【実務ガイド】元日本人が永住権を取得する方法|要件・必要書類・注意点を行政書士が解説

【実務ガイド】元日本人が永住権を取得する方法
要件・必要書類・地域別の注意点を行政書士が解説
かつて日本国籍を保有していた「元日本人」が再び日本で腰を据えて暮らすためには、永住者の在留資格を取得するのが最も安定した方法です。本稿では、行政書士の実務経験をもとに、元日本人が永住許可を得るための要件・書類・注意点を埼玉県東松山・滑川町・熊谷・川越・坂戸など地域事情も交えながら徹底解説します。
1. 元日本人とは?対象となるケースを整理
法令上「元日本人」という在留資格は存在しませんが、実務では次のような方が該当します。
- 海外移住後に外国籍を取得し、自動的に日本国籍を失ったケース
- 二重国籍解消のため、20代までに日本国籍を離脱したケース
- 帰化後に事情が変わり、再度外国籍へ転籍したが家族は日本に残るケース
ポイント:
母または父が日本人の場合は「日本人の子」として定住者ビザが取れる可能性が高く、永住への最短ルートになり得ます。
2. 永住申請までのステップ|現在の在留資格を確認
よくある在留資格4タイプ
在留資格 | 特徴 | 永住申請までの目安 |
---|---|---|
定住者 | 家族的背景があり比較的取りやすい | 在留5年で申請可能(収入要件等は要確認) |
日本人の配偶者等 | 配偶者ビザ | 結婚後3年かつ日本在住1年で申請可 |
高度専門職・技術人文知識国際業務 | 就労ビザ | 原則10年(高度専門職ポイント達成なら 1〜3 年短縮) |
特定活動 | 告示外活動など限定的 | ケースバイケース、事前相談推奨 |
多くの元日本人は定住者または日本人の配偶者等で在留し、要件を満たしてから永住へステップアップしています。
3. 永住許可の3大要件と元日本人への緩和措置
- 素行善良要件:過去に交通違反が多い、税金未納、前科があるとマイナス評価。
- 資産・生計要件:世帯年収300万円以上が一つの目安。埼玉県央の物価・家賃水準では250万円台でも通った例あり。
- 在留期間要件:通常10年→元日本人は5年に短縮されるケースが多い(※ただし就労資格としての在留期間が連続していることが条件)。
4. 必要書類(詳細)と取得先|埼玉県内の具体例
標準の書類に加え、元日本人ならではの追加書類が求められることがあります。川越・熊谷など市区町村での発行窓口も併記しました。
書類 | 内容 | 取得先例(埼玉県) |
---|---|---|
旧戸籍・除籍謄本 | 日本国籍を有していた事実を示す | 本籍地の市区町村役場 例:川越市役所市民課 |
住民票(世帯全員) | 家族構成・住所確認 | 現在住民登録している役所 例:東松山市役所市民課 |
課税・納税証明(2年分) | 安定収入を証明 | 所轄税務署+市県民税の窓口 例:熊谷税務署 |
年金納付記録 | 未納状況を確認 | 日本年金機構 さいたま年金事務所 |
5. 申請~許可までのタイムライン(実務目安)
- -3〜0か月:書類収集・理由書ドラフト作成
- 0か月:東京入管・さいたま出張所へ事前相談(推奨)
- +1か月:正式申請(郵送または窓口)
- +4〜8か月:追加資料要請が来る場合あり
- +6〜10か月:審査完了→ハガキ到着→許可印紙8,000円納付
6. ケーススタディ|成功例と失敗例
成功例:滑川町在住・定住者ビザ→永住許可(5か月)
- 日本人の母を持つ元日本人(40代・ベトナム国籍)。
- 年収350万円、納税・年金フル納付。
- 旧戸籍が東京本籍だったため取得がスムーズ。
- 理由書で「地域活性化イベントに参加」など社会貢献をアピールし、追加資料依頼なしで5か月で許可。
失敗例:川越市在住・就労ビザ→不許可
- 家族4人だが世帯年収280万円。
- 扶養家族の海外送金が多く貯蓄ゼロ。
- 会社の源泉徴収票に未払い残業があると入管に指摘され、生計要件不足で不許可。
- 行政書士経由で再申請し、配偶者パート収入+副業を証明して許可。
7. よくある質問(FAQ)
Q. 元日本人だと在留年数が短くても永住できますか?
A. 原則10年ですが、元日本人は5年以上在留+就労資格5年で審査対象となるケースが多いです。ただしガイドライン改定や個別事情により要確認。
Q. 離婚しても定住者ビザが残っていれば永住できますか?
A. 離婚後の生計要件が厳しく審査されます。単身になって収入が減る場合は、別途収入証明や理由書を強化してください。
Q. 住民税を分割納付中ですが不利ですか?
A. 分割自体は不利ではありませんが、入管へ納付計画書を提出し、「納付意志」があることを示すと安全です。
8. 当事務所ができること
- 理由書作成・証拠資料
- 本籍地が遠方の戸籍・除籍謄本の速達取得
- 不許可後の再申請プラン作成
9. まとめ|元日本人の永住申請は「背景説明」と「地域密着」がカギ
元日本人の永住許可は、優遇措置こそあれど書類の整合性と生活基盤の安定が問われます。特に埼玉県内は自治体間で税務証明の書式が異なるため、地域に強い専門家と連携することで審査期間を短縮できます。
当事務所(東松山市)は比企郡全域・川越・熊谷・大宮エリアからの相談も多数。無料オンライン相談も承っています。