
不動産の所有者は、住所や氏名を変更した日から2年以内に変更登記をする必要があります。この義務は2026年4月1日に始まり、それより前の変更で登記が未了の場合も対象です。すでに住所が古い方は、登記簿を確認し、スマート変更登記を利用できるかを調べましょう。
対象は土地・建物の所有権登記名義人です。引越しや婚姻で住民票・戸籍を変更しても、不動産登記簿の住所・氏名が自動で変わるとは限りません。この記事では、期限と確認手順を整理します。
法務省資料確認日:2026年10月13日
まず期限を確認
- 2026年4月1日以降に住所・氏名等が変わった:変更日から2年以内に変更登記を申請します。
- 2026年4月1日より前の変更が登記未了:経過措置として2028年3月31日までに変更登記が必要です。
正当な理由なく義務に違反した場合、5万円以下の過料の対象となる可能性があります。過料は自動的・一律に直ちに科されるという意味ではありません。事情がある場合も期限を自己判断せず、法務局または司法書士へ相談してください。
対象になるのは所有権の登記名義人です。賃貸物件に住んでいるだけで所有者でない方は、この義務の対象者ではありません。共有名義なら、各名義人ごとに登記記録を確認します。
登記簿の住所・氏名を照合する手順
- 土地・建物を洗い出す。自宅だけでなく、以前住んでいた家、相続や贈与で取得した不動産、共有持分も確認します。
- 登記事項証明書などで現在の名義を確認する。登記簿上の所有者、住所・氏名、持分を、現在の情報と一つずつ照合します。
- 変更の経緯を並べる。登記簿に記録された住所から現在まで、転居や改姓の時期と順序をメモします。何度か転居している場合は、つながりを説明する資料が必要になることがあります。
- スマート変更登記の申出状況を確認する。すでに所有権登記名義人で、まだ検索用情報を申し出ていない場合は、法務省が案内するオンラインの検索用情報の申出手続を確認します。入力項目や対象不動産は案内に従い、複数の不動産がある場合は申出対象を一件ずつ照合します。
- 対象外・不明なら手続案内を予約する。法務局の案内窓口または司法書士に、登記簿と変更の経緯を示して相談します。
スマート変更登記は「申出後に確認がある」仕組み
個人は、法務局に氏名・ふりがな・住所・生年月日・メールアドレス等の検索用情報を申し出ることで、スマート変更登記の利用につながります。すでに所有権登記名義人で未申出の方は、法務省の「かんたん登記・供託申請」から検索用情報の申出ができます。オンライン申出に電子証明書は不要と案内されています。申出は無料です。法務局が住民基本台帳ネットワーク等の情報を確認し、変更が確認された場合に意思確認を行ったうえで、登記官が職権で変更登記をします。
検索用情報の申出をしただけで、すでに住所変更登記が完了したと決めつけないでください。法務省の説明では、2026年度の職権登記の対象は、2026年3月31日までに検索用情報の登録が完了した不動産です。意思確認通知は2026年12月中旬以降、順次送付予定で、通知を受け取った場合は原則1か月以内に希望する旨を回答します。通知は、申出時等に提供したメールアドレス、または住民基本台帳ネットワークへの照会時点で確認された住所に送られます。申出をした不動産が複数ある場合、締切までに登録完了した不動産だけが2026年度分の対象です。2026年4月1日以降に登録が完了した場合は、2027年度以降の対象予定です。通知が来ないときや登録時期が分からないときは、法務省の最新案内を確認してください。なお、個人のスマート変更登記は法務省のスケジュールに沿って実施され、通知時期を個別に早めることはできません。手続を急ぐ場合は、通常の住所等変更登記を申請する必要があります。
本人の意思確認を経ずに登記を変更する制度ではありません。メールアドレスが古い、連絡が届かないといったことがないよう、申し出た情報と連絡先を確認しましょう。会社法人等番号のない法人や国外居住者など、制度を利用できない場合があります。対象条件は法務省の「スマート変更登記について」で最新情報を確認してください。
よくある間違い
- 住民票を移したので登記も変わったと思う:住民票の住所変更と不動産登記は別に確認します。
- 新しい住所だけ調べればよい:過去に複数回転居した場合、登記上の住所から現在までのつながりを示す資料が必要になることがあります。具体的な必要書類は登記記録や経緯で異なります。
- スマート変更登記の申出をしたので完了したと思う:申出・情報照会・意思確認・職権登記は段階が分かれています。登記記録で結果を確かめます。
- 期限まで放置しても過料は必ずないと思う:正当な理由の判断は個別事情によります。例外に当たると自分で決めず、事情を説明して窓口に確認します。
相談前のチェックリスト
- 所有する不動産と共有持分をリストにした。
- 登記簿上の住所・氏名と現在の住所・氏名を照合した。
- 変更した日と、転居・改姓の順番を整理した。
- スマート変更登記の検索用情報を申し出たか、登録済みの時期を確認した。
- 法務局からの通知・メールが届いているか確認した。
- 登記事項証明書、本人確認資料、住所や氏名の変更経緯が分かる資料を用意できる範囲で集めた。
書類をすべてそろえてからでないと相談できないわけではありません。まずは不動産の所在地と登記簿の記載、いつ何が変わったかを説明できるようにすると、次に確認すべき点が絞れます。
手続の相談先と業務範囲
変更登記の申請手続については、法務局の手続案内または司法書士へ相談してください。行政書士は不動産登記の申請代理を行う専門職ではありません。本サイトでは、登記以外の許認可や関連書類の整理など、行政書士の業務範囲に関する相談を承ります。
相続手続きの業務案内(本サイト内)
公式資料
- 法務省「住所等変更登記の義務化について」
- 法務省「住所等変更登記の義務化に関するQ&A」(2026年9月30日現在)
- 法務省「スマート変更登記について」(2026年9月30日掲載情報)
- 法務省「かんたん登記・供託申請」(検索用情報の申出案内)
内容確認日:2026年10月13日。制度の適用・必要書類は個別の登記記録と変更経緯で異なります。申請前に法務省・法務局の最新情報をご確認ください。
