【保存版】赤字でも経営管理ビザ更新は可能?審査ポイントと実務対策

【保存版】赤字決算でも経営管理ビザは更新できる?
審査の見られるポイントと実務対策 対応エリア:東松山・川越・熊谷・坂戸・鶴ヶ島・滑川町・嵐山町・吉見町・比企郡・大宮 ほか埼玉全域
「決算が赤字だけど、経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)は更新できるの?」というご相談はとても多いテーマです。結論として、赤字=即不許可ではありません。入管は、事業の安定性・継続性、実体、適法な納税・社会保険などを総合評価します。公式ガイドラインでも、赤字は「継続性に疑問を生じさせうる要素」として扱われるものの、事情説明と改善計画が合理的なら更新の余地は十分にあると読み取れます。
1.在留資格「経営・管理」の基本(要件の整理)
「経営・管理」は、日本で事業の経営を行う/管理に従事する活動に付与される在留資格です。入管は該当性(何をするか)と基準適合性(事業の実体・規模など)を見ます。公式情報は法務省 出入国在留管理庁ページをご確認ください。
- 事業の実体・継続性…「安定的・継続的に行われること」が重視されます。
- 事務所(オフィス)の確保…事業用の実体あるオフィスが必要。自宅やバーチャルのみは原則不可。
- 一定規模の裏付け…一般に「資本金(投資)500万円以上」または「常勤2名以上の雇用」等で事業規模を示します(実務運用・ガイドライン参照)。
※ 要件の細部は事案により異なります。最新の公式案内・個別事情に基づき判断してください。
2.赤字が更新審査に与える影響
公式の明確化資料では、赤字決算そのものは直ちに不許可の根拠ではない一方、今後の継続性に疑問を持たせる事情として評価されうると示されています。つまり、赤字の理由と資金繰りの裏付け、改善計画が合理的かどうかが鍵です。
- 一時的・投資先行型の赤字か、構造的か
- 資金繰り・運転資金の確保(残高・信用枠・増資など)
- 売上パイプライン・契約・受注見込み(具体的証拠)
- 納税・源泉徴収・社会保険等のコンプライアンス状況
- オフィス・雇用など事業実体の維持状況(実地性)
実務家の解説でも「赤字でも更新可能な場合はあるが、補足資料や計画書の提出が重要」と整理されています。
3.<初回>と<更新>で見られるポイントの違い
比較項目 | 初回(新設・来日直後など) | 更新(1年後など) |
---|---|---|
主な確認軸 | 事業計画の合理性/オフィス/資本金 or 雇用などの体制整備 | 実績数値(売上・粗利・KPI)/継続性/法令順守/事業実体の維持 |
典型提出物 | 賃貸借契約、資本金払込証憑、事業計画、雇用計画 等 | PL・BS・総勘定元帳、税務申告、源泉税・社保の納付、受注証憑・契約書、改善計画 等 |
在留期間 | 新規は短め(例:1年や4か月)になりやすい | 実績安定で3年・5年も視野(事案により) |
4.赤字でも許可の余地がある典型例
- 投資先行フェーズ:開業・採用・広告投資の初年度で赤字。翌期の受注見込みや契約、資金繰りの裏付けがある。
- 一過性要因:一件の大口不良債権、突発的設備故障等で一時的に赤字。保険金・補填や再発防止策が明確。
- 成長過程の赤字:売上は右肩上がりでKPIが改善。ランウェイ(資金余命)が十分。
- 事業転換・再編中:不採算撤退と新規ラインの立ち上げが進行。移行期のロードマップと数値根拠あり。
5.不許可リスクが高まる典型例
- 複数期連続の大幅赤字で資金ショートの懸念が高い/資金調達計画がない
- 税・社保の未納、源泉徴収未納、帳簿不整備
- オフィス実体が弱い(バーチャル・居住用のみ 等)
- 受注・パイプラインの根拠が乏しい、契約書や見積書がない
- 事業計画の数値根拠が非現実的(利益率・単価・CVR等)
6.必要書類チェックリスト(赤字時に追加で示したい資料)
- 決算書(損益計算書・貸借対照表・販管費内訳)+総勘定元帳主要科目
- 申告書控(法人税・消費税・地方税)と納税証明
- 源泉所得税の納付書、社会保険の加入・納付状況
- オフィス賃貸借契約・写真(実体性の補強)
- 売上パイプラインの証憑(発注書・基本契約・見積・請書・請求書 等)
- 資金繰りの裏付け(残高証明、借入契約、増資手続、オーナー借入 等)
- 改善計画書(KPI、損益予測、コスト削減・価格改定・採用計画 等)
※ 提出様式は地方入管・審査官の求めにより変わることがあります。
7.【テンプレ】赤字の事情説明・改善計画書(コピーして使えます)
タイトル:赤字決算に関する事情説明および改善計画書 提出先:〇〇出入国在留管理局 様 申請人:氏名(在留カード番号)/法人名 1. 決算概要(対象期:第◯期) ・売上高:◯◯円(前期比+◯%/−◯%) ・営業損益:▲◯◯円 ・主因:①新規開設費用の先行計上 ②人員採用の前倒し ③大口案件の検収遅延 等 2. 赤字の具体的要因と一過性の説明 ・要因別の金額影響:例)広告投資+◯◯円、採用+◯◯円 ・再発防止策:例)与信審査の強化、検収プロセスの見直し 等 3. 資金繰り・体制の健全性 ・現預金残高:◯◯円(◯か月分の固定費に相当) ・信用枠/借入/増資の状況:□□銀行極度◯◯円/◯年◯月に増資◯◯円 等 ・オフィス・雇用等の事業実体:所在地、賃貸借契約、常勤者数 等 4. 今後12か月の改善計画(KPI・損益計画) ・受注見込:契約書/発注書の写し(別紙)で根拠提示 ・KPI:CVR、CPA、客単価、LTV、解約率 等の目標値と施策 ・損益予測:月次PL(別紙)。黒字転換時期:◯年◯月 5. コンプライアンス ・税・社保・源泉の納付状況:滞納なし(別紙証憑) ・帳簿書類の整備:クラウド会計導入、月次決算の運用 等 以上
8.改善計画の作り方(数値と行動計画の要点)
① 数値仮説と根拠のセット
- 売上モデル=見込み顧客数 × 成約率(CVR) × 客単価 ー 返金・返品
- 販管費の見直し:固定費(家賃・人件費)と変動費(広告・外注)を分解し、損益分岐点を明示
- 資金繰り:毎月のキャッシュフローとランウェイ(月数)を図示
② 証拠主義(エビデンス)
「〇〇社と交渉中」だけでは弱く、基本契約・注文書・請求書・入金履歴など、客観資料で裏付けると説得力が増します。
③ 事業実体の維持
実体あるオフィスの継続、雇用・外注の契約実態、営業活動の痕跡(名刺・商談ログ・展示会参加 等)を整理しておきましょう。
9.FAQ:500万円要件/在留期間の長短など
- Q1.資本金500万円は「絶対条件」ですか?
- 実務上は「資本金(投資)500万円以上」または「常勤2名以上の雇用」等で規模を示すのが一般的です。事案により評価方法は異なり、公式の考え方は出入国在留管理庁の明確化資料をご参照ください。
- Q2.赤字だと在留期間が短くなりますか?
- 在留期間(例:5年/3年/1年/4か月/3か月)は、事業の安定性・雇用・実績などを踏まえ総合判断されます。赤字自体で直ちに不許可とは限りませんが、期間が短めに設定されることはあり得ます。
- Q3.「500万円要件の見直し」の噂は本当?
- 2025年時点で法令上の閾値は依然として「500万円」等の枠組みで説明されるのが通例です。将来的な制度変更に関する報道・実務家の見解も見られますが、公式決定は必ず最新の法務省・出入国在留管理庁発表で確認してください。
10.専門家へのご相談
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※ 本記事は一般的な情報提供です。個別案件は状況により判断が異なります。最新の公式情報・審査運用をご確認ください。