社内の承認を得た見本や、内容を一般化した説明でも、仕事の流れを示せる場合があります。

仕事内容を分けて整理する作業台

主な仕事と、研修・応援・付随作業を全て書き出す

主な業務だけを抜き出すと、実際の勤務全体との違いが見えなくなります。入社時の研修、繁忙期の応援、日常の事務作業、出張、他部門との兼務なども洗い出します。それぞれが、いつ、何のために、どの程度発生するかを確認してください。

一日の流れだけでは、月末に集中する仕事や季節ごとの作業が落ちることがあります。通常の一週間、月単位で発生する作業、繁忙期の変化を分けて聞くと、業務量を把握しやすくなります。時間配分を見積もる場合は、誰がどの実績を基に算定したかを残します。

時間の割合は、実態を理解するための情報です。「専門業務が何パーセントあれば必ず認められる」といった一律の安全基準を独自に作らないでください。研修という名称が付いていても、期間や実施内容を含む活動全体の確認が必要です。在留資格との関係は、具体的な業務の説明をもとに相談します。

仕事をする場所と、指示する人まで決める

勤務地は会社の登記住所とは限りません。本社、支店、顧客先、在宅勤務、出張先など、実際に活動する場所を整理します。所属部署、直属の上司、日常の指示を出す人、成果物を確認する人も書き分けます。社外で仕事をする場合は、会社間の契約と現場の運用の確認が必要です。

取引先の指示で毎日の仕事が変わる場合、採用企業の説明だけで活動を把握できないことがあります。派遣、請負、委託などの名称だけで判断せず、実際の契約、指揮命令、就業先の仕事を整理します。必要な法令上の確認は、関係する専門家や行政窓口に相談してください。

職務の説明とあわせて、必要な道具や作業環境も確認します。設備、ソフトウェア、資料、教育担当者がまだ用意されていない場合は、誰がいつまでに準備するかを記載します。採用予定の仕事が開始できる状態かを確かめることにもつながります。

本人の学歴・職歴との関係は、裏付けを付けて整理する

在留資格によって、学歴、専攻、経験、資格等の確認方法は異なります。技術・人文知識・国際業務では、活動内容と本人の条件を公式の基準に沿って確認します。大学名や会社名の知名度だけで判断せず、どの分野を学び、どの仕事を経験したかを、今回の職務と照らしてください。出入国在留管理庁の明確化資料が確認の出発点です。

候補者の能力を高く評価している場合も、履歴書にない経歴を会社側が補って書かないでください。担当した仕事の説明が不足しているなら本人へ質問し、必要な証明書や学習内容の資料を確認します。日本語へ訳した表現が、元の職務や学科名の意味から離れていないかも確認しましょう。

外国語を使う業務については、使用言語、相手、目的を具体化します。語学ができることと、その言語を使う仕事が会社に存在することは別です。言語能力に関する提出資料が必要かどうかも、最新の公式案内と対象業務に沿って確認します。

求人票、契約書、申請資料の違いをなくす

職務記述書ができたら、求人票、内定通知、労働条件通知書、雇用契約書、申請準備資料を横に並べます。部署名、就業場所、業務、給与、契約期間などに違いがあれば、単なる表記の違いか、条件が変わったのかを確認します。本人が理解している条件とも照合してください。

2024年4月から、募集時や労働契約の締結・更新時の明示事項に、業務・就業場所の変更範囲等が追加されています。変更範囲を記載したからといって、在留資格上どの仕事でも任せられるわけではありません。労働条件としての変更範囲と、在留資格に関する確認を別々に行います。厚生労働省の案内も併せて確認しましょう。

担当業務を整理する手元

完成した書面は、入社後に使って初めて役立つ

入社時には本人と上司が、主な業務、最初に覚える仕事、困ったときの相談先を確認します。専門用語が多い場合は、本人が理解できる説明方法を用意します。「書面に署名したから理解した」と決め付けず、具体的な一日の仕事を本人の言葉でも説明してもらうと、認識の違いに気付きやすくなります。

入社後しばらくして実際の業務が変わってきた場合は、職務記述書を単に現場へ合わせて更新する前に、契約や在留資格への影響を確認します。人手不足による応援が常態化した、配属先が変わった、予定していた案件がなくなったなどの変化は、人事へ報告する対象を決めておきます。

版管理では、作成日、確認した上司、変更箇所、変更理由を残します。申請時の版と現行版を区別して保管すると、更新の準備や担当者交代時に、何がいつ変わったかを追いやすくなります。個人のメールだけに完成版を置かないことも重要です。

部門間の意見が違うときは、決定者と前提を残す

職務を整理すると、経営者は新規事業への配属を考え、現場は既存業務の欠員補充を考えていた、といった違いが見つかることがあります。この場合は両方の表現を一枚に詰め込まず、どちらの仕事をいつから任せるのかを会社として決めます。事業の開始前と開始後で仕事が変わるなら、それぞれの期間と内容を分けて整理します。

採用予定人数と指導体制も合わせて確認してください。複数人を同じ職名で採用する場合でも、担当する顧客、製品、案件、上司が異なることがあります。共通の業務説明を作ることはできますが、全員に同じ資料を当てはめる前に、実際の配置との違いがないかを確認する必要があります。

社内承認では、文章の読みやすさだけでなく、「この仕事を現実に用意できるか」を現場責任者に確認してもらいます。採用の条件が未確定であれば、決定する人と予定日を残し、候補者に確定事項として伝える範囲をそろえましょう。

相談に持参する職務説明の最小単位

まず、会社の事業、本人に任せる主な仕事、付随する仕事、勤務場所、上司、本人の経歴、希望する開始時期をまとめます。全てが決まっていない場合は、「決定済み」「検討中」「現場へ確認が必要」の三つに分けて構いません。不明な点を推測で埋めない資料の方が、確認すべき課題が明確になります。

就労ビザの相談では、業種や職名だけでなく、そのように整理した実際の仕事を確認します。会社の採用方針を尊重しつつ、本人が担当する活動と必要な手続をつなげ、申請時と入社後で説明が変わらない体制を整えましょう。

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