【遺言書に不満・不公平】相続人が取れる法的対応とは|遺留分請求・無効主張の徹底解説

「遺言書に不満を感じる相続人が悩んでいる様子と遺言書のイラスト」
【遺言書に不満・不公平】相続人が取れる法的対応とは|遺留分請求・無効主張の徹底解説

【遺言書に不満?】不公平だと感じた相続人が知るべき対応策と注意点

「なぜ私にはこれだけ?」「あの人だけ優遇されている気がする」
そんな遺言書の“モヤモヤ”は、相続トラブルの最も多い原因の一つです。

第1章|なぜ遺言書があるのに揉めるのか【相続トラブルの火種】

一般に「遺言書があれば争族は防げる」と言われますが、実務では逆のケースも多く見受けられます。原因は主に以下の通りです:

  • 特定の相続人だけが優遇されている
  • 相続人の一部が遺産から除外されている
  • 介護や生前貢献が一切考慮されていない
  • 遺言書の文面が曖昧で、解釈に違いがある
  • そもそも存在を知らなかった「突然の開示」

これらは感情的な軋轢や不信感を生み、遺言書の有効性や内容に対する強い不満へとつながります。

第2章|遺言内容に不満を抱く代表的なケースとは

  • 長男に全ての財産を相続させるという内容で、他の兄弟が一切財産を受け取れない
  • 生前介護に尽力した子に何も残されていない
  • 再婚後の配偶者に大半の財産が渡され、先妻の子がほとんど何も得られない
  • 内縁の配偶者や第三者(看護師など)に多額を遺贈し、家族が納得できない
  • 遺言書が自筆で不自然に感じられる、認知症だった時期と重なる

これらはすべて、法的な検討対象になり得る状況です。

第3章|遺言書の内容に不満があるときの具体的な対応策

① 遺留分侵害額請求(相続人の当然の権利)

遺言によって遺産の分配が著しく偏っていても、法定相続人には一定の取り分「遺留分」が法律で保障されています。
例えば、子が2人いる場合、1人にすべて相続させる遺言があっても、もう1人の子はその半分(1/4)を請求できます。

  • 期限:相続開始・内容を知ってから1年以内(除斥期間)
  • 請求方法:内容証明郵便が基本。協議がまとまらなければ調停・訴訟

② 遺言の無効を主張する

以下のような場合、遺言書の法的効力を否定できる可能性があります:

  • 作成時に認知症などで意思能力がなかった
  • 自筆証書の形式不備(日付なし・署名なしなど)
  • 偽造・変造が疑われる
  • 強迫・詐欺による作成であった

無効を主張するには、家庭裁判所で「遺言無効確認の訴え」を起こす必要があります。

③ 相続人間で話し合い(任意の調整)を試みる

遺言があっても、全員の合意があれば遺産分割協議をやり直すことも可能です。実務では「法律上は遺言通り。でも公平のために一部譲る」といった柔軟な解決もあります。

第4章|遺言に不満を感じたときの注意点【失敗しないために】

  • 感情的にならず、冷静に内容を確認する
  • 遺言の形式不備がないかチェックする(自筆証書遺言など)
  • 専門家(行政書士・弁護士)に早めに相談する
  • 期限管理と証拠の確保を怠らない

とくに遺留分の請求は時効(1年)があるため、迅速な対応が求められます。

第5章|よくある質問と実務上のポイント

Q. 生前に多額の援助を受けていた兄がさらに遺産を受け取ります。おかしくないですか?

そのような場合は「特別受益」として、他の相続人と差を調整できる可能性があります。遺留分や寄与分とあわせて検討を。

Q. 父の再婚相手にほとんどの財産が渡る遺言です。先妻の子どもとして納得できません。

再婚配偶者にも法的な権利はありますが、あなたにも遺留分が認められる場合があります。冷静に確認を。

Q. 遺言書が見つかりません。家族の中で隠している人がいるかも?

家庭裁判所に「遺言書の検認申立」や、公証役場での検索も可能です。遺言書の隠匿は法的責任を問われることがあります。

第6章|解決事例から学ぶ:遺言トラブルの実例と対応

ケース1:介護を担った長女が遺言で除外された

生前に母の介護を担っていた長女が、遺言では長男にすべてを相続させると書かれていた。
長女は遺留分侵害額請求+寄与分の主張を行い、最終的に不動産の一部と現金を取得。

ケース2:自筆証書遺言が無効になった例

認知症の進行がみられた時期に書かれた自筆証書遺言について、内容が不自然で署名も曖昧。
裁判所で遺言無効が認定され、法定相続分での分割となった。

第7章|まとめ:不満があっても冷静に、そして法的に

遺言書がある場合でも、すべてが「納得できる内容」とは限りません。
法律上認められた権利(遺留分、無効主張など)を適切に使い、冷静に対応することが何より重要です。

行動を起こす前に、相続トラブルに詳しい専門家へご相談ください。

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