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育成就労の給与は課税対象?2027年開始に向けた企業の源泉徴収準備

育成就労の給与は課税されるのか。国税庁の2026年9月の文書回答と入管庁Q&Aをもとに、技能実習の免税処理との違い、源泉徴収、居住者区分の確認、2027年4月に向けた企業の給与計算準備を解説します。

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給与計算の準備に使う電卓、書類、ノートパソコンを並べたオフィスの机
この記事の目次

育成就労制度で受け入れる外国人に支払う給与は、技能実習のときの免税扱いをそのまま引き継がず、所得税の課税と源泉徴収を前提に準備するのが基本です。入管庁のQ&Aは住民税も所得税と同様に課税対象と案内しています。制度の開始予定は2027年4月1日です。

ただし、国税庁の回答は入管庁・厚生労働省からの照会に示された事実関係に基づく一般回答で、個々の納税者の具体的な取引を拘束するものではありません。受入れ企業は給与計算の設計を先に見直し、個別の居住者区分や租税条約の適用は事実関係に応じて確認してください。

技能実習の免税処理を、そのまま移さない

技能実習では、国によっては租税条約の研修者に関する規定などにより、一定の要件を満たす給与が免税となるケースがありました。育成就労は、人手不足分野で雇用契約に基づいて働き、人材育成と人材確保を目指す制度です。国税庁はこの制度の給与について、照会された事実関係を前提に、給与所得として所得税の課税対象となり、源泉徴収の対象とする取扱いで差し支えないと回答しています。

入管庁のQ&Aも、育成就労外国人の給与は原則として租税条約の免税規定の対象とならず、所得税の課税対象になると説明しています。住民税も同様に課税対象とされています。したがって、技能実習生向けに登録していた給与区分や税の処理を、育成就労の雇用へ自動的に引き継ぐ運用は避けます。

この説明は「どの外国人も、どの状況でも同じ税額になる」という意味ではありません。租税条約の内容、本人の居住形態、給与の内容などで個別の確認が必要になる場合があります。

2027年4月までに企業が進める4つの準備

  1. 給与計算の担当者と論点を共有する。顧問税理士、給与計算担当、社会保険労務士、給与システムの提供元に、育成就労の給与を所得税課税・源泉徴収の対象として扱う前提を共有します。制度開始前に、税額の計算方法や個別条件の確認先を決めておきます。
  2. 技能実習と育成就労の設定を分けて点検する。社員区分、給与コード、源泉徴収の設定、給与明細の表示、年末調整等の社内手順を確認します。過去の技能実習の設定を複製する場合は、租税条約による免税の登録や旧制度向けの例外処理が残っていないかを確認してください。
  3. 個人ごとの確認情報を整理する。雇用契約と実際の給与支払、来日・就労開始時期、国内の住居や生活状況、適用を申し出る租税条約とその根拠資料など、判断に必要な情報を担当者が把握できる形で整理します。不要な個人情報まで集めず、税務担当者に何を確認するかを先に決めます。
  4. 本人への説明と記録方法を用意する。額面給与、控除、差引支給額が異なることを、本人が理解できる言語や方法で説明します。税額を確定前に断定せず、給与明細と質問先を案内し、説明日・説明内容・確認事項を社内で記録できるようにします。

居住者・非居住者は、在留資格だけで決めない

所得税上の居住者か非居住者かは、在留資格名や国籍だけで機械的に決まるものではありません。国税庁は、国内に住所があるか、または現在まで引き続き1年以上居所があるかなどを基準として示し、「住所」は客観的事実に基づく生活の本拠で判断すると説明しています。

個別の区分や、租税条約に基づく申告・届出の要否を、採用担当者が在留カードだけで判断しないでください。本人の状況、雇用契約、給与の支払方法と時期を踏まえ、税理士または所轄税務署に確認します。非居住者に該当する場合の源泉徴収の扱いも、要件を確かめずに一律適用しないことが大切です。

給与計算を始める前のチェックリスト

  • 育成就労の開始予定日(2027年4月1日)を前提に、受入れ・給与計算の担当者を決めた
  • 技能実習向けの税区分や免税処理が新制度の社員設定に残っていないかを確認した
  • 給与システム・委託先へ、育成就労の給与に関する最新の公式回答を共有した
  • 本人の居住者区分や租税条約の適用を、在留資格・国籍だけで判断しない手順にした
  • 個別判断の相談先と、給与明細・本人説明の記録方法を決めた
  • 制度開始前に、最新の入管庁Q&Aと国税庁の案内を再確認する担当者を決めた

よくある質問

技能実習では免税だった国の出身者も、育成就労では課税されますか?

入管庁Q&Aは、育成就労の給与について、技能実習とは異なり、原則として租税条約の免税規定の対象とならず、所得税・住民税の課税対象になると案内しています。ただし、国税庁の文書回答は照会された事実関係を前提とする一般回答です。個別の租税条約や本人の事情がある場合は、給与計算を確定する前に専門家または税務署へ確認してください。

税額や控除額を今の時点で決めて案内できますか?

この記事は個別の税額を計算するものではありません。実際の税額は給与条件や本人の状況、適用される制度などを踏まえて確認します。額面と控除後の金額を混同しないよう、確定した給与計算に基づいて説明してください。

登録支援機関へ給与の税務処理を任せられますか?

登録支援機関は在留・生活支援の委託先であり、給与計算や税務判断の担当者とは役割が異なります。雇用主は、給与計算を担う社内担当者や税務の専門家と確認経路を整え、支援機関には必要な範囲で本人への説明や生活上の支援を依頼します。

次に確認すること

受入れを検討している企業は、育成就労の制度準備と給与計算の準備を別々の担当任せにせず、雇用開始日、給与条件、本人への説明、税務確認の担当を一つの準備表にまとめてください。技能実習からの移行を検討している場合は、制度の移行要件だけでなく、雇用・給与管理を新制度に合わせて見直します。

技能実習から特定技能への移行に関する企業向け記事、および外国人社員への労働条件・給与控除の説明記事もあわせて確認できます。育成就労や外国人雇用の受入れ準備については、受入れ支援の案内をご覧ください。税務上の個別判断は、税理士または税務署へご確認ください。

執筆:エールZEAL国際行政書士事務所

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