
店舗の照明は、雰囲気を作る設備であると同時に、風俗営業の構造設備と営業中の遵守事項に関わります。接待を伴う1号営業、4号の麻雀店、深夜の飲食店営業では、適用される照度の基準と測定の考え方を分けて確認してください。「暗く見えない」「写真は明るく撮れている」という印象だけでは判断できません。
基本的な確認は、営業区分、通常の営業時の点灯状態、暗くできる仕組み、客席と通路などの測定場所です。照明を選ぶ前にこれらを整理すると、申請後に器具やスイッチを変更する手戻りを減らせます。照明の色味や高級感と、法令上の明るさは別の情報です。
営業区分ごとに数値を確認する
風俗営業に係る営業所内の照度の数値は施行規則第31条に定められ、1号営業は5ルクス、4号の麻雀店は10ルクスという数値を確認します。警察庁の解釈運用基準では、所定の方法で測った照度が常態としてその数値を超えるように営業することが示されています。基準の数値と同じ明るさを目標にすれば余裕があるという意味ではありません。
深夜の飲食店営業では、施行規則第99条から第101条の構造設備・測定方法・照度の規定を確認します。照度の基準値は20ルクスで、所定の場所で測った照度が20ルクス以下にならない状態を維持する必要があります。1号営業の5ルクスを深夜営業のバーへ使わないでください。また、接待をしない飲食店でも、低い照度で営む実態が2号営業に関わる場合があるため、営業時間だけを見て深夜届出を選べばよいとは限りません。
| 対象 | 確認する規定 | 注意点 |
|---|---|---|
| 接待を伴う1号営業 | 施行規則第7条、第30条、第31条 | 他の営業の数値を流用しない |
| 4号の麻雀店 | 4号の構造設備基準と照度測定 | 卓上とその他の場所を区別して確認 |
| 深夜の飲食店営業 | 施行規則第99条から第101条 | 接待や低照度営業への該当を別に確認 |
表は適用条文の入口です。実際の測定場所と設備の扱いは、営業所の構造、客席の使い方、現行の規定で確認します。全ての場所を床面だけで測ればよいという説明や、スマートフォンのアプリの値だけで法令適合を断定する説明は避けましょう。
器具の明るさと店舗で測る照度は別です
照明商品のカタログには、消費電力、全光束、色温度などの情報が載っています。これらは器具を選ぶ参考になりますが、客席のどこでどれほどの照度になるかは、設置位置、距離、向き、壁や天井、遮る設備によって変わります。高出力の器具を一つ付けても、客席の端や背もたれの陰が暗くなることがあります。
麻雀店では卓上を明るくする照明を設けることが考えられますが、卓だけが明るいことをもって営業所全体の確認が終わるとは限りません。ラウンジやスナックでも、カウンターの内側や装飾照明が明るい一方で、客席が暗い場合があります。測定場所に合わせて、光が届く位置を検討します。
暖色の光であれば一律に問題になるわけでも、白い光であれば適合するわけでもありません。インテリアとして選ぶ色温度と、照度の測定結果を別に管理してください。写真はカメラが露出を補正して明るく写すことがあるので、写真のみで必要な照度が確保されていると判断しないことが大切です。
調光設備は暗くできる範囲まで確認する
警察庁の解釈運用基準では、基準に満たない照度へ自由に変えられるスライダックス等の設備に関する取扱いが示されています。申請や確認の日だけ最大に点灯し、通常の営業時には暗くするという運用では、必要な照度を維持したことになりません。器具の性能だけでなく、操作できる範囲を確認します。
調光器、スマート照明、複数の点灯モード、リモコン、色を切り替える機能などがある場合は、仕様を共有してください。電源を一部だけ切る運用も、実際の営業状態として検討します。「従業者へ暗くしないよう口頭で伝える」だけで構造設備の問題が解消するとは限りません。
照明業者や電気工事業者へ相談するときは、器具の一覧、点灯回路、スイッチ、調光器、通常使用するモードを整理します。制限や設備の変更を検討する場合は、実際の機器の仕様と管轄窓口での確認に基づいて進め、独自の方法で適合を保証しないでください。
図面に記載するときの確認事項
- 照明器具の位置と種類が現況と一致しているか
- 照明器具の仕様を確認できる資料があるか
- 点灯、消灯、調光の操作方法がわかるか
- 通常の営業で使う照明と非常用の照明を区別しているか
- 間仕切りや棚の追加後も必要な明るさを維持できるか
図面上の照明番号と器具一覧の番号を揃えると、現地で照合しやすくなります。型番が不明な既設照明は、読める表示の写真を撮り、貸主や施工者に資料が残っていないか確認します。資料がない場合は、その不明点を明記して現況の確認から進めます。

許可後の照明交換は変更手続きも確認する
埼玉県警の案内では、照明設備、音響設備、防音設備の変更が軽微な構造設備変更の届出の例に挙げられています。一方で、警察庁の解釈運用基準は、同一の規格と性能の範囲で行う設備更新について届出を要しない変更として示しています。単に電球を交換する場合と、器具の位置や性能を変更する場合を区別してください。
LEDへの交換、照明の撤去、調光器の追加、間接照明への変更などでは、既存の規格・性能と何が変わるかを整理します。変更前後の仕様、配置、営業時の照度が確認できるようにし、必要な承認又は届出を検討します。変更内容によって期限も異なるため、工事後にまとめて確認するより、工事前から相談する方が手続きを整理できます。
説明用の架空例:卓の照明を残して天井灯を減らす場合
Fさんが麻雀店で、電気代を減らすため卓の上の照明を残し、天井灯の一部を外す計画を考えたとします。牌はよく見えていても、その他の測定場所と設備の維持を確認する必要があります。器具の撤去前に配置と照度を把握し、変更手続きの対象かを検討します。この例は確認の考え方を説明する架空例です。
相談時は「暗いかもしれない」だけでも伝える
初めて開業する方が照度計を持っていないことは珍しくありません。相談のために独自に測定して数値を確定する必要はなく、店舗の平面図、器具の写真、調光の有無、通常の点灯方法を伝えてください。必要な測定や確認の方法を、営業区分に沿って整理します。
点灯状態を店舗で維持するために
必要な明るさが確認できた後は、従業者が通常の点灯状態を理解できるようにします。どのスイッチを入れるか、営業中に消灯しない器具はどれか、調光操作がある場合の扱いを整理します。店長だけが知っていて、代わりの担当者が別のモードを使う状況を防ぐことが大切です。
球切れや器具の故障に気付いた場合の連絡先、交換する仕様、営業中の対応も決めておきます。照度の基準は申請日に一度だけ明るければよい条件ではありません。定期的な確認は実務上の提案ですが、故障した照明を放置し、通常の状態が申請時と変わらないかを確認しない運用は見直しましょう。
掃除で器具の向きを変える、家具を増やす、天井や壁の仕上げを変えることも、光の届き方へ影響する場合があります。照明設備自体を変えていなくても、客席の位置や仕切りを変えたなら、現在の状態で必要な明るさを確認します。
よくある疑問:検査の日だけ明るくすればよいですか
営業中も基準を維持する必要があります。通常の営業状態と異なる点灯条件で確認を受けることを前提にしないでください。どの器具を通常使用するかを正しく伝え、営業者と従業者が同じ運用をできる設備・操作方法を整理します。
よくある疑問:映像モニターの光も考慮できますか
警察庁の基準には、営業時間中に常態として光を発する設備と照明設備の双方の光で照度の基準に達する場合の考え方が示されています。ただし、映像の内容や停止により明るさが変わることもあるため、画面を一時的に白く表示した状態だけで判断することは避けます。設備と通常の使用状態を示して確認します。
よくある疑問:基準の数値を少し上回れば十分ですか
機器の誤差や設置状態、汚れ、故障、家具による遮りなどを踏まえ、通常の営業で基準を維持できるかを考えます。この記事が独自に必要な余裕の数値を設定するものではありません。法令の測定方法と数値を満たす設備を確認し、実際の営業へ無理なく反映できる計画を検討します。
非常用の照明が付いている場合は、その機能と通常の営業時に使う照明を分けて説明します。防災目的の設備があることだけで通常営業の照度を満たすとは判断できません。照明を変える工事では、電気工事と消防上の条件も別に確認します。
照明とあわせて客室の見通しと間仕切り、許可取得後の内装変更を確認すると、設備全体の問題を見落としにくくなります。店舗図面作成の対応範囲をご確認のうえ、店舗の照明・図面について相談するから営業内容と設備の状況をお知らせください。
参考資料・確認日
情報確認日:2026年10月3日。法令上の説明と、資料整理・進め方に関する実務上の提案を分けて記載しています。個別店舗は現行の様式と管轄窓口で確認してください。
- e-Gov|風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則:第7条・第30条・第31条・第99条〜第101条:照度と測定
- 警察庁|解釈運用基準(2026年7月1日):第12の8、第17の3:調光と常態としての照度維持
- 埼玉県警察|構造又は設備の軽微な変更の届出:照明設備の変更を軽微変更届の例として案内
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