
風俗営業の管理者は、営業所の業務をまとめて管理し、法令に沿った営業を進めるために選任する人です。1号営業や4号の麻雀店では、営業所ごとに管理者を選ぶ必要があります。「店長」という肩書を付ければ手続きが不要になるわけではなく、法定の要件、選任、変更、講習を確認してください。
営業者自身が店舗の業務を直接まとめて管理する場合には、自分を管理者として選任することもできます。一方で、実際には勤務しない人を名義だけの管理者にすることや、複数店舗を自由に兼任できると考えることは適切ではありません。
営業者と管理者の役割の違い
営業者は、許可を受けて営業する個人又は法人です。管理者は、その営業所の業務を統括管理する人です。法人が営業者となる店舗では、法人そのものを管理者として記載するのではなく、要件を満たす個人を選任します。
警察庁の解釈運用基準では、統括管理とは全体をまとめて管理することであり、店長、支配人等が該当すること、営業者が自ら管理するなら営業者を選任すればよいことが示されています。役職名だけでなく、日々の営業を把握して従業者へ指導できる立場かを確認します。
管理者を選んでも、営業者の責任が管理者へ全て移るわけではありません。営業者は管理者へ必要な権限や資料を与え、管理者が実務を行える環境を整える必要があります。経営者だけが申請資料を持ち、店長が営業条件を知らない状態では、日々の管理が難しくなります。
選任の要件と専任の考え方
法第24条には、管理者の選任と欠格に関する規定があります。未成年者や所定の欠格事由に該当する人を選任できないため、年齢だけでなく必要な誓約・証明資料も確認します。個別の欠格判断は経歴と現行法の要件を照合する問題なので、簡単な一覧だけで適否を断定しないでください。
施行規則では営業所ごとの専任を基本とし、警察庁の解釈運用基準は、その営業所に常勤して管理者業務に従事し得る状態であることを説明しています。例外は、同一の風俗営業者の複数の営業所が相互に接し、その間を客が自由に往来でき、管理者業務の適正な実施に支障がないものとして公安委員会の承認を受けた場合です。同じ経営者の店舗であることだけで兼任できる制度ではありません。
営業者又は代表者の住所が遠い場合、複数店舗を担当する場合、他の仕事がある場合は、店舗で実際に業務を行えるかを具体的に確認します。シフト、勤務時間、責任分担などの事実を整理してください。書類に名前を書くことと、実態として管理できることは別です。
管理者が把握したい業務
| 確認分野 | 日々の管理の例 |
|---|---|
| 従業者への指導 | 営業区分、営業時間、禁止行為を共有する |
| 構造設備 | 間仕切り、照明、設備変更が許可内容と合うか確認する |
| 年少者に関する管理 | 対象となる立入りや従業の制限を確認する |
| 名簿と確認記録 | 対象者の登録、更新、保存を管理する |
| 料金等の表示 | 適用される表示義務を確認する |
| 変更事項 | 工事や人事の変更を営業者へ伝え、必要な手続きを整理する |
表は店舗での管理へ落とし込む例です。法定の業務は施行規則第38条等で確認し、全ての項目が全ての営業区分へ同じように適用されると考えないでください。接待を伴う1号営業と麻雀店では、接客従業者の確認、遊技料金、禁止行為等の確認範囲が異なります。
管理者が不在の時間がある場合も、従業者が守るべき営業条件を共有します。管理者へ連絡が付くことだけで法令上の要件を満たすと決めつけず、実際の勤務と管理の仕組みを確認します。講習で得た内容を店舗の運用へ反映することも必要です。
申請時に準備する管理者関係の資料
埼玉県警の許可申請案内では、管理者に関する誓約書、住民票、身分証明書等が示されています。申請者本人を管理者とする場合でも、申請書の記載と必要書類を確認します。身分証明書は一般に本籍地の自治体が発行する証明書であり、運転免許証の写しとは別のものです。
管理者の氏名、生年月日、住所などは、申請書と証明書で表記を揃えます。候補者の氏名だけ先に決め、勤務条件や本人の承諾が未確認のまま資料を作ることは避けてください。申請中に候補者が変わると資料の差替え等が必要になるため、変更が生じたら早く共有します。
管理者が変わるときの手続き
管理者が退職する、別店舗へ異動するなどの場合は、新しい管理者の選任と変更の届出を確認します。以前の管理者名を残したまま、新しい店長だけで営業する運用にしないでください。店舗側の人事変更と行政への手続きが別々にならないよう、退職日、選任日、届出の担当を決めます。
管理者本人の氏名・住所が変わる場合も確認対象です。管理者証の交付を受けている場合には、その扱いも最新の案内で確認します。新しい管理者の必要資料、提出期限、添付する管理者証等は、変更の内容と管轄警察署で確かめてください。
引継ぎでは、許可証、最新の図面、営業時間と許可条件、変更手続きの控え、従業者名簿の管理方法、講習関係の資料を整理します。単に鍵やレジの操作を教えるだけでは、法令に関する管理を引き継げません。営業者も引継ぎ内容を把握しておきます。
講習は通知を確認して受講する
風営法は、公安委員会が管理者への講習を行うことができ、営業者が講習の通知を受けたときには管理者へ受講させる義務を定めています。講習を受ければ管理者に自動的に選任される制度ではなく、選任と講習は別です。定期講習は規則第39条で、選任からおおむね3年ごとに1回という基本が示されています。実際の期日と受講方法は通知で確認します。
2025年12月2日の警察庁通達では、管理者の定期講習についてオンライン講習を実施できる運用が示されています。ただし、自店の通知にオンライン受講が選べるか、どの申込みが必要かは、その時点の埼玉県の案内で確認します。この記事の情報だけで講習日程や受講方法を確定しないでください。
通知の送付先、受講者、期日、申込方法、手数料、持参資料を確認し、受講した事実を店舗で保管します。病気等で受けられない場合は、通知された手順に沿って早めに相談し、従業者へ自由に代理受講させれば済むとは考えないようにします。
説明用の架空例:店長交代で資料の保管先が不明
K店で店長が退職し、新店長が許可図面と従業者名簿の保管先を知らない状況を考えます。選任・変更の手続きを確認するとともに、資料の所在と更新方法を営業者が整理して引き継ぐ必要があります。この例は管理の引継ぎを説明する架空例です。
管理者の業務を店舗のルールへ落とし込む
管理者が法令を知っていても、従業者へ伝わっていなければ日々の営業で守れない場合があります。接客の方法、客へ案内する営業時間、年齢確認、料金の説明、設備を変えるときの連絡を具体的に決めます。単に「法律を守る」と掲示するだけでなく、担当者が何をするかがわかる形にします。
1号営業では接待の内容、接客従業者の確認、禁止行為等を理解し、麻雀店では営業時間、遊技料金、年少者の立入り、遊技に関する禁止行為等を確認します。営業の制度が違うので、別業態の研修資料をそのまま使わないでください。実際の店舗で行う業務に沿って整理します。
設備変更を考えた従業者が、照明や仕切りを勝手に変えないよう、変更の相談先も決めます。小さな模様替が見通しや照度へ影響することがあります。管理者が現状と申請図面を確認し、手続きの対象になり得る変更を営業者へ伝えられるよう、最新の資料を共有します。
よくある疑問:営業者が遠方でも、自分が管理者になれますか
距離だけでは判断できませんが、実際に当該営業所へ常勤して管理業務へ従事できる状態かが重要です。勤務の実態、他の店舗や仕事、営業時間を具体的に説明して確認します。週に一度立ち寄る予定だけで要件を満たすと決めつけないでください。
よくある疑問:管理者が急に退職したら、書類が揃うまで空席にできますか
法第24条には、管理者が欠けた日から14日間は選任しておかなくてもよい例外があります。ただし、新しい候補者の選任と必要な変更手続きを速やかに確認します。書類収集の都合だけで長く未選任にする運用を前提にしないでください。退職予定がわかった段階で営業者へ共有し、候補者の要件と資料を準備します。
よくある疑問:深夜届出のバーにも同じ管理者を選びますか
風俗営業許可の管理者制度と、深夜酒類提供飲食店営業の届出事項を混同しないでください。店舗の店長や衛生責任者などの役割があることと、法第24条の管理者の選任が必要なことは別です。自店の営業区分で必要な管理体制と記載事項を確認します。
従業者名簿の管理、役員・住所・名称の変更もあわせて確認してください。1号許可、麻雀店の許可の案内を参考に、管理者の選任・変更を相談するから現在の状況をお知らせください。
参考資料・確認日
情報確認日:2026年10月3日。法令上の説明と、資料整理・進め方に関する実務上の提案を分けて記載しています。個別店舗は現行の様式と管轄窓口で確認してください。
- e-Gov|風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律:第24条:一人の選任、欠員14日例外、業務、講習
- e-Gov|風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則:第20条・第37条〜第40条:変更、専任と例外、講習概ね3年
- 警察庁|解釈運用基準(2026年7月1日):第17の13:営業者自身の選任、常勤、兼任の確認
- 警察庁|管理者講習の運用(2025年12月2日):オンライン定期講習を実施できる運用
- 埼玉県警察|風俗営業等に関する申請手続:管理者資料と手数料等の案内
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