【農振除外の壁】農地転用の前に「農用地区域」から外す手続きとは?|埼玉・東松山の行政書士が解説

【農振除外の壁】農地転用の前に「農用地区域」から外す手続きとは?|専門家が実務解説
「農地転用をしたいのに、そもそも“農用地区域”に入っていて話が進まない」──そんな悩みを抱える方が非常に多くいらっしゃいます。農地法の手続き以前に、まず“農振除外”という手続きをクリアしなければならないケースが多いのが現実です。本記事では、農地転用実務に携わる行政書士の視点から、農振除外手続きの全体像と注意点、審査スケジュールなどを詳しくご紹介します。
農振除外とは?まずは基本を理解
農振除外とは、農業振興地域整備計画(いわゆる「農振計画」)の中で「農用地区域」に指定されている農地を、その区域から外すための手続きです。農用地区域とは、自治体が将来にわたって農業を行うべきと定めたエリアであり、農業の保護・振興の観点から簡単には他用途へ転用できない区域となっています。
農用地区域に指定された農地は、原則として農地法第4条・5条の転用許可を受けることができません。したがって、まずはこの“農振除外”を経たうえでなければ、転用申請のスタートラインにも立てないのです。
この除外手続きは、特に東松山、滑川町、坂戸市、吉見町、嵐山町など埼玉県中部地域においても厳格に運用されており、簡単に認められるものではありません。事前の準備と戦略的な資料づくりが不可欠です。
農振除外の主な申請要件
農振除外を申請するには、自治体ごとに要件が定められており、以下のような内容が一般的です:
- 申請地が周辺農地と一体で農業振興に資する土地ではないこと
- 農地としての利用実態がない、または長期間遊休化していること
- 周囲の土地利用計画と整合性があること(都市計画や地区計画との整合)
- 除外後の利用目的が明確であり、公益性または合理性があること
一見して妥当な理由があるように見えても、実際には「将来的に農業利用の可能性がある」と判断されれば却下されることもあります。特に地元の農業委員会や市町村の農政課との事前協議が非常に重要です。
実務の流れとスケジュール
農振除外の流れは、おおよそ以下の通りです:
- 地元農業委員会との事前相談(実態調査・理由の確認)
- 市町村農政課等との面談(必要資料の整備・申請目的の確認)
- 申請書類提出(受付は年に1回または2回など限定)
- 現地調査・審査会での協議
- 市町村による農振計画の変更(告示)
特に注意すべきは、申請受付のタイミングが年1~2回と限定されている点です。たとえば滑川町では6月受付・10月決定といったスケジュールで運用されています。これを逃すと、翌年まで持ち越しになるケースもあるため、事前相談は半年前から行っておくのが鉄則です。
提出書類と添付資料の実務
提出する書類は自治体ごとに異なりますが、一般的には以下のようなものが求められます:
- 農振除外申請書
- 土地登記簿謄本および公図
- 現況写真・位置図
- 利用計画書(利用目的・計画図・工程表)
- 必要に応じて近隣住民同意書
- 農地の現況証明資料(耕作放棄の事実を示す)
資料の中でも、現況証明に使う写真や過去の耕作実績、自治体の空中写真(GISデータ)などは、説得力を左右する重要な要素です。専門家が第三者的立場で整理することで、審査側にも納得感のある提出が可能となります。
よくある失敗例と対応策
農振除外を甘く見ると転用ができず数年単位で停滞することがあります。以下のような事例は要注意です:
- 遊休地の証明が不十分で「将来農業に戻せる」と判断され不許可
- 計画図が曖昧で実際の転用計画が不透明と判断された
- 事前協議を怠って書類を提出し、自治体から門前払いを受けた
こうした失敗を防ぐには、農業委員・担当課職員との信頼関係構築と、現場目線の丁寧な資料整備が欠かせません。
専門家を活用するメリット
農振除外は「出せば通る」手続きではありません。以下のような場面で、行政書士など専門家のサポートが効果を発揮します:
- 事前相談時の同行・助言による方針整理
- 申請書・利用計画の書き方に関する実務的な指導
- 必要資料の整備と、不足情報の補完・翻訳対応(外国人所有者の場合)
- 農地法申請・開発許可とのトータルコーディネート
特に東松山・滑川町・吉見町・坂戸市・嵐山町など埼玉県中部エリアにおいて、農業振興計画との整合や条例との兼ね合いも重要となるため、地域事情を把握した専門家の助言が実務上非常に有効です。
まとめ|農地転用の第一関門は「農振除外」
農地転用を検討している方にとって、農用地区域からの除外=農振除外は最初にして最大の壁です。スケジュールも限られており、準備不足が致命的になりかねません。
農振除外を確実に通すためには、地域に即した実務経験・審査ポイントの把握・的確な書類準備が重要です。まずは行政書士などの専門家へ早めにご相談ください。
当事務所では、農地転用や農振除外に関するご相談を随時受け付けております。
▶ 無料相談はこちらから