制度確認日:2026年9月23日
遺言に自分の名前がない、きょうだいの一人に多くの財産が残されている。内容を知って戸惑ったときは、まず遺言の内容と、いつ何を知ったかを残してください。不公平に感じることと、遺言が法律上無効になることは同じではありません。
確認する問題は「遺留分を侵害していないか」「遺言が有効か」「関係者の合意で調整できるか」に分かれます。期間の制限がある権利もあるため、資料をすべて集め終えるまで待たず、弁護士へ早めに相談しましょう。

最初に、遺言と連絡の記録を保全する
遺言の原本の保管者、作成日、方式、財産を受け取る人、遺言執行者の記載を確認します。写しを受け取った場合は、受領日と送付者、添付された説明も残します。文面に書き込みを加えたり、関係資料を処分したりしないでください。
封印のある遺言を見つけた場合は、家庭裁判所の検認手続きで開封します。検認は発見時の状態などを明らかにする手続きで、有効・無効を決める手続きではありません。公正証書遺言や法務局保管の自筆証書遺言には、検認を要しない扱いがあります。裁判所「遺言書の検認」
発見後の基本事項は、自宅で遺言書を見つけたときの確認順でも整理しています。
遺留分は、すべての相続人にあるわけではない
遺留分は、一定の相続人に保障される最低限の取り分です。配偶者や、相続人となる子などの直系卑属・父母などの直系尊属について検討します。兄弟姉妹には遺留分がありません。「相続人だから当然に一定額を取り戻せる」とは限らず、相続関係、遺産・債務、生前贈与などの確認が必要です。日本公証人連合会「遺言」
2019年7月1日以降に開始した相続では、遺留分の侵害があるとき、原則として侵害額に相当する金銭を請求する仕組みです。不動産の持分が自動的に戻るという意味ではありません。それより前に開始した相続は旧制度の検討が必要です。裁判所「遺留分侵害額の請求調停」
期間は「遺言を見てから1年」と一律に数えない
遺留分侵害額の請求権には、相続の開始と、遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年という期間があります。また、相続開始から10年の制限もあります。いつ知ったといえるか、誰に何を伝える必要があるかは、具体的な経緯によって確認します。
家庭裁判所へ調停を申し立てただけでは、相手に権利行使の意思表示をしたことにはなりません。通知の内容や到達の証拠も含めて弁護士に相談してください。家族との話合いや、当事務所への一般的な問い合わせだけで期間が止まるとは考えないでください。京都家庭裁判所「遺留分侵害額の請求調停」
有効性の疑問は、作成時の事情と資料を分けて整理する
筆跡が不自然、日付や署名に疑問がある、作成当時の判断能力が心配、といった場合は、疑問の理由を具体的に記録します。診断名や家族の印象だけで無効と決めず、作成前後の記録、本人の文章、関係者とのやり取りなど、適法に入手できる資料を残しましょう。
遺言の有効性を争う場合、検認とは別の手続きが問題となります。請求の内容や必要な裁判手続きは弁護士に確認します。「家庭裁判所で検認を受ければ無効を判断してもらえる」という進め方はできません。名古屋家庭裁判所「遺言書の検認 Q&A」
相談前に、分かる範囲でそろえる資料
- 遺言の写し、封筒、送付状、遺言執行者からの通知
- 故人と自分の関係が分かる戸籍など、手元にある家族関係の資料
- 不動産、預金、生前贈与、借入れなどの資料
- 相続の開始や遺言内容を知った日が分かるメール、手紙、メモ
- 疑問点と希望、すでに署名した書類、相手に伝えた内容
財産の全体像は、遺産目録の作り方を参考に「確認済み」「未確認」を分けてください。内容が分からないまま、清算や権利の放棄を含む書類へ署名することは避けましょう。
交渉・調停は弁護士、合意後の書類は担当を確認する
遺言と異なる配分を話し合う場合も、相続人だけでなく受遺者や遺言執行者などの関係、税務への影響を確認する必要があります。「家族全員が賛成なら必ず変更できる」とは扱わず、合意前に弁護士や税理士へ確認します。
請求の可否・金額、有効性の争い、相手との交渉や調停・訴訟の代理は弁護士の相談領域です。行政書士が受任する相続書類作成は、法的紛争や税務・登記申請を除く範囲です。登記は司法書士、税務は税理士へ相談します。日本行政書士会連合会「遺言・相続」
YellZealへのお問い合わせは、相続書類の準備・作成の相談をご利用ください。すでに対立がある場合や請求期限が気になる場合は、その解決を待たずに弁護士へ相談してください。